宗教的信念を理由とする兵役拒否に対して、今月18日に光州地裁が二審では初めて無罪を言い渡したことをめぐり、議論が大きくなっている。同地裁の刑事第3部(裁判長:金泳植〈キム・ヨンシク〉部長判事)は、入営を拒否して兵役法違反の罪で起訴された「エホバの証人」の信者など3人について「兵役忌避の正当な事由がある」として無罪を言い渡した。
兵役法88条1項は、正当な事由もなしに入営しない場合、3年以下の懲役に処すると定めている。同裁判部は、宗教的信念が兵役拒否の「正当な事由」に当たると見たわけだ。裁判部は「宗教的理由から銃を取ることを拒否するのは良心の自由であって、国際的な大勢に従い、韓国もこれを権利として認めるべき。代替服務制度を導入せず宗教的兵役拒否者を刑事処罰するのは、国家の義務を放棄して良心の自由を侵害するもの」と判示した。
これまで、一審では10件余りの無罪判決が出ているが、いずれも二審では逆転有罪となった。今回の判決は、そうした流れを断ち切ったわけだ。ある地裁の部長判事は「宗教的兵役拒否者を一般の犯罪者のように刑事処罰することについては、裁判官もかなり悩んでいる。そうした悩みを細かに盛り込んだ判決」と評価した。
しかし、大法院(最高裁に相当)でも無罪判決が出る可能性は極めて低い、というのが法曹界の分析だ。兵役を拒否できる「正当な事由」は疾病など不可避のケースに限定され、「宗教的兵役拒否」は含まれないというの大法院の確固たる立場だからだ。18日に開かれた国会法制司法委の国政監査で、法院行政処の林鍾憲(イム・ジョンホン)次長も「大法院が宗教的兵役拒否者への有罪判決の判例を変える可能性は、当分ない」と語った。また、光州地裁の無罪判決が出たことを受けて、インターネットなどで「良心的兵役拒否者が無罪なら、兵役義務を履行するのは非良心的なのか」という声が上がるなど、世論も友好的とは言い難い。ソウル中央地裁のある判事は「宗教的兵役拒否がふさわしい用語であって、正しいという価値評価を含む良心的兵役拒否という用語はふさわしいとは見なし難い」と語った。