ラグビー前日本代表ヘッドコーチ(HC)のエディー・ジョーンズ氏が9月の来日時に取材に応じた。2019年に自国開催のワールドカップ(W杯)に臨む日本代表や、日本のラグビー界の進むべき道、世界のスポーツの未来について持論を語った。
――日本代表の新HCにニュージーランド人のジェイミー・ジョセフ氏が就いた。
「ジョセフHCは日本を成功に導くための、良いバックグラウンドを持っていると思う。日本でも長く選手人生を送っているし、(南半球最高峰リーグの)スーパーラグビーでのコーチ体験もある。刺し身も好きだと聞いている。(直前まで率いたスーパーラグビーの)ハイランダーズを非常に攻撃的で勤勉ないいチームに育てた。それをきっと日本代表にも持ち込んでくれると思う。いいコーチになる素養はある。後は、どんな選手がそろうかによって彼が成功できるかどうかが決まるのではないか」
■体のより大きい相手との戦い方が課題
――19年W杯では日本がどういうラグビーをして、何を強みにして戦うべきか。
「まず言えるのは、ホームチームなので日本は圧倒的に有利だということ。観客が皆、自分たちに声援を送ってくれる。レフェリーも好意的に見てくれる。自国開催の利点はたくさんある。一方で、体のより大きなチームに対してどう戦うかということが課題になる」
「私が今、(HCとして)指導しているイングランド代表の7番(フランカー)は、体重が118キロ。ナンバー8は127キロある。2人とも日本の選手より動きも速く、俊敏だ。フィジカルの弱点を克服する戦略が日本には必要だ」
「私が日本代表を指導したときに掲げた『ジャパン・ウエー』という考え方がある。フィジカル面の不利に対して、賢く速く動くことと、体の動かし方を工夫することで対処しようとした。ジョセフHCも何らかの形でフィジカルの不利を乗り越えるやり方を見つけるだろう。彼自身がその方法を体得していく良い機会になるのではないか」
――イングランド代表もそうだが、昨年のW杯以降、多くのチームが防御ラインの上がるスピードを速くしている。
「イングランド代表のHCになったことで、イングランドの伝統的な戦い方をよく勉強した。その結果、非常に強いセットプレーと、非常にアグレッシブなディフェンスがイングランドの伝統だと思った。だから、その2つを強化してきたし、今のチームの柱となっている。(19年W杯までの)あと3年で攻撃面の強化に取り組む」