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 脳死の臓器移植をめぐり、あっせん業務を行う公益社団法人「日本臓器移植ネットワーク」が昨年11月、肝臓の移植候補となった患者の主治医に対し、提供される肝臓について「脂肪肝あり」と伝えていたことがわかった。肝臓の移植で脂肪肝の有無は重要な判断材料で、主治医はその他の情報も含めて総合的に判断し、移植を断念した。その後、肝臓は脂肪肝でないことがわかったという。

 今回の事態を受け、主治医は移植ネットに対して「本来、救命されるべき患者が不正確な情報で救命されない事態だ」と抗議。移植ネットは今年9月、改善策を決めた。

 移植ネットの内部資料などによると、昨年11月6日、群馬県内の病院で脳死と判定された30代男性から心臓や肺などが提供されることになった。移植ネットの担当者は同日、肝臓について優先順位の高い患者がいる東京都内の医療機関の主治医に連絡した。

 移植ネットでは、移植を待つ患者について、症状が重く、移植手術の緊急性が高いことなどを考慮して優先順位を決めている。

 担当者は主治医に、「肝機能障害あり、超音波とCTで脂肪肝あり」と伝えたという。あわせて造影剤を使ったうえでのCTスキャンの画像を送った。だが、造影剤を使ったCTでは脂肪肝の有無を判断するのが難しく、受け取った主治医は造影剤を使う前のCT画像を要求。しかし、担当者は画像を送らなかった。

 脂肪肝と判断したのは、移植ネ…

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