五輪ボート・カヌー会場見直し 3案に絞り込み検討

五輪ボート・カヌー会場見直し 3案に絞り込み検討
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東京オリンピック・パラリンピックの競技会場の見直しをめぐり、東京都の調査チームは、ボート・カヌーの会場について「海の森水上競技場」を現在の計画どおり整備するだけでなく、大会後に撤去する仮設施設として整備することを新たな提案として加え、宮城県のボート場に変更する提案とともに、3つの案に絞り込んで検討を進めることを明らかにしました。
4年後のオリンピック・パラリンピックの競技会場の見直しをめぐり、東京都の調査チームは20日、現在の検討状況を明らかにしました。

この中では、焦点となっているボート・カヌーの会場について、「海の森水上競技場」をコストを削減したうえで現在の計画どおり恒久的な施設として整備するだけでなく、大会後に撤去する仮設施設として整備することを新たな提案として加えました。
そして、宮城県登米市にある「長沼ボート場」に変更する提案とともに、3つの案に絞り込んで検討を進めているということです。

また調査チームは、これまで候補地として提案されていた埼玉県の彩湖については、洪水や渇水対策のための調整池であり、国土交通省の管轄のため難しいという見解を示しました。

これについて、都政改革本部の上山信一特別顧問は「海の森水上競技場は工事が始まっているので明らかに本命であるが、今回はそれ以外も考えようとしている。アスリートの声は大前提として重要だが、実現可能性の確率が高く、時間がかからないことが絶対的な条件だ」と述べました。

さらに調査チームは、東京大会の開催費用に関連し、大会の組織委員会が整備するとしてきた各競技の仮設の施設について、都が1000億円から1500億円程度を新たに負担する用意があることを明らかにし、小池知事もこうした方針を了承しているということです。

調査チームが3案の整備費など示す

都の調査チームは、ボート・カヌーの競技会場の3つの案について、公表されている資料を基に、整備費用などを示しました。
「海の森水上競技場」を現在の計画どおり、恒久的な施設として整備する場合は、都がコストを見直した結果として300億円前後とする試算に加え、観客席など仮設の設備のための整備費用が加わります。
「海の森水上競技場」を大会後に撤去する仮設施設として整備する場合は、どのような施設にするかなどについて、チームで精査している状況だということです。
宮城県の「長沼ボート場」に変更する場合は、県の試算として150億円から200億円としています。
調査チームは競技会場の建設費や、大会後にレガシー・遺産として残るか、また、大会後に必要な維持費も検討したうえで、さらに詳細な報告書を小池知事に提出し、判断材料にしてもらうことにしています。

小池知事は「都として決めたことではない」

東京都の小池知事は、都政改革本部の上山信一特別顧問が東京大会の仮設の競技施設について、都が1000億円から1500億円程度を新たに負担する用意があることを「小池知事が了承した」と話したことについて、「まだ、都の調査チームで検討しいるところなので都として決めたことではない。いろんな数字を聞いているが、今月中か、来月1日に調査チームの報告がまとまるので、そのうえで方針を決める」と述べました。

さらに、18日、IOC=国際オリンピック委員会のバッハ会長に示した資料に同様の内容が含まれていることについては、「調査チームが研究、分析している考え方で英文では提示している。私が、会談の場で示したのは、調査チームが分析したものということでご参考だ」と述べました。