私たちは頭でものを考え、それを言葉にすることによって相手に対して自分が考えることを伝えることができます。
しかし、子供の場合は、
- 頭でものを考えること
- 考えたことを言葉にすること
この二つのどちらも大人のようにうまくやることができないので、5歳くらいの小さな子供と話している時には、子供が何を言っているのか分からないということがあるかと思います。
痛い、美味しいとかそういった感情の表現は小さな子供でも言葉にすることができますが、そこに論理関係の情報が含まれてくるような説明は小さな子供にはとても難しいのです。
しかし、僕は子供は頭でものを考えることができたとしても、その能力に言葉での説明能力が追いついていないのだ、と思っています。
そんな実体験を話そうと思います。
本読みで先生に怒られた
小学校に入学したてのころ、国語の本読みの宿題が出ました。
内容としては、「おむすびころりん」みたいなひらがなで書かれた簡単な文章を、お母さんの前で読んで、お母さんからサインしてもらうというものでした。
僕はしっかり母親の前で音読をしてみせ、「サインしてほしい」と言いました。
しかし僕の母親は、僕に字の練習をさせたかったのでしょうか、自分で書いてみてごらんと言いました。
僕は母親に言われた通り、習いたてのぐちゃぐちゃのひらがなでサインをし、次の日の授業でそれを提出しました。
するとどうでしょう、僕は先生に呼び出されました。
そりゃそうですよね、親がサインすべきところに子供の字でぐちゃぐちゃのサインが書いてあるのですからね。
先生はおそらくその時、僕が宿題をせずに自分で偽造のサインをしたのだ、という風に思ったのだと思います。
先生はどうして自分でサインしたのか、と僕に尋ねました。
前日に練習も兼ねて母親が僕に対してサインの練習をしてみるように言ったということを、当時の僕はうまく説明することは出来ませんでした。
結果として僕はその時、このサインは母親が書いたものだ、というような説明をしてしまいました。
先生はその瞬間に激怒しました。僕が嘘をついたと思ったからですね。
まぁ、当然と言えば当然かもしれません。
僕は頭を叩かれました。当時はそんなに体罰体罰という世の中でもなく、親もうちの子が悪ければビシバシ叩いてください、というタイプでしたので問題はありませんでしたが。
僕は涙を流して泣きました。
叩かれたのが痛かったということと、自分が説明できなかったことが悔しかったのです。
(先生が僕の母親にまず連絡すれば良かったのか、もしくは母親がこのような事態が起こりうるということを想定しているべきではなかったのか、という意見も分からなくはないですが、当時は母親も若かったでしょうし、責める気はありません。笑)
子供のいうことに頭ごなしに叱ってはいけない
このように、僕は実体験に基づいて、子供が頭で考えていることをうまく表現できないことがあるということを理解しています。
子供は相当考えています。
僕たち大人は子供の考えを尊重して、子供達がなんと言おうと、うまく説明できないという事情があるということを心得なければならないと思います。