さようなら、憂鬱な木曜日

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さようなら、憂鬱な木曜日

サラリーマンの投資ログなど

JRAのG1レース売上から、今の日本景気の良し悪しを考察してみました

政治経済・投資 政治経済・投資-JRAG1売上推移

今の日本景気は、良いと思いますか?それとも、悪いと思いますか?

景況感を表す指標はいくつもありますが、個人的には正直どれもピンと来ていません。しいて言えば「可処分所得」ですが、指標としてはあまりに動きが少なく、見ていてあまり面白くありません。

夕方のニュースでよく、街の人に「今の日本景気をどう思いますか?」と聞いていますが、大体の人は「良くないね~」という返答をしています。

ちょっと前までは「アベノミクス景気」で日経平均株価はかなりの上昇をしていましたが、実感として「景気が良い」と感じていた人は少ないのではないでしょうか。

そこで思いついたのが、「JRAの馬券売上は、もしかしたら景気を判断する材料になるかもしれない」ということです。

JRA、日本中央競馬会は、毎年、毎レースごとに馬券売上を発表しています。

競馬の馬券購入は、法律において認められたギャンブルであり、娯楽です。その娯楽に割ける金額の多寡は、個人のお財布事情を反映させているのではないか、という仮説に基づいて、JRAのG1レース売上をまとめてみることにしました。

 

はじめに

今回、売上を見ていくのは、JRAの番組の中でも大きなレースと言われている八大競争からオークスを除いて、ジャパンカップを加えたものです。

八大競争とは・・・日本の中央競馬における3歳馬のクラシック競走である桜花賞、皐月賞、優駿牝馬、東京優駿、菊花賞の五大競走に、春秋の天皇賞、有馬記念を加えた8つの競争。

オークスを除いたのは、単純に、筆者がジャパンカップの方が好きだからです。

見ていくのは過去10年の売上推移になりますが、ここ10年で頭に入れておかなければならない大きな出来事が二つあります。

  • 2008年9月 リーマンショック(米証券会社リーマン・ブラザーズ破綻)
  • 2011年3月 東日本大震災

この2つの出来事は、日本経済を揺るがす大きな事件であったため、少なくとも時期は抑えておいたほうが良いと思います。

もう一点。馬券売り上げというのは、単純に景気に左右されるだけでなく、「面白いレース」は馬券が良く売れます。「面白いレース」というのは、簡単に言うと、強い馬がたくさん出るレースです。あるいは、スーパーホースが登場しているときも、よく売れます。

先日のパ・リーグ クライマックスシリーズも、日本ハムの大谷選手が出場しているときは、視聴率がぐんと上がっていましたよね。多くの人の注目を集めれば、比例して売り上げは上がっていきます。そういったことを念頭に置きながら、見ていくと面白いです。

それでは、さっそく桜花賞から見ていきましょう。

 

桜花賞の売上推移

桜花賞は3歳牝馬によって行われる阪神競馬場1600mのレースです。乙女たちのスピード競争です。このレースが行われる春頃の阪神競馬場は、桜がきれいです。

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2011年を底にして、上昇を続けています。2011年の開催は東日本大震災から約1か月後だったため、落ち込みが大きくなっています。

勝ち馬売上
2007年 ダイワスカーレット
¥18,647,011,500
2008年 レジネッタ
¥17,973,825,500
2009年 ブエナビスタ
¥19,037,042,700
2010年 アパパネ
¥16,601,342,000
2011年 マルセリーナ
¥12,072,879,200
2012年 ジェンティルドンナ
¥14,686,977,400
2013年 アユサン
¥14,093,424,900
2014年 ハープスター
¥15,285,238,200
2015年 レッツゴードンキ
¥16,090,539,800
2016年 ジュエラー
¥15,678,977,200

 

皐月賞の売上推移

皐月賞は3歳牡馬によって行われる、「3歳3冠レース」の1冠目です。仕上がりの早さがカギ、と言われており、約1か月後の日本ダービーを見据えた調整も各陣営の腕の見せ所になっています。中山競馬場2000mのレースです。

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こちらも2011年を底にして、売上は上昇傾向です。

勝ち馬売上
2007年 ヴィクトリー
¥22,170,011,600
2008年 キャプテントゥーレ
¥21,525,210,200
2009年 アンライバルド
¥20,747,836,000
2010年 ヴィクトワールピサ
¥18,942,663,200
2011年 オルフェーヴル
¥15,135,530,300
2012年 ゴールドシップ
¥16,936,930,500
2013年 ロゴタイプ
¥16,161,829,100
2014年 イスラボニータ
¥17,430,056,000
2015年 ドュラメンテ
¥16,837,780,700
2016年 ディーマジェスティ
¥18,646,312,700

 

天皇賞(春)の売上推移

天皇賞(春)は4歳以上の古馬によって行われる、伝統ある長距離レースです。日本の平地G1競争では最も長い3200mという距離で行われます(京都競馬場)。長距離は実力の差が出やすいので、昔は「日本で一番堅いG1」と言われていましたが、最近は大波乱も起きていますね。

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2011年を底にして、売上は上昇を続けています。

勝ち馬売上
2007年 メイショウサムソン
¥23,696,268,600
2008年 アドマイヤジュピタ
¥22,165,356,000
2009年 マイネルキッツ
¥21,194,941,400
2010年 ジャガーメイル
¥18,741,752,400
2011年 ヒルノダムール
¥17,749,844,100
2012年 ビートブラック
¥19,293,257,500
2013年 フェノーメノ
¥18,784,025,800
2014年 フェノーメノ
¥19,258,280,000
2015年 ゴールドシップ
¥19,770,216,100
2016年 キタサンブラック
¥20,828,151,900

 

日本ダービーの売上推移

日本ダービー(東京優駿)は、東京競馬場2400mで行われる3歳限定のG1レースです。「全てのホースマンが目指すレース」と言われており、このレースを勝つことは、競馬界において最も偉大な勲章のひとつです。

「ダービー馬の馬主になることは、一国の宰相になるよりも難しい」はイギリスの政治家チャーチルの有名なフレーズです(実際には言ってないらしい)。

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2011年を底にして、上昇を続けています。リーマンショック前の水準まで売上が戻っていますね。

勝ち馬売上
2007年 ウオッカ
¥30,802,901,700
2008年 ディープスカイ
¥27,991,879,400
2009年 ロジユニヴァース
¥25,191,800,200
2010年 エイシンフラッシュ
¥24,863,746,500
2011年 オルフェーヴル
¥19,884,503,300
2012年 ディープブリランテ
¥22,704,462,000
2013年 キズナ
¥23,717,714,300
2014年 ワンアンドオンリー
¥23,563,532,600
2015年 ドゥラメンテ
¥24,026,840,400
2016年 マカヒキ
¥26,574,090,400

 

菊花賞の売上推移

菊花賞は京都競馬場3000mで行われる「3歳3冠」最後のレースです。

「皐月賞は仕上がりの早い馬が勝つ。ダービーは運のいい馬が勝つ。そして菊花賞は、強い馬が勝つ」と言われており、過去の優勝馬には名馬がずらりと並びます。

最近の世界競馬の長距離軽視志向によって、ややその存在感を薄れさせていましたが、最近はめちゃくちゃ面白いレースが多いです。サトノダイヤモンド、強かったですね。

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今までの2011年底と違って、2013年を底にして、上昇を続けています。

勝ち馬売上
2007年 アサクサキングス
¥21,029,277,800
2008年 オウケンブルースリ
¥19,072,311,900
2009年 スリーロールス
¥18,769,276,800
2010年 ビッグウィーク
¥16,319,595,300
2011年 オルフェーヴル
¥16,818,432,500
2012年 ゴールドシップ
¥14,850,568,100
2013年 エピファネイア
¥14,140,348,800
2014年 トーホウジャッカル
¥15,937,258,600
2015年 キタサンブラック
¥16,341,118,500
2016年 サトノダイヤモンド
¥17,307,911,300

 

天皇賞(秋)の売上推移

天皇賞(秋)は東京競馬場2000mで行われる3歳以上のレースです。1600m前後の短距離が得意なマイラータイプと、2400m前後が得意なステイヤータイプの一線級が激突するレース。さらには、菊花賞では距離が長すぎる3歳の有力馬が参戦するレースです。

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こちらは、2011年からほぼ横ばい。2013年に底をうち、そこからは上昇を続けています。

秋競馬になると2013年が底になるのは興味深いですね。

勝ち馬売上
2007年 メイショウサムソン
¥22,154,280,200
2008年 ウオッカ
¥23,756,032,600
2009年 カンパニー
¥22,039,435,400
2010年 ブエナビスタ
¥18,421,850,400
2011年 トーセンジョーダン
¥18,938,546,400
2012年 エイシンフラッシュ
¥17,664,648,300
2013年 ジャスタウェイ
¥17,231,880,700
2014年 スピルバーグ
¥18,367,369,500
2015年 ラブリーデイ
¥19,575,337,300
2016年    

 

ジャパンカップの売上推移

ジャパンカップは海外の招待馬と日本の最強クラスが激突する東京競馬場2400mのレースです。世界的に見てもレースの優勝賞金が高いので、海外の超一流馬もバンバン参戦してきます。日本競馬が勝利を熱望する凱旋門賞の優勝馬も、何度も参戦しています。

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こちらも天皇賞(秋)と同様に、2013年に底を打った感じです。2015年は前年より若干売上は落ちていますが、上昇傾向は間違いないようです。ジャパンカップも海外からの招待馬のレベルが年によってバラバラなので、そのへんの影響もあるかもしれません。

勝ち馬売上
2007年 アドマイヤムーン
¥21,026,221,200
2008年 スクリーンヒーロー
¥22,165,857,600
2009年 ウオッカ
¥19,162,550,600
2010年 ローズキングダム
¥19,241,004,700
2011年 ブエナビスタ
¥18,345,891,000
2012年 ジェンティルドンナ
¥20,098,522,000
2013年 ジェンティルドンナ
¥17,321,878,200
2014年 エピファネイア
¥20,661,489,800
2015年 ショウナンパンドラ
¥19,117,556,400
2016年    

 

有馬記念の売上推移

有馬記念は中山競馬場2500mで行われる3歳以上のレースです。競馬ファンからの人気投票によって出走馬が決定する、オールスターレース。お祭りです。

年末に行われることもあって、かなり盛り上がります。「有馬記念だけは知っている」「有馬記念だけは馬券を買う」方も多いのではないでしょうか。

売上もJRA競走の中で最も多いレースです。

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2012年に底を打って、そこからきれいに上昇を続けています。リーマンショック前の水準まで戻しています。

勝ち馬売上
2007年 マツリダゴッホ
¥45,194,214,900
2008年 ダイワスカーレット
¥42,867,705,100
2009年 ドリームジャーニー
¥40,444,102,200
2010年 ヴィクトワールピサ
¥38,854,993,200
2011年 オルフェーヴル
¥37,759,756,900
2012年 ゴールドシップ
¥33,301,823,800
2013年 オルフェーヴル
¥35,088,387,600
2014年 ジェンティルドンナ
¥38,825,618,100
2015年 ゴールドアクター
¥41,617,749,800

 

総評

ここまでJRAの主要G1レースの売上推移を見てきましたが、すべてのレースにおいて「2011年~2013年に底を打ち、徐々に上昇傾向にある」ことがわかりました。

実感としては希薄かもしれませんが、このJRA売上の数値においては、「景気は徐々に上向いている」と判断できます。

個人的に思うのは、小さな変化は気づかないうちに積み重なって、大きな変貌となって表れる、ということです。

例えば身長ですが、昨日より0.1ミリ身長が高くなっても、周りはおろか、本人も気づきませんよね。そういった小さすぎる変化に、「身長伸びた実感ある?」と聞いても、「実感ないですね」という答えになるのは当然です。

景気についても同じことで、ここ数年の経済は小幅な景気の上向きを、少しずつ積み重ねていっている状態ではないかと想定しています。

確実に、少しずつ、日本景気は力強さを増していっている。気づいたときには、また以前とは見違えるような、強い日本経済が戻ってきていることを期待しています。