12倍に拡大の西之島 噴火後初の上陸調査
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およそ2年間にわたって活発な噴火活動が続いた小笠原諸島の西之島で噴火後、初めてとなる上陸調査が行われ、島では以前から生息していた海鳥や植物などが確認されました。専門家などは、一連の噴火のメカニズムや、今後、島の生態系がどのように変化していくかさらに詳しく調べていくことにしています。
小笠原諸島の父島の西、およそ130キロにある西之島では、3年前の11月からおよそ2年間にわたって活発な噴火活動が続き、流れ出した溶岩などによって、島の大きさは、これまでに東西と南北にそれぞれ1900メートルほどともとの島のおよそ12倍に拡大しました。その後、西之島の火山活動が低下したことなどを受けて、東京大学地震研究所や環境省などの調査チームが今月20日と21日に噴火後初めてとなる上陸調査を行い、25日神奈川県横須賀市の港に帰港して上陸の様子を写した映像などを公開しました。
環境省などによりますと、今回の調査はわずかに残った元の島の陸地の周辺で行われ、生態系への影響を抑えるためにボートで近づいたあと、いったん海につかってから島まで30メートルほどを泳いで渡ったということです。
元の島の周辺には打ち上げられた溶岩のかけらで新たな海岸ができていたほか、冷えて固まった溶岩の厚さは5メートルから6メートルほどに達していたということです。
一方、元の島の陸地では噴火によって多くが枯れたと考えれていたイネ科の植物などが再び生え、噴火前に繁殖活動を行っていた海鳥が巣を作って卵を温める様子も確認できたということです。
調査チームでは溶岩や噴石を採取し、2年間にわたって続いた噴火のメカニズムなどを調べるとともに、今後島の生態系がどのように形成されていくのかについても調べることにしています。
環境省の千田智基世界自然遺産専門官は「今後の島の生態系の形成には鳥が大きな影響を与えると考えられ、さらに詳しく調べていきたい」と話しています。
環境省などによりますと、今回の調査はわずかに残った元の島の陸地の周辺で行われ、生態系への影響を抑えるためにボートで近づいたあと、いったん海につかってから島まで30メートルほどを泳いで渡ったということです。
元の島の周辺には打ち上げられた溶岩のかけらで新たな海岸ができていたほか、冷えて固まった溶岩の厚さは5メートルから6メートルほどに達していたということです。
一方、元の島の陸地では噴火によって多くが枯れたと考えれていたイネ科の植物などが再び生え、噴火前に繁殖活動を行っていた海鳥が巣を作って卵を温める様子も確認できたということです。
調査チームでは溶岩や噴石を採取し、2年間にわたって続いた噴火のメカニズムなどを調べるとともに、今後島の生態系がどのように形成されていくのかについても調べることにしています。
環境省の千田智基世界自然遺産専門官は「今後の島の生態系の形成には鳥が大きな影響を与えると考えられ、さらに詳しく調べていきたい」と話しています。
海鳥の専門家は
今回、調査を行った島の海鳥の生態に詳しい森林総合研究所の川上和人主任研究員によりますと、溶岩に覆われずに残った元の島の陸地では、噴火前から島に生息していた「アオツラカツオドリ」が、巣を作って卵を温めている様子や「カツオドリ」の巣の痕跡とともに、ことし誕生したと見られる若い鳥も見つかり、噴火のあとも島で海鳥の繁殖活動が続いていると見られることが確認できたということです。
また、火山灰などに覆われて枯れたのではないかと考えられていた「オヒシバ」というイネ科の植物も今回の上陸調査で元の島の陸地に生えていることが確認されたということです。
一方で、流れ出した溶岩などによって新たにできた陸地には、海鳥がとまって羽を休めたり、鳥のふんが付いている様子は確認できたものの、平らな場所はほとんどなく、巣などは確認できなかったということです。
川上主任研究員は「これから新たな陸地に生物が広がっていく際の、スタートとなるデータを取ることができて、非常に貴重な調査となった。今後は調査結果を元に生物の分布状況を調べ、生態系がどう広がっていくかや狭い陸地をどのように住みわけているかなどを明らかにしたい」と話していました。
また、火山灰などに覆われて枯れたのではないかと考えられていた「オヒシバ」というイネ科の植物も今回の上陸調査で元の島の陸地に生えていることが確認されたということです。
一方で、流れ出した溶岩などによって新たにできた陸地には、海鳥がとまって羽を休めたり、鳥のふんが付いている様子は確認できたものの、平らな場所はほとんどなく、巣などは確認できなかったということです。
川上主任研究員は「これから新たな陸地に生物が広がっていく際の、スタートとなるデータを取ることができて、非常に貴重な調査となった。今後は調査結果を元に生物の分布状況を調べ、生態系がどう広がっていくかや狭い陸地をどのように住みわけているかなどを明らかにしたい」と話していました。
火山の専門家は
調査に参加した東京大学地震研究所の前野深助教によりますと、今回の調査は島の西側の、元の島の陸地やその周辺で行われました。元の島の陸地の周辺には波によって砕かれたと見られる溶岩のかけらなどが多数、打ち上げられていて、元の陸地まで50メートルほどにわたって新たな海岸ができていました。
今回の噴火で流れ出した溶岩の厚みは、先端の部分で厚さが4メートルから5メートルほどあり、最も厚いところでは10メートル以上に達しているということです。
溶岩の先端では、海水に触れて急激に冷やされたことでできたと見られる、ガラス質を多く含んだ層が確認され、前野助教は活発に溶岩が流れ出していたことを示す痕跡だとしています。
海岸には500メートル以上離れた島の中央付近の火口から、噴火に伴って飛んできたと見られる直径50センチほどの大きな噴石も確認されました。また、僅かに残った元の島の陸地では、厚さ10センチほどの火山灰が積もっていたということです。
研究チームは、元の島の陸地に衛星通信の設備を備えた地震計を設置するとともに、航空写真などをてがかりに時期の異なる溶岩を13か所で採取しました。
今後、持ち帰った溶岩や噴石を分析するなどして、2年間にわたって続いた噴火の詳しいメカニズムなどを調べることにしています。
前野助教は「採取したサンプルは地下のマグマの性質を反映しているので、詳しく解析を行って噴火の実態を明らかにするとともに、伊豆諸島や小笠原諸島などで火山活動が活発になった際に、どのようなことが起こりうるのかを考える手がかりにしていきたい」と話しています。
今回の噴火で流れ出した溶岩の厚みは、先端の部分で厚さが4メートルから5メートルほどあり、最も厚いところでは10メートル以上に達しているということです。
溶岩の先端では、海水に触れて急激に冷やされたことでできたと見られる、ガラス質を多く含んだ層が確認され、前野助教は活発に溶岩が流れ出していたことを示す痕跡だとしています。
海岸には500メートル以上離れた島の中央付近の火口から、噴火に伴って飛んできたと見られる直径50センチほどの大きな噴石も確認されました。また、僅かに残った元の島の陸地では、厚さ10センチほどの火山灰が積もっていたということです。
研究チームは、元の島の陸地に衛星通信の設備を備えた地震計を設置するとともに、航空写真などをてがかりに時期の異なる溶岩を13か所で採取しました。
今後、持ち帰った溶岩や噴石を分析するなどして、2年間にわたって続いた噴火の詳しいメカニズムなどを調べることにしています。
前野助教は「採取したサンプルは地下のマグマの性質を反映しているので、詳しく解析を行って噴火の実態を明らかにするとともに、伊豆諸島や小笠原諸島などで火山活動が活発になった際に、どのようなことが起こりうるのかを考える手がかりにしていきたい」と話しています。