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年数千億円 経産省試算、800億円から拡大

廃炉に向けて工事が続く東京電力福島第1原発4号機=福島県大熊町で2016年6月、小出洋平撮影

 経済産業省は25日、東京電力福島第1原発事故の処理費用負担を協議する有識者会議で、現状で年間800億円の廃炉費用が今後、溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出し作業などで、年間数千億円程度に膨らむとの試算を明らかにした。廃炉には30年以上かかるとみられており、総額2兆円としていた想定を大幅に上回ることが確実となった。具体的な額の試算は年末までに公表する。

 会議では、東電の収益を改善させることで国民負担を最小限に抑える方針を確認。新たに東電の原子力事業を分社化する案を提示した。東電が事故炉の廃炉費用を長期返済できるようにするための基金創設案なども議論した。

 政府は2013年、原発事故の賠償費用を5.4兆円▽除染費用2.5兆円▽中間貯蔵施設の建設費などを1.1兆円と見込み、「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」を通し、東電に9兆円を交付している。だが賠償費用、除染費用とも数兆円単位で膨らむ見通しで、廃炉費も、東電が工面した2兆円では大幅に不足する公算が大きくなっている。経産省は会議後の記者会見で、「東電改革の議論を進めるには費用の規模感を示す必要がある。ただ額に明確な根拠はなく、数百億か数千億か数兆円かを示した」と説明した。

 会議では、東電の経営改革案として、原子力部門と送配電部門の再編や、他業界との提携強化、原発再稼働などを議論した。15年4月に東京電力フュエル&パワーと中部電力が共同出資して設立した火力発電事業者「JERA(ジェラ)」のヘンドリック・ゴーデンカー会長らが出席し、共同出資事業の効果や、収益増が見込める海外事業の戦略などを説明した。

 一方、経営改善で賄い切れない費用については、事故炉の廃炉費用を長期返済する基金を設置する案が示された。このほか、事故炉の廃炉費用を新電力が大手電力の送電網を利用する時に支払う託送料金に上乗せする案などが、今後、議論される見通しだ。

 だが託送料金は電気料金に転嫁される可能性が高く、東電の経営努力が不十分とみられれば、費用負担に国民の同意が得られにくい可能性もある。【宮川裕章、工藤昭久】

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