実は ロードスター(ND)試乗レポートをした後、真っ先に思いついたのは今回ご紹介する3代目ロードスター(NC)の記事だったのですが、後回しにしました。
なぜ、そうしたかと言えば、意外に(?)中古市場価格が高かったからです。
でもまぁ、不人気なのは確かだし、頻繁に壊れない程度の高年式で考えると納得の値段ではあるし、2000ccという維持しやすい排気量を考えてもお買い得なんじゃないかな?と思ったので記事にまとめてみました。
国産スポーツカーというジャンル自体が不人気
長年の不況にあえぐ日本市場にとって二人しか乗れず、荷物もあまり積めないスポーツカーはそのジャンル自体が不人気です。トヨタが2007年にMR-Sを販売終了とした後に2012年の86発売までの5年間、スポーツカーらしいスポーツカーは販売しなかったのも象徴的です。
セカンドカーなんて贅沢はほとんどの家庭では受け入れられないですし、逆に余裕のある富裕層のような人々は輸入車を選びます。(ここ近年フェラーリやポルシェの日本での販売が伸びているそうです。)
それと相まって、2000年初頭頃から各メーカー自動車の衝突安全基準工場を図るためスポーツカーであっても、なんだか丸っこくて全体的に大きいボディにしてしまいました。
これまで私たちが想像していた『スポーツカー』は低くて、平べったくて、軽そうなものでした。それが背がたかくて、丸っこくて、なんだか重そうなものになっていったのが2000年代初頭のスポーツカーでした。
なので2000年初頭に発売されたスポーツカー、フェアレディZ(Z33~)、スカイライン(V35~)インテグラタイプR(DC5)、シビックタイプR(EP3~)そして、今回ご紹介する3代目ロードスター(NC)。
これらはモデルチェンジしてガクンと人気が落ちた不人気車種と言えるでしょう。
価格が思ったより下がっていない理由
価格が下がっていないからと言っても3代目ロードスターは不人気車です。特に初代、2代目ロードスターオーナーからは針のむしろです。
正直、セカンドカーや趣味で車を持とうと考えると、車体価格は100円を余裕で切っていて欲しいです。スポーツカーならマフラーやサスペンション、ホイールのカスタムもしたいでしょうし、後々の維持費も考えると車体価格はできるだけ抑えたい所です。
しかし2016年10月現在、3代目ロードスターは100万円前後で中古車は見つかるもの、余裕で100万円を切っているとは言い難いです。100万円切っているような車両はオートマ、走行距離が10万キロ超、もしくは修復歴ありといった車両です。
それではなぜ、価格が落ち切らないのか?を調べてみたところ、まず、元の価格が高いという点がありました。
2005年発売開始でのベース車両価格が220万円。これは先日試乗したND型もそうだったのですが、初代のユーノス ロードスターのベース車両170万円と比べると割高感があります。
そして、やはり排気量でしょう。2000ccという排気量は税金も比較的安くて、燃費もまずまずです。同年代のフェアレディZ(Z33)、スカイラインクーペ(V35)は3500ccと排気量が大きいので、税金が高く、燃費は悪いです。元の価格が高いとはいえ、中古車になった現在はロードスターよりもZやスカイラインの価格が安いです。
不人気ポイントはロードスターらしくなさ
やはり不人気ポイントはそれまでのロードスターに求められていた点が見事にスポイルされた点でしょう。
前回のステップワゴン(RG)に通じるものがあります。
- 1600cc高回転型エンジン → 2000ccの余裕あるエンジン
- コンパクトで軽量なボディ → ボディは5ナンバー枠を超えて3ナンバーサイズ
- チープでスポーティな内装 → 高級感のあるしっかりした内装
まぁ、見事にひっくり返しましたねw
要するにちっちゃいエンジンをブン回しながら走るのが楽しかったのに、ゆったりした”大人”の走りに変ってしまったのが、なんだか面白くない。というのが初代、2代目ロードスターオーナーさんたちの不満点でしょう。
幌の開閉はスムーズ
オープンカーで重要なのがこの点です。簡単に素早く開閉できないと、駐車時や急な雨など面倒くさいので、幌は締めっぱなし。なんてことはよくあります。(私が昔乗っていた某オープンカーはそうでしたw)せっかくのオープンルーフが台無しです。
その点、3代目ロードスターは初代、2代目と比べると格段に幌の開閉が楽になっています。ロックは1か所だけですし、乗ったまま開け閉めすることも不可能ではありません。
但し、最新型4代目ロードスター(ND)と比べると少々重いですし、ロックも固く、スムーズではありません。まぁこの点は時代が進んで進歩した点なので仕方ないでしょう。
大人のロードスター
ロードスターのして考えると不満点も多いですが、単純に2シーターオープンスポーツカーとして乗るなら装備も近代的ですし、車体もお金がかかって、しっかり作られています。
よく言われるエンジンレスポンスですが、電子スロットルを逆手にとれば、スロットルコントローラーを後付けして軽快にすることは可能です。
重いと言われる車体重量も実は見た目の印象が強く1100kgは軽量と言えるでしょう。先代のNB型と比べても20kg程しか変りません。この程度ならホイールをアルミ鍛造ホイールに変更したり、ボンネットをカーボンにしたり、あなたが少々ダイエットしたりすれば取り戻せるでしょうw
前回のステップワゴン同様、見た目が与える思い込みってすごいですね。
カスタムで欠点を補って自分好みにしていくのもスポーツカーの醍醐味です。
丸っこい愛嬌のあるデザインが気にならなくて、長く乗るつもりならおススメの1台だといえます。中古市場を見ても走行10万km超車両がごろごろしています。それだけ頑丈で、長期間楽しめる車という見方もできます。
デザインンも走りも丸くなった3代目ロードスターはエンジンぶん回して峠道を走るような車ではなく、ゆったりとオープンカーでのドライブを楽しめる、丸くなった大人の為のスポーツカーと言えるでしょう。
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