絶対表記と相対表記
「C」や「E」といった音の表記は、周波数の高さを示す絶対表記です。
「ド レ ミ ・ ・ ・」も「移動ド」といって相対的に考える場合もありますが、基本的にはアルファベットと同じ絶対表記です。
絶対表記は音楽理論では全く役に立ちません。
音楽理論の根幹にあるのは「調」です。
例えば「C」という音が持つ意味は、調が「Cメジャー」か「Fメジャー」かでは全く違ってきます。
なので、「ある調における相対表記の音名」が必要になるわけです。
こうすれば調に関係な音を語ることができます。
特に重要なのは「主音・属音・下属音・導音」の4つです。
英語名とイメージの把握
日本語 | 英 語 |
---|---|
主 音 | Tonic |
上主音 | Super Tonic |
中 音 | Mediant |
下属音 | Sub Dominant |
属 音 | Dominant |
下中音 | Sub mediant |
導 音 | Leading Tone |
調の中での立ち位置を示すために「相対表記」の音名があります。
スリーコード
ディグリーネームは7つありましたが、Ⅶm(b5)は、他とは性質、用法が大きく異なるのでここでは省きます。
残りの6つのダイアトニックコードで、2つのグループに分けることができます。
ダイアトニックコードには、メジャーコードとマイナーコードそれぞれ3つずつありますが、そのうちメジャーコードの3つをスリーコードといいます。
主要3和音とも呼ばれ、その機能は
トニック(Ⅰ)
サブドミナント(Ⅳ)
ドミナント(Ⅴ)
といい、6つのダイアトニックコードの中でも、この3つが特に重要です。
残りの3つは、代理コードといいます。
代理コード
代理コードは、曲中のスリーコードと入れ替えて使うことができるという性質があります。
スリーコードの代理をするので、代理コードと名付けられています。
元のコード | Ⅰ | Ⅳ | Ⅴ |
---|---|---|---|
代理コード | Ⅵm,Ⅲm | Ⅱm | Ⅲm |
クラシックの世界では、短調ならⅣがⅥmの代わりになる、ということになっているみたいですが、現代ではあまり一般的ではありません。
不協和音が起きる心配がなく、曲想をほとんど変えず、コードアレンジが出来るのは、この「スリーコードと代理コードのペア」になります。
微妙な違いがありますが、この差異に対して敏感になり、使い分ける術を身に付ければ、ダイアトニックコードだけでも非常に豊かな表現が可能になります。
コードには個々の性質があり、その性質が似通っている組だけが入れ替えられるので、「代理できる組とそうでない組」があります。