ケーデンス
ケーデンスとは、コード進行が始まって終わるまでの単位のことで、特に終わり方を指す言葉です。
コードの機能は3つあります。
機能 | 安定 | 不安定 | やや不安定 |
---|---|---|---|
名前 | トニック | ドミナント | サブドミナント |
コード | Ⅰ,Ⅵm,Ⅲm | Ⅴ,Ⅲm | Ⅳ,Ⅱm |
コード進行とは
トニックに進む進行が基本
です。
トニックへ進行し、和音の響きが安定することを
「解決する」
といいます。
「解決」を繰り返すことによって、曲は進行していき、「解決」してからまた「解決」するまでの進行をケーデンスといいます。
長い曲、複雑なコード進行の曲、いずれも小さなケーデンスが集まって出来たものといえます。
ケーデンスの種類
ケーデンスは、その進行の終わり方(終止形)によって区別することができます。
「終止形」といっても曲のエンディングだけに使われるものではありません。
全終止
最も基本的な終止形が「全終止」です。
「ドミナント」から「トニック」へ進む強進行で、ドミナント・モーションはこの進行を指します。
「全終止」は解決した時のメロディの音程によって
「完全終止」
「不完全終止」
に分けられます。
完全終止
和音だけではなく、メロディも主音へ進むものを完全終止といいます。
極めて安定した感じが得られるので、ポピュラー音楽ではサビの終わりに、クラシックでは曲の終わりによく使われます。
不完全終止
和音はトニックに解決するものの、メロディは主音へ進まないものを不完全終止といいます。
メロディが主音に行かない分だけ曲の安定感は損なわれ、代わりに浮遊感や哀愁など別の印象を与えることができます。
また、低音のベースが「ド」に進まず「ミ」になっている時なども不完全終止です。
半終止
ドミナントのまま解決せずに次のフレーズに進むことを半終止といいます。
不安定さを「溜める」形になるので、サビの前などによく使われます。
変終止
ドミナントではなく、サブドミナントからトニックへ解決するものを変終止といいます。
全終止や半終止に比べると安定感の落差が少なく、比較的穏やかな進行になります。
「変格終止」ともいいます。
偽終止
「Ⅰ」へと進まず、代理コードであるⅢmやⅥmへ進むことを偽終止といいます。
全終止に比べると終わった感じが薄くなり、偽りの終止ということで名付けられています。
「一応解決はしたいけど、フレーズが終わって勢いがなくなってしまうのは避けたい」という時に使われます。
「ディセブティブ・ケーデンス」ともいいます。
逆進行
上記のような終止形をとらずに「ドミナントからサブドミナント」へ進む進行は全て逆進行と呼ばれ、好ましくないものとされています。
この時のドミナントとは「Ⅴ」のコードを指し、一般には以下の2つが逆進行と言われています。
Ⅴ→Ⅱm
Ⅴ→Ⅳ
ここでいう「好ましくない」とは、あくまで「最も模範的な和声の進行にはそぐわない」程度の意味であり、クラシックでは避けられていますが、現代音楽では普通に使われています。
「逆進行」という名前と、模範的な進行から外れているということは覚えておいた方がいいかと思います。