米国株のセクターの中で、年初来の最下位は文房具小売業界です。同業界には今、アゲンストの風が吹いています。

この苦境を乗り切ろうとしてステープルズ(ティッカーシンボル:SPLS)はオフィスデポとの合併を発表しました。

しかし司法省は独禁法の見地から、このM&Aを阻止しました。

5月に合併が破談になったので、その後、両社の株価は急落しました。

SPLS

その後、ステープルズは経営トップを入れ替え、シーラ・グッドマンをCEOにしました。

彼女の下で、同社は企業戦略を軌道修正中です。

まず大型実店舗を中心とした戦略から、デリバリー・カンパニーへ脱皮を図ろうとしています。つまり同社のコアの顧客は企業や学校などであり、それらの多くはウェブを通じて文房具や備品を注文します。注文を受けたら、翌日に配達する……これがデリバリー・カンパニーのコンセプトです。

現在、同社の売上高の約半分がウェブからの注文になっています。

ふつう、これらの法人は組織の中に購買担当者が居り、その担当者が法人口座で文房具を買うので、アマゾンとは競合しません。

一方、大型実店舗に関しては、海外展開を止め、北米だけに注力します。また不採算の店舗はどんどん閉めています。売上高の50%が文房具・オフィス用品以外で占められています。

北米小売事業における利幅の確保を最優先の経営課題としており、売上成長やマーケットシェアを追わない方針です。

同社のバランスシートは強固です。営業キャッシュフローは安定しています。

今後は、法人に出入りしている中小の文房具屋を買収し、取引先との関係を手に入れる……そういう地味で小さな買収を繰り返し、その一方で大型実店舗は最も儲かっているロケーションだけを残す……そういう方法で株主へのリターンを高めて行く方針です。


なお同社の決算の〆は1月です。だから下のグラフで「2015年」とあるのは実際には「2016年1月末で〆られた、過去1年」という意味です。

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【略号の読み方】
DPS 一株当たり配当
EPS 一株当たり利益
CFPS 一株当たり営業キャッシュフロー
SPS 一株当たり売上高