はじめに
非常に楽しみにしていたビジネス書『鬼速PDCA』(著:冨田和成さん)を昨日買ってきて、早速読んでみた。本当は今日発売なのだが、家の近くの本屋さんで運よくゲットできた。ということで、発売当日の鬼速レビューだぜ!
なぜ、読もうと思ったのか?
もともと著者の「ZUU社長 冨田和成の鬼速ブログ」を、以前から読んでいた。こちらは仕事術やマインドセットを高めるノウハウがたくさん乗っていて、お勧めのブログの一つである。同僚や友人、後輩にも良く勧めるが、読んだ人は全員やる気が出てくる。他にも色んなブログの記事を友人と共有したりすることは多いが、ブログ記事1つを通してポジティブな力が伝播するというのは珍しいことではないかとも思う。例えばこの記事:
ただ、この記事からすでに7年も経過している。著者の冨田さんが2013年に起業してから、ブログで紹介されていたPDCAを中心とする仕事術はどのように進化していったのか、非常に気になっていた。そんな中、『鬼速PDCA』という本が出版されることを知り、すぐにゲットして読んでみた次第である。
著者紹介を本より引用してみる
ここで、著者紹介を本より引用してみよう。起業してから3年しか経過していないのに、この鬼速な勢い!!
株式会社ZUU代表取締役社長 兼 CEO
神奈川県出身。一橋大学卒。大学在学中にIT分野にて起業。卒業後、野村證券にて数々の営業記録を樹立し、最年少で本社の超富裕層向けプライベートバンク部門に異動。その後、シンガポールでのビジネススクール留学を経て、タイにてASEAN地域の経営戦略を担当。2013年、「世界中の誰もが全力で夢に挑戦できる世界を創る」ことをミッションとして株式会社ZUUを設立。FinTech企業の一角として、月間250万人を集める金融メディア「ZUU Online」や、主要なピッチコンテストでも受賞歴のある投資判断ツール「ZUU Signals」で注目を集める。これまでにシリコンバレーのベンチャーキャピタルを含む総額5.5億円の資金調達を行う。過去にGoogleやFacebookも受賞した世界で最も革新的なテクノロジーベンチャーアワード『Red Herring Asia Top 100 Winners』受賞。最近は金融機関のFinTech推進コンサルティングやデジタルマーケティング支援なども行い、リテール金融のIT化を推進している。著書に『大富豪が実践しているお金の哲学』(クロスメディア・パブリッシング)がある。
なぜいまさらPDCA?
それでは、前置きが長くなったが感想に少しずつ入っていきたい。まずタイトルのPDCAだが、皆さんはPDCAと聞いて、どういうイメージを持たれるだろうか?
私自身は、MECEやSWOTのような数多くあるフレームワークの一つにしか過ぎない、しかも「計画して試して反省してもっと上手くやりましょう」という当たり前のことしか表していない、というイメージだった。もちろん今まで仕事や趣味において、どんどん上達するために色々と工夫をしてきたが、「Pは〇〇、Dは〇〇、Cは〇〇、Aは〇〇」と具体的に書き出してそのフレームワークを有効活用したことはなかった。ビジネス書でよく登場するが、実際にPDCAという言葉を会社で聞いたこともないかもしれない。
著者の「鬼速PDCA」と呼ばれるものは、そんな一般的なPDCAのイメージとは随分異なるものである。ビジネスパーソンにとってPDCAを最重要スキルと位置づけ、徹底的にそのフレームワークを深掘りし、それを実行していくことで他の人の10倍の速度で成長し、99%の人をごぼう抜きしていく、という文字通り「鬼速」を目指していくものである。
PとCの難しさ
私はPDCAの中だとCに苦手意識があった。計画して実行してみる(P→D)は得意だが、その後DOループ(D→D→D→)にハマってしまってそんなに前進できていないこともある。この本を読んで、理由は2つあると発見することができた。一つは計画(P)が考え抜かれていないということ。著者によるとほとんどの人はPの時点でつまずいているらしく、実際に本書でPの解説が終わるのは271ページ中130ページであり、DCAと比べると圧倒的に詳しく書かれている。
もう一つの理由は苦手意識が示していたとおりCに問題があった。私は振り返るのが苦手なのだが、その理由も書かれていた。少しだけ引用してみたい。
「振り返りの時間がないんですよね」という言い訳もいままで何百回も聞いてきた。
しかし私が営業マンだったころは飲み会などのアポをわざわざ平日に入れて(金曜も気が緩んで深酒してしまうので避けていた)、週末はインプットと振り返りの時間にあてていた。土日を100%、自分の成長のための時間に当てられる人はそう多くはないだろうが、要は覚悟次第で時間はいくらでも作れるということを言いたいのである。
おそらく振り返りが苦手な人は、立ち止まって考えるよりも汗を流して走り回っているほうが前に進んでいる印象を受けるのかもしれない。確かにそれはそれで「頑張っている充実感」はあるかのかもしれない。
これはまさしく自分のことだ。振り返りのために立ち止まると、どこか損をしている気になるが、それは地味で面倒な作業を脳が避けたがっているだけなのかもしれない。だが、こうやってハッキリと言われることで目が覚める。
どのぐらいお勧めなのか?
結論から言うと、超絶お勧め。普段は土曜日にしか記事を更新しないが、急遽、レビューをアップするのも、それだけお勧めだからである。
ビジネス書を読んでいると、どの本も「以前に聞いたことのある話が7割、初めて聞く話が3割」の比率である気がするが、『鬼速PDCA』の場合はその比率が逆転する。以前にも聞いたことのある議論が展開されるのかと思いきや、次々と新たな知見が書かれていたり、常識と異なるノウハウが紹介されていくので、「ぼーっと読んでいたら置いていかれる!」という不思議な緊張感に包まれる。心のなかで「まじかよ!」と何度も叫びながらこの本を楽しむことができた。
世の中のビジネス書には著者がパパッと書き上げたようなものも数多くあるが、『鬼速PDCA』のように著者が長年に渡ってノウハウを開発し、それに加え数多くの人に実践してもらうことでより洗練させるというプロセスを踏んでいるものに、ハズレはほとんどない。一般の人が身につけていく際に気をつけるべき点といった痒いところの話が網羅されている事が多い。
実際に読んでもらうとわかるが、非常に濃い。第1章はビジネス書ライクなタッチだが、第2章以降はゴリゴリのPDCAマニュアルになっている。細かい工夫点や落とし穴などがきめ細かく解説されている。著者のライフハック術も数多く紹介されていているので、ライフハッカーにもお勧め。
それでも買うべきか迷っている人がいれば、著者のブログで公開されている以下の2つの記事にも目を通して見ると良いかもしれない。それで「面白そう!」と思ったら、読んでみることをお勧めする。
(ただし、私は読んだばかりなので、書かれていることを実践するのはこれから。残念ながら現時点では実践した上で勧めているわけではない。)
これから自分をどう変えていくのか?
そろそろ2017年の課題図書を決めないといけないな、と思っていたところだったので、『鬼速PDCA』を来年の課題図書に設定することにした。課題図書と言ってしまうと大袈裟だが、何をするかというと、一年間ずっと机の上においておき、その本の隅々まで実践して身につけることを目指していくのである。
なぜそうするかというと、第2章以降はPDCAマニュアルのような形になっていて、この本の内容を吸収するにはかなりの時間と練習が求められそう、と感じたからである。これはもう、分厚いMBAの教科書を読み込んでいくような気持ちで読み込んで実践していくぜ!
このような素晴らしいビジネス書にせっかく出会ったのに、読んで終わりにしたくないという思いもあり、ここで宣言しておくことで自分にプレッシャーをかける、というのもまた一つの理由である。
ちなみに過去数年の課題図書は『ゼロ秒思考』(著:赤羽雄二さん)、『速さはすべてを解決する』(著:赤羽雄二さん)、『疲れない脳をつくる生活習慣―働く人のためのマインドフルネス講座』(著:石川善樹さん)などだ。このブログでもそれらについて色々と紹介してきた。
なので、これからも、この本の内容を実践していく途中経過報告のような記事も書いていければと思います。一年後には鬼速PDCAを鬼のように回せるよう頑張っていきます!
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おっと、「頑張っていきます」というのは鬼速PDCAでは禁句だった。なぜなら「要因を精神面に求めると、なんとなく「一段落した感じ」がして思考がとまってしまうから厄介」とのことらしい。
ふむふむ、たしかに私もこのブログ記事を「頑張ります!」と締めくくることで、表面的には刺激を受けて高まっているものの、「しばらくはPDCAのことを忘れてOK!コーヒーでも飲みに行こ〜」という気分に無意識レベルでなってしまった。危ないところだったぜ!