日銀は24日発表した10月の金融システムリポートで、2015年度に46%の地銀で人件費などの経費が本業の収益を上回っていたとの試算を示した。収益減少が長引くと赤字になりやすい恐れがあり「金融仲介機能が今後低下する可能性がある」(金融機構局)としている。
日銀は今回のリポートでマイナス金利下での金融機関経営への影響に焦点をあて、今後のリスクについて分析した。
地銀は人件費などの経費が本業の貸出金利息や金融サービスの手数料を上回る傾向が続く。マイナス金利で融資や有価証券運用が低迷するなか、投資信託や外国債券といったリスク性資産への投資を加速。地銀による投信への投資比率は総資産の6%弱まで増え、不動産ファンドへの投資増加も注視する必要があるとの見解を示した。
信用金庫は過去10年の間に、預金と貸出金の利ざやが0.5%ほど低下したと分析。そのうち人口減少などの要因が大きく、今後も低成長が続けば一段の収益力低下が避けられないと見ている。現時点で地銀や信金の資本はなお充実しているものの、低金利下での持続的な経営モデルが課題になると指摘した。