保育士殺害 たまたま見かけた女性狙ったか

保育士殺害 たまたま見かけた女性狙ったか
福岡市のアパートで28歳の保育士の女性が刃物で刺されて殺害された事件で、逮捕された男が、事件の前に女性を見たことがあるという趣旨の供述をしていることが捜査関係者への取材でわかりました。警察は、たまたま見かけた女性を狙って部屋に侵入し、刺した疑いがあると見て調べています。
今月15日、福岡市南区のアパートで、保育士の肱岡綾音さん(28)が刃物で刺されて意識不明の重体になり、7日後の22日、死亡しました。

警察は住所不定の冨士田清治容疑者(47)を逮捕して殺人の疑いで調べています。捜査関係者によりますと、調べに対し、刃物で刺したことを認めたうえで、事件の前に肘岡さんを見たことがあるという趣旨の供述をしているということです。

一方、関係者によりますと、冨士田容疑者は12年前にも1人暮らしの女性を刃物で刺したなどとして、有罪判決を受けて服役し、ことし2月に仮釈放されたあと、福岡県久留米市の施設で生活していました。そして、今月初旬に施設を出て住み込みの仕事に就きましたが、すぐに辞めたということです。

警察によりますと、その後は県内のインターネットカフェなどを転々としていということです。警察はたまたま見かけた被害者を狙って部屋に侵入し、刃物で刺した疑いがあると見て詳しいいきさつを調べています。

肱岡さんの通夜 突然の死を悼む

殺害された肱岡綾音さんの通夜が、24日午後7時から福岡市内の斎場で営まれ、親族のほか保育園の同僚や学生時代からの友人などが参列しました。
友人たちはハンカチで涙をぬぐいながら肩を寄せ合うようにして斎場に入っていました。
参列した50代の男性は「2人の孫がお世話になりましたが、とても優しい先生でした。亡くなられて残念です」と話していました。
肱岡さんの父親の友人という女性は「お父さんは、きのう自宅で綾音さんに寄り添われて眠られたと聞きました。とても素直で優しい自慢の娘さんだっただけに本当に残念です」と話していました。

被害者の父親「未だ、この現実を受け入れられません」

殺害された肱岡綾音さんの父親の修さんが警察を通じてコメントを出しました。この中で、修さんは「最愛の娘が天国へ旅立ちました。何の落ち度もないのにたったの28歳で命を奪われてしまいました。未だ、この現実を受け入れることができません。娘は、婚約者との結婚を夢見て、保育士として忙しいながらも、平凡で楽しい幸せな日々を送っていました。しかし、その夢と希望に満ちた人生はたった一瞬の犯行によりはかなく散ってしまいました。これまでも、これからも綾音を守ります」とつづっています。

勤めていた保育園でも悲しみの声

肱岡さんが勤めていた福岡市内の保育園では24日朝、子どもを預けに来た保護者が、ハンカチで目頭を押さえて涙ぐむ姿も見られました。

肱岡さんのクラスに3歳の孫がいて、6歳の孫も以前受け持ってもらったことがあるという70代の女性は「先生はとてもきれいで優しくて子どもたちに人気があり、私も大好きでした。亡くなったことを子どもたちに何と伝えてよいのかまだわかりません」と話していました。

5歳の孫が通う60代の男性は「朝、保育園に行くと、大きな声であいさつしてくれるとても明るい先生でした。亡くなったことが本当に残念でなりません」と話していました。