君が代の起立斉唱を公立学校の教職員に義務付けた大阪府条例を巡り、府立特別支援学校の男性教諭(59)が不起立を理由に受けた減給処分の取り消しと慰謝料200万円の支払いを府に求めた訴訟の控訴審判決が24日、大阪高裁であった。中村哲裁判長は処分を適法とした1審・大阪地裁判決を支持し、教諭側の控訴を棄却した。府条例についても思想・良心の自由を保障した憲法に反しないと改めて判断した。
判決によると、特別支援学校教諭の奥野泰孝さんは2013年の卒業式で君が代を起立斉唱しなかった。校長の命令に背いたなどとして、府教委は奥野さんを減給(10分の1)1カ月の懲戒処分にした。
中村裁判長は卒業式での起立斉唱を「慣例上の儀礼的な所作」と指摘。校長の命令やその根拠となった府条例について、「目的などを総合的に判断すれば、制約を許容し得る程度の必要性や合理性が認められる」と結論付けた。
府条例は11年6月、当時の橋下徹知事が主導し、全国で初めて制定された。【向畑泰司】