一見して叩かれるべき対象である圧迫面接ですが、ちょっと視点をずらすと勉強になる部分もあります。
圧迫面接は相手の忍耐力を測るためのもので、従順な人材を見抜くのに使われます。
極端な圧迫以外にも、1回目はボロクソに叩いておき、2回目にアメを与えるような受け答えをしておけば、無理をお願いしてもやってくれる人物が見つかることでしょう。
圧迫面接の裏側を知っておくことで人材の見抜き方が覚えられ、コミュニケーションをとるうえで相手より優位に立つことが可能。
また圧迫する側の事情を知っておくことで、自分がぞんざいに扱われる環境を避けることもできます。
目次
相手の性格を見抜く
圧迫面接そのものについては忍耐力を見抜くためのもので、ストレス耐性やムリなことへの耐久性を見るのに使われます。
正直、圧迫面接をしてくるようなところには行かないのが吉でしょう。ボロボロになるまで使われますので。(笑)
さて、圧迫面接をするような企業には行かない一方で、圧迫面接というものを分解してみると色々なものが見えてきます。
- 忍耐強い人材の見抜き方
- 一貫性の原理
- 面接における有利不利
忍耐強い人材を見つけ出すには経歴を聞き出す以外にも、面接時に「君、もう帰っていいよ」みたいに冷たい態度を取ったときの反応でフィルタリングできます。
また圧迫面接は一貫性の原理を使っていると考えることもでき、被面接者に会社に尽くす旨を言わせ、「圧迫面接をしてくるようなひどい会社でも入りますよ」というのを言わせているようにも捉えられます。
さらに圧迫面接そのものが「雇ってあげる」的な立場によるものであることも事実です。企業の方が被面接者よりも有利な立場になければ、圧迫面接はできません。
圧迫する話し方で従順さを判断
圧迫面接をしてもひるまず、冷静に受け答えする人物は、ストレス耐性が高いといえます。
つまりはムリなことを押し付けてもこなしてくれる人物を見つけるのが圧迫面接で、従順な奴隷を探すのにはもってこいな手法です。
ストレスフルな環境、理不尽なクレーム、サービス残業、etc…
ストレス耐性のある人材というのは、面倒くさいことであっても的確に対処してくれます。圧迫面接をする側の考えとしては、ちょっとやそっとの圧迫に耐えられない人材などいらないというものです。
実際、クレームに対処してくれたり無給で働いてくれたりする人材がいたらどうでしょうか?かなり便利ですよね。
どんなに理不尽なことを言われても耐える、キツい環境でも耐えて自己犠牲の精神で働く。そのような優秀な奴隷を探し出すのに、圧迫面接はピッタリというわけです。
一貫性で否定できなくする
圧迫面接を一貫性の原理からとらえると、ブラックな環境で働くことに対して同意を促しているようにも受け取れます。
面接の時点でぞんざいに扱うような企業は、入ってからも過酷な環境におかれるのが目に見えています。普通に考えれば、そんなところには入ろうとは思いません。
ところが、そこに一貫性の原理を持ち込むと状況はちがってきます。被面接者は雇って欲しいの一辺倒なので、たとえ面接でひとい仕打ちを受けても「入らせてください」と返してくるわけです。
被面接者の雇って欲しい気持ちと、ひどい扱いをされたうえでの「入らせてください!なんでもしますから!」のような受け答えが組み合わさると、過酷な環境であっても働くことを宣言する形となります。
そうして被面接者は従順な奴隷として働くことを宣言し、面接したその場で合格を出しでもすれば、ほかの選考を諦めさせることも可能となるのです。
一回落としておいて、跳ね返ってきたら思いっきり持ち上げる。そうすることでひどい仕打ちに対してもYESと言うしかなくなり、ズルズルと蟻地獄に引きずり込まれていきます。
被面接者よりも有利だからこそできる
圧迫面接は従順な奴隷を見つけ出すには適した手法ですが、企業が被面接者よりも強い立場でないとできません。
せっかく欲しい人材を見つけても、そこで圧迫面接をして嫌われでもしたらどうでしょう?貴重な人材を逃してしまいますよね。
つまるところ圧迫面接というのは足元を見て行うべきものであって、被面接者がお金に困っているところにつけ込んで行うものなのです。
もし被面接者がバリバリ売上を上げられるタイプの人間だったとして、ぞんざいに扱ったら逃げられるのは明らかでしょう。
売上を出してくれる人間は優遇しないと去っていきますし、上客を優遇するのと同様、デキる人間をぞんざいに扱ってはならないのです。
褒めることだけがすべてではない
企業が従順な奴隷を扱うにあたっては、褒めるだけがすべてではありません。
アメとムチを使いこなし、より使える奴隷に仕立て上げるのが企業です。
たとえばあなたが結果を出したとして、必ずしもそれに対して褒めるべきではありません。
ちょっとの結果では褒めず、ほかのメンバーも頑張っている旨を伝え、競争させる。最終的なアウトプットを考え、褒めるよりもムチを打つ方が効果的なのであれば迷わずムチを打って競わせるのです。
ほかにも残業を当たり前のように教え込んだり、お金ではなくやりがいで対価を支払ったりするなど、奴隷に洗脳する手口はさまざま。圧迫面接というのはその入口にすぎません。
圧迫は面接の段階から
圧迫面接におけるコミュニケーションそのものも、洗脳の一部と考えることができます。
圧迫面接でも冷静に受け答えするのを当然のこととしておけば、「たとえ辛い環境であっても耐えるのが当然」という考えの人のみが集まってくるわけです。
面接の段階ですでに「ひどい仕打ちでも文句を言わない」ということも当たり前のものとなり、ぞんざいに扱われることに対して疑いの目を持たなくなります。
人を募集する段階で理不尽さに耐えるのを当然と刷り込んでおけば、従業員になったときも何も疑わなくなるでしょう。
ブラック企業の洗脳は、面接の段階から始まっているのです。
アメとムチの使いこなし
落としておいて、あとでヨイショする。褒めておいて、急に落とす。
アメとムチをうまくコントロールすることで、相手をうまくコントロールすることが可能です。
圧迫面接においても、被面接者を褒めるばかりではなくアメとムチを使いこなすことによって、面接官は被面接者よりも優位にコミュニケーションをとることができます。
被面接者が思わぬところでのアメとムチに戸惑う一方で、面接官は自分のペースにもちこんでひたすら優位に立ち回る。それこそが圧迫面接であり、大抵の場合には被面接者は雇ってもらう立場のため、優位に立てることが少ないです。
アメムチは使いこなすと非常におそろしいもので、自分が優位に立っている限りは延々とマインドコントロールができてしまいます。
アメとムチを使い分け、情報統制や思考停止と併用することにより、ブラック企業は思い通りに人材を奴隷に加工できるのです。
まとめ
圧迫面接は結局のところ、奴隷のはじまりに過ぎません。
圧迫して人材をフィルタリングする必要があるところというのは、それ相応の従順さを持った人材を欲しているということ。
ストレス耐性は重要といっても、わざわざ圧迫の必要があるところには近づかないのが賢明です。
一貫性、アメとムチ、従順さのチェックといった特徴の圧迫面接は、その前提条件として被面接者よりも面接官や企業が有利というのが存在します。
ほかに選択肢がある人がわざわざ圧迫するようなところに来るメリットはなく、来てもらう立場になった場合にはあまり合理的な面接方法とはいえません。
圧迫面接といっても、有利不利がわかってようやく圧迫できるのです。
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