地震の影響で地面に落下した収穫間近の梨=鳥取県湯梨浜町で2016年10月22日午後1時10分、平川義之撮影
鳥取県で最大震度6弱を観測した地震で、県の名産ナシにも大きな被害が出た。栽培が盛んな県中部では7割が落果。JA鳥取中央によると、24日時点で被害額は6000万円に上る見込みだ。収穫を控えていた農家の間にやりきれなさが広がっている。
この時期に収穫期を迎える「王秋」「あたご」などで被害が大きく、北栄町の岸田一成さん(69)の農園では9割近くが落ちた。中でも11月に収穫のピークを迎えるあたごは実が熟しておらず、全て廃棄せざるを得ない。岸田さんは「自然災害はどうにもならん。ナシは来年も作れるから、命が助かっただけでも良かったと思わないと」とため息をついた。
県中部の農家がナシを持ち込む湯梨浜町の集荷施設「東郷梨選果場」も実の大きさなどを選別する機械の5台全てが破損し、使えなくなった。だが、少しでも農家の収入の足しにしてもらおうと傷みの少ない王秋の集荷を開始。26日から「訳あり品」として販売する予定だ。
24日に選果場を視察した平井伸治県知事は「復旧に向けて万全の対応を政府に求めたい」と話した。【小野まなみ】