Fringe81社長日記Fringe81 CEO's Blog

今年中に解決したいデジタルマーケティングにおける3つのこと

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佐藤です。
Fringe81ではプロダクト統括及び自社ソリューションの営業責任者、並びに現場でのマーケティングコンサル等をしています。入社して6年になりますが、アドテクノロジー・マーケティングコンサル領域でお客様に価値を提供すべく取り組んできました。

中でも第三者配信を利用した分析案件は200件ほどに関わってきており、インターネット広告の予算配分評価・データの取扱いと解釈・そしてそれらを通じての顧客課題の解決に取り組んできました。お客様に評価頂いた甲斐あって、第三者配信/アトリビューション分野及びウェブ広告の予算配分については相応の知見が蓄積できたものと考えています。

そんな私が最近インターネット広告の出稿に関わっている中で思うところが3つあります。

  1. リターゲティング広告は素晴らしいです。が、ちょっと予算が偏りすぎていませんか?
  2. 広告出稿データを収集するのに時間が掛かっていませんか?また、そのデータに改ざんや間違いのリスクはありませんか?
  3. 広告出稿に関わるメンバーとのコミュニケーションの質・速度に不満はありませんか?

 

上記3つの思うところについてようやく解決する見立てが出来てきましたので、
これから数回に渡ってひとつひとつこの場を借りてお伝えしていこうと思います。

 

1.リターゲティング広告は、実はそこまで成果を出していない

やらない理由はなかったリターゲティング広告

インターネット広告に関わる広告代理店側から見れば、リターゲティング広告(以下リタゲ)は数あるインターネット広告の中でも鉄板の部類に入る、メディアプランには必ずいれるべき広告であるという見立ては納得頂けると思います。また広告を出稿しているクライアント様からみても、実施しておけば間違いない選択肢。もっというと、定番なのでとりあえず実施しておけば社内的に怒られにくい選択肢になってきている会社もあるかもしれません。

出稿額を3倍にしても、売上は10%止まり

ここまで日本のインターネット広告シーンに定着したリタゲですが、費用対効果はどこまで検証されているのでしょうか?あるいは、費用対効果を突き詰めて分析しないまでも、時として出稿量のわりに売上が上がらないと感じることはないでしょうか?私達の経験としては、リタゲに月500万円以上投資されている場合においてはその効果の程に疑問を持たれる声をよく耳にします。
なぜか。それは、感覚だけでなく、「実際に」リタゲの出稿額に比例して売上が上がらなくなっているからです。あるクライアント様では、ここ数年でリタゲの出稿額が3倍になったけれども、サイトの広告経由の売上は10%程度の純増に留まっているという事を課題だと捉えておられました。(無論、リタゲの獲得効率は一定です)

10倍違うCPA

こうした課題に対し、私達は直近6ヶ月間に渡り仮説検証をクライアント様と一緒に行ってきまして、ようやく対外的に事例を公表できる状況になりました。あるクライアント様では、「リタゲのCPAが2,000円だと思っていたが、実際は20,000円だった」という驚愕の調査結果が出ています。
ん?どういうことだ?と思われた方もいらっしゃるでしょう。調査結果のポイントは、「広告経由のコンバージョン数増加とサイト全体のコンバージョン数増加は比例していない」という所です。
今後、私達がお手伝いした案件において、クライアント様の肌感覚を定量化/可視化し、費用対効果の改善につなげた例をご紹介していきます。

 

2.データを集めるのに時間を使いすぎている

データ量は増加し続け、判断する時間は減り続ける=つらい

毎月一定の広告出稿をされているクライアント様は特にこの問題に直面していると思います。インターネット広告はどんどん複雑になり、報告されるレポートを見て何が起きているのか、次何をすべきかを解釈する労力は日に日に増しています。
事実として、インターネット広告媒体費に占める運用型広告の割合は2014年度が61.9%だったのに対し、2015年度は67.7%とシェアを伸ばしています。これは、インターネット広告出稿におけるデータ計測・解釈・広告効果改善仮説立案・入札単価調整・予算調整・クリエイティブ差替等の業務が増えていると捉える事もできます。インターネット広告はアドテクノロジーにより人の手が掛からず高速かつ自動的に改善されていく様になったと思いきや、実は以前より人の手が掛かる様になってきているのです。
(参考:
2014年 日本の広告費http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/0224-003977.html
2015年 日本の広告費http://www.dentsu.co.jp/news/release/2016/0223-008678.html)

いますぐ、正確なデータが欲しい

解釈の元となるデータの質とスピードもまちまちです。
広告効果測定ツールを導入してはいるものの有効に活用出来ていない、活用出来ていても見づらい等の問題は良く耳にします。また広告効果測定ツールのデータを元に広告代理店からExcelを毎日メールで送付してもらっているクライアント様もいらっしゃれば、媒体の計測データを週一回送付され、自社計測とのコンバージョンの乖離やレポートの結合作業に途方に暮れているクライアント様もいらっしゃることでしょう。またまことにややこしいことに、レポートの質やスピードは出稿金額に必ずしも比例しないというケースもあるのではないでしょうか。

手作業がもたらすリスク

ただ、せっかくテクノロジーがこれだけ発達した世の中になってきているのですから、そろそろレポートの集計や統合に人間の時間を使うのは止めにすべきです。この膨大なレポート集計作業が至る所で大量に発生しているのでオペレーター側は長時間労働する事になりますし、ミスを誘発しかねません。また人の手に委ねられる部分が多いということは、巡り巡ってデータ改ざんのリスクが高まる事にもなります。
私達は広告出稿されるクライアント様が低コストで一次情報を取りに行く体制を構築する事で、クライアント様はよりスピーディな意思決定が出来るようになり、広告代理店は改善施策の立案に時間をかけられる様にしたいと考えています。
ここについても、今後私達が推進するソリューションをご紹介します。

 

3.インターネット広告出稿に関わるチームのコミュニケーションを深めたい/早めたい

信頼は、日々の絶え間ない会話から生まれる

リタゲなどの費用対効果が確認でき、正確でタイムリーにレポートが入手できればすべて解決かというと、そういうわけではありません。インターネット広告運用の際には、クライアント様と代理店が一つのチームとして機能することが不可欠です。一方でこうした最高のチームをインターネット広告運用の際に作る上で最も大きな課題になっていると感じたものが、コミュニケーションでした。
みなさんの経験で、過去最高のチームとはどういう要素がありましたか?

それぞれ個性の違いはあれど、共通の目的を胸に、強い達成意欲を持ったメンバーが
膝を突き合わせ、時にはぶつかり合いながらもそれぞれの役割・個性を最大限発揮し
これを成し遂げていく。もちろん情報は全員に共有されていて、
いつでも本質的な議論がすぐに出来る。こういうものだったのではないでしょうか。

ビジネスでの意思疎通の方法は遅れている

データはどんどんリアルタイムに計測出来るようになっている、あるいは2.で述べたように迅速かつリアルタイムでレポートを見られるようになるはずなのに、
コミュニケーションは未だリアルタイム性が低い。メール・電話が当たり前だと思います。
そして、代理店、ソリューションベンダー…と関与者が増えてくればなおさら意思疎通は困難になり、電話のような一対一の通信手段だけでは情報伝達の遅れや伝言ゲームを誘発するのは想像に難くありません。結果として、時間のロスと情報の劣化を招いた経験は誰しもがあるのではないでしょうか?
一方で、一部の方にとっては仕事の議論・依頼がFacebook Messengerなどのチャットツール経由に移行していき、むしろこうした多対多の非同期的コミュニケーションツールの方がメール・電話よりも生産性を高めるのに役に立っている場合もあるのではないでしょうか。

Always on

ここにインターネット広告運用のチームづくりの秘訣があると私たちは考えています。すなわち、メール・電話に代え多対多の非同期的コミュニケーション手段を活用することで、インターネット広告運用のコミュニケーションやタスク管理がスムーズに行われ、目標達成確率を高める体制が作れるのです。
今後、この課題に対し私達の取り組みによりどれだけ意思決定の精度/速度が高まったかをご紹介します。

 

終わりに

ここまで読んで頂き有難うございます。
そうそう、その課題持ってた!という方、
ここに書かれていないまた別の課題を感じられている方、
是非、ご意見ご感想を聞かせてください。
次回からはいよいよ具体的な話をしていきます。まずは「リターゲティング、実際はどのくらい効いているの?」をテーマとします。ご期待ください。

Author : ysato