べっぴんさん 一週間 第3週「とにかく前に」 2016.10.23


・「『雨上がりの空に七色の虹が架かる』」・「ってそんなに単純じゃない」・「この夢想家でもそれくらい理解ってる」辺り一面…焼け野原やった。
何も…無くなってしまった。
会社はどうやった?
(ゆり)全部焼けて…野上のお義父さんが…。
(五十八)野上がどないしたんや?どないしたんや!亡くなってました。
(正蔵)今後の処理はきっちりわてがやります。
心配せんように。
(はな)
紀夫君と潔君からは便りがないままです
(節子)肇!
戦地から本家の長男が帰ってきました
(肇)ただいま。
その数日後
お呼びでしょうか?出てってもらいたいんや。
この子ら神戸のうちが焼けたん知ってるやろ?知っててそんな事言うんか?一生甘えられても困るんや。
うちにはうちの家族がおるんやから。
困らせよう思うて言うてる訳やない…。
何言うてるんですか!家だけやない。
大阪の会社も焼けたんです!そんな私らに出てけ言うんですね?もういいです!出ていきます!お姉ちゃん!今出てってどうするの?
(子ども)おいちゃん待って〜。
(男)あああるある。
何ぼでもあるで!ほれほれケンカすな!潔さん!
(潔)ゆり!ただいま。
どれだけ心配した思てんの!お義父さんがね…大阪が空襲を受けた時…亡くなったんよ。
坂東営業部のビルも焼けてしまって…。
大阪に戻る。
えっ?一旗揚げるんや!これで終わりやない。
うん…。
すみれは?神戸で紀夫さんを待ちます。
すみれは庭の片隅にバラック小屋を建てゆりと潔は大阪の闇市で商売をしながら暮らし始めました
あいつら後から入って我が物顔ですわ。
進駐軍にぶっといコネ持っとるらしくて。
(子分)調子に乗りよって。
昭和21年を迎えました。
経済は大混乱となり唯一の命綱だった配給も…
これで終わりや。
遅配続きで当てにならず皆が困窮した日々を送るようになりました
すみれちゃん。
ほれっ!わあ〜。
米と粉ミルクとパンや。
遠慮せんとさくらにやってや。
ありがとう!
(忠一郎)ごめんください。
(ゆりすみれ)お父様!ゆりすみれ…元気やったか?とりあえずは何か物を売って闇で現金に換えて食べ物を手に入れるしかないやろな。
この国はめちゃくちゃや。
(五十八)わしはこの国を良うしよう思て議員になった。
それが進駐軍に取り調べ受けて…。
何ものうなってもうた。
誰に負けたんやろなわしは…。
(潔)負けと決めるにはまだ早いんちゃいます?わしはゆりと坂東営業部を必ず復活させてみせます。
日本が戦争で負けたからいうてお義父さんとおやじが負けた事にはならへんのや!
すみれは思い出の品をかき集め闇市に売りに行こうと決心します
(玉井)場銭払えんのやったらとっとと出ていけ!そんなむちゃな!痛い痛い痛い…!何してるんですか!大丈夫ですか?潔とかいうやつの女ですわ。
何様や?ええ?何ですか…?
(栄輔)ちょっと待て!何しとるんや!何やオラッ!おい行くぞ。
は…はい!アニキ…。
おお〜っ!アニキ!わあ〜!ハハハッ!どなた?わし岩佐栄輔いいます。
復員列車で知り合うてすっかり意気投合したんや!なあ!
(栄輔)頂きます。
うまい…!すみません…。
(ゆり)はい。
すみれ!よかったやっぱりここやった!
(ゆり)座って。
うわぁ〜ごちそう…。
栄輔いいます。
(潔)家には戻ったんか?焼けてのうなってたわ。
父ちゃんも母ちゃんも妹も死んどった。
ここにおったらええ。
お前の住むとこ探したるわ。
さすがアニキやわ…。
アニキ待ってや!こんなんいつも食べてるんや。
そんな訳ないわ。
うちも大変よ。
お〜い。
その言葉を聞いたすみれはゆりに頼む事ができなくなってしまいました
(悦子)邪魔やねぇおどき。
その帰り道の事です
(悦子)あんた…相変わらずノロノロトロトロしとんのやなぁ。
女学校で一緒やった悦子様やないか!ああ…!よろしいわね手芸倶楽部の皆様方は。
ふん!
(2人)悦子様!あの悦子様がキャバレーかって?私の家族は全員死んだ。
それでも生きていかなあかんねん。
娘のために。
ここに来るんは最後の最後やで。
改めて気持ちを固めたすみれは…
これ…売りたいんやけどどうすればええやろ?わしが現金に換えてきたる。
でもな厳しい事言うようやけど働くしかない。
自分の手ぇで仕事して自分の足で生きるんや。
こじょうちゃんのままではおられへんねんで。
しかしすみれはほかに手だてが見つけられず…
麻田さん。
すみれお嬢様!ご無事でしたか?麻田さんも!この辺りは運よく焼けずに済んだので…。
はあ〜!無事やったんか!この靴を売ってもらえないでしょうか?すみれお嬢様のためだけにあつらえたもんや。
売るやなんて堪忍して下さい。
お金が必要なんです。
さくらを食べさせるために…。
なんとまあかいらしい…。
この写真入れよろしいな。
私が作ったんです。
いろんなもん作ってここで売ったらどないですやろ?売る…?
今まで働いた事などなかったすみれですが生活のために手芸品を作り始めます
(時子)あさやさんで手芸品を?そうや。
見るだけでも構へんからいっぺん遊びに来てぇな。
なっ。
(時子)これ麻田さんが言うてたやつ?はい。
(綾子)ええなぁ!すてきやな〜!ん?ん?してる?してる?嫌やわ。
堪忍して下さいね。
ほな先行くわ。
ならうちらも行こかな。
(2人)そやねぇ。
(戸が開く音)
(ジョン)すいません靴の修理お願いします。
え…。
私新聞社の通訳しています。
日本語大丈夫。
あっ…。
もうすぐ戻ってくると思いますからお待ち下さい。
(ジョン)イエス。
これは?楽しい趣味ですね。
いえ違います。
これを売ってなんとか生活していきたい思うてます。
これワイフにプレゼント。
あ…はい!いくらですか?あ…えっ…まだ値段考えてなくて…。
フフフ…。
1週間が過ぎました。
あの外国人に買ってもらって以来一つも売れていません
(明美)麻田さん。
明美ちゃんやないか!よかった無事やったんやね。
(麻田)まあ入り。
明美さん…?知り合いやったんか?クリスティーナさんのお宅で一度お会いした事あるんです。
一度とちゃうわ。
ここで何しとんの?場所を借りてるんです。
すみれさんなぁここで手作りの雑貨売ってるんやで。
小物入れにハンカチにエプロンで…。
誰が買うねんこないなもん。
みんな生きていくだけで必死やのに誰がこんなぜいたく品買うん?どうぞ。
潔さん。
ん?自分が甘いいう事よく分かったわ。
(栄輔)すみれさん年は?もうすぐ21になります。
俺の死んだ妹と一緒や。
生きとうても生きられへんかった妹の分まで頑張ってほしい。
(戸が開く音)
(ジョン)こんにちは。
いらっしゃい。
修理できてます。
こんにちは。
ワイフ喜んでました。
うれしいわぁ!もうすぐ子どもが生まれます。
おめでとうございます。
(ジョン)でも長旅で体を壊してしまって家でずっとベッド。
寂しい思いをさせてます。
そうですか…。
私も1歳の娘がいるんです。
そう。
何か作ってお持ちしましょうか?おしめとか。
それは助かります!そのおしめ買わせて下さい。
はい!一針一針想いをこめて縫わな。
(ジョン)エイミー。
(英語)どうぞ。
(英語の会話)「こんなもの見た事ない」とワイフは言ってます。
でも日本のおしめは…。
(英語で)ジョンプリーズ!プリーズ…。
(ジョン)申し訳ないけど今日は帰って下さい。
(喜代)日本とアメリカのおしめは違うんですかね?
一方坂東営業部の復帰を目指すゆりと潔は…
ゆり。
毛布は需要あるでぇ。
最低300円で値つけてや。
安う仕入れたのにそんなの高すぎるわ。
(叫び声)待てコラ!どかんかい!どんくさいやつや。
ゆり!大丈夫か?ここはめちゃくちゃや…。
それにこんな事坂東営業部の商売やない。
協力してくれるところを見つけて販路を確保する。
それまでは泥水すすってでも頑張るんや!分かるやろ?潔。
坂東家あっての我々やいう事を忘れたらあかん。
五十八さんをお嬢様方を何があっても守るんや!
(潔)来週には動き始めよう思うとるんや。
取り引きしとった工場に坂東営業部をもう一度旗揚げするいう意気込みだけでも言うて回らな。
わしも連れてってもらえまへんやろか?お前は留守番や。
ゆりの事見とってくれ。
(栄輔)一緒に連れてかへんのか?
(潔)行くさきざきで何が起こるか分からへん。
かといってこんなとこに女一人で置いとく訳にもいかへんやろ。
(時子)あ〜やっぱりすてきやわ〜。
(千代子)女はいくつになっても乙女やなぁ。
(文)やめてよもう!
(綾子)あんなおしゃれしたいなぁ。
せやけどお金ないし…。
(時子)作り方も分からへんし…。
お教えしましょうか?皆さんお上手やないですか。
うれしいわ〜。
(綾子)お礼なんやけど…。
こんなんで堪忍してもらえる?あっありがとう…。
(麻田)大事に取って置いたんですが残りこれだけになってしまいました。
やっぱり…ぜいたく品やね。
私の作るものは…。
もう…潮時やろか。
すみれさんはこれからです。
何が見つかるかも分からんしどこにたどりつくかも分からへん。
そやけどな何もせぇへんかったら何も見つからへん。
そういうもんや思いますで人生いうんは。
(時子)おなかすいたな。
(綾子)お米の配給また遅れてるしなぁ。
(文)毎日大変やわ。
一番大変なのは何ですか?洗濯。
ああ〜おしめよおしめ。
このころみんなが使っていたおしめは2枚一組でした
外国に便利なおしめがあるって聞いたよ。
一回1枚でかさが半分なんやて。
ワンツー。
(ジョン)すみれ。
エイミーさんいらっしゃいますか?フフッビューティフルベイビー。
さくらがつけてるこれ日本のおしめなんです。
(英語)
(ジョン)エイミーのお姉さんが使っていたのはこれじゃないと言ってます。
それ…どうなってるか分かりますか?
(英語)分からない。
スミレ。
(英語)エイミーこの前の事謝ってます。
いいえそんな…。
(エイミーの英語)
(英語)
(ジョン)マミーになるのが不安だって言ってます。
姉が言っていました。
「なくすのが悲しくなるほど大切なものがあるいう事を幸せいうんだ」って。
私は今さくらがいて幸せです。
きっと元気な赤ちゃんが生まれますよ。
アリガトウ。
(喜代)クリスティーナさんのとこでそのおしめ見られたんですよね?明美さんいう人でね母一人子一人で暮らしてたらしいんやけど…。
あの明美ちゃんやろか?女中のマツさんの娘さんの…。
あの子確か看護学校に行ったんや。
六甲中央病院で看護婦さんやってるって聞きましたけど。
看護婦さん…。
はい。
小野明美さん…?はい。
とっくに辞めましたよ。
えっ…。
(麻田)神戸の病院いうても診療所とかまで数えたらぎょうさんありますで。
ほんま全部当たるんですか?行ってきます。
こうしてすみれは何日もの間明美を捜し歩きます。
そして…
明美さん。
ああ…やっと会えた。
お仕事中にごめんなさい。
お願いがあるんです。
明美さんの言うようにぜいたく品が売れると思うてた自分は甘いと思う。
そやから私必要とされてるものを必要としてる人のために作りたい思うてます。
明美さんがいつか作ってたおしめ…。
作り方教えてもらえないでしょうか?もちろんお礼はします。
嫌や。
あんたほんまお嬢さんなんやな。
苦労した事ないからそんなふうに思えるんや。
ほんまに甘いわ。
やっと再会できたというのにその距離は遠すぎたようです
生字幕放送でお伝えします2016/10/23(日) 11:00〜11:20
NHK総合1・神戸
べっぴんさん 一週間 第3週「とにかく前に」[字]

戦争によって家や財産を失ったすみれ(芳根京子)は、潔(高良健吾)の言葉に励まされ、自分で作った手芸品を靴屋の麻田(市村正親)の店の一角で売り始めるが……

詳細情報
番組内容
戦争によって家や財産を失ったすみれ(芳根京子)は、夫が戦地から帰るのを待ち続けていたが、潔(高良健吾)に促され、自分で仕事をして生活する道を模索する。その後、靴屋の麻田(市村正親)に自分で作ったものを麻田の店の一角で売ることを提案されたすみれは、手芸品を作って売り始めるが、ほとんど売れず困り果てる。そんな時、外国人通訳のジョンに妻・エイミー(シャーロット・ケイト・フォックス)のことを相談され……
出演者
【出演】芳根京子,生瀬勝久,菅野美穂,高良健吾,蓮佛美沙子,谷村美月,市村正親,中村玉緒,永山絢斗,本田博太郎,山村紅葉,曽我廼家文童,宮田圭子,三倉茉奈
原作・脚本
【作】渡辺千穂

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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