ネットの差別野放し 在日3世、人権侵害訴え
- 社会|神奈川新聞|
- 公開:2016/10/22 13:02 更新:2016/10/22 13:36
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ヘイトデモに抗議したことへの「狡猾(こうかつ)な偽善者」といういわれなき中傷、在日コリアンへのゆがんだ思い込みからくる「凶悪犯罪を犯す、同胞への非難と謝罪が先だろ」という筋違いな強要、人を人と思わぬ「被害者顔するなゴキブリ」という人の道から遠く外れた悪罵-。
ツイッターや動画投稿サイト「ユーチューブ」を通して押し寄せる差別の嵐に「一個人が対処できる数ではなく、行政機関に動いてもらうしかなかった」。6月施行のヘイトスピーチ解消法は差別的言動の解消に向けた国の責務を明記しており、法を根拠にした国の対応を期待し、9月16日、申告に踏み切った。
在日コリアン集住地域であるわが街、川崎・桜本を目がけて行われたヘイトデモに「差別をやめて共に生きよう」と抗(あらが)いの声を上げた。3月、デモ主催者に対する人権被害申告やヘイトスピーチ規制を巡る国会審議での意見陳述が実名で報じられると、新聞記事やニュース番組で使われた自身の顔写真や動画とともに悪罵にさらされるようになった。
何より耐えられなかったのは、日本人の夫との間に生まれた長男中根寧生(ネオ)さん(14)への誹謗(ひぼう)中傷。「差別をやめようと訴えるのにやましいことなどない」と抗議集会でマイクを握った寧生さんに「チョンやから日本語がわからんようやな?」「日本が嫌なら帰っていいんだよ」「エセ日本人」などと民族性を侮蔑し、排除するヘイトスピーチが投げつけられた。
敵意や憎悪を向けてくる相手を知るすべがなく、差別が放置されたまま誰の目にも触れる状態がいまこの瞬間も続いているという恐怖。崔さんは「警察には何かあったら110番通報してくださいと言われている。そう言われなければならない暮らしから一刻も早く普通の生活に戻りたい」と訴える。
法務局は、崔さんが優先した対応を求める寧生さんへの書き込みについて「人格権を侵害する違法行為」として10月6日、ツイッター社に削除要請を行ったが、同社は21日午後5時現在、要請に応じていない。
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