米軍 南シナ海で「航行の自由」作戦 仲裁裁判後初

米軍 南シナ海で「航行の自由」作戦 仲裁裁判後初
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アメリカ軍は、南シナ海の西沙(パラセル)諸島周辺の中国が主権を主張する海域で、海軍の艦艇を航行させる「航行の自由」作戦を実施し、国際法の範囲を超えた中国の主張を認めない姿勢を改めて示しました。
アメリカ国防総省は、南シナ海の西沙諸島で日本時間の21日午後にアメリカ軍のイージス駆逐艦「ディケーター」が「航行の自由」作戦を実施したことを明らかにしました。

国防総省の当局者によりますと、作戦で駆逐艦は、西沙諸島の島々のうち中国が実効支配するウッディー島とトリトン島の間に挟まれた海域を航行したということです。

この海域は、国際法上の公海に当たり、2つの島からも12海里以上離れていますが中国は主権を主張しているということです。

アメリカ政府はこうした中国の主張を認めない立場でホワイトハウスのアーネスト報道官は21日の会見で、「作戦の目的は国際法に基づく各国の権利や自由を守ることだ」と強調しました。

アメリカ軍が南シナ海で「航行の自由」作戦を実施するのは去年10月以降、4回目で、ことし7月に南シナ海を巡ってフィリピンが申し立てた国際的な仲裁裁判で中国の主張が否定されてからは初めてです。

海洋進出の動きを強める中国に対してはアメリカの同盟国フィリピンのドゥテルテ大統領が20日、習近平国家主席と首脳会談を行い、関係改善をはかる動きを見せていますが、アメリカとしては、国際法の範囲を超えた中国の主張を認めない姿勢を改めて示した形です。

中国報道官「断固として反対」

これについて、中国国防省の呉謙報道官は日本時間の22日未明、談話を発表しました。

談話では、「中国海軍の艦船2隻がすぐさま対応し、アメリカ軍の艦船を警告して追い払った」としたうえで、「アメリカ軍の艦船は、中国の領海に勝手に入ってきており、これは故意の挑発的な行動で、中国側は断固として反対し、アメリカに厳正に申し入れる」として、抗議する考えを示しました。

そのうえで、20日、中国とフィリピンの首脳会談で南シナ海をめぐる問題は、2国間の対話で解決を目指すことが確認されたことを念頭に、談話は、「現在この地域の国々が互いに努力し南シナ海情勢は、前向きな状態にある。こうした中でアメリカ軍の艦船が中国の領海に入ってきたことはアメリカこそが南シナ海情勢の安定に対するトラブルメーカーだということを証明した」と強く非難しました。