宇都宮連続爆発、元自衛官が自殺か…巻き添えで3人重軽傷
23日午前11時40分ごろ、宇都宮市本丸町の宇都宮城址公園付近で爆発があり、宇都宮中央署によると、同市針ケ谷町の元自衛官・栗原敏勝容疑者(72)が焼死体で見つかった。公園では、宇都宮城址まつりが開催されており、巻き添えの2人が大けが、1人が軽傷を負った。爆発前に栗原容疑者の自宅が火災で全焼し、公園近くの駐車場で容疑者名義の車が炎上。遺体から遺書が見つかり、同署は自殺を図ったとみて殺人未遂容疑で調べている。
祭りでにぎわう市の中心部に、白昼の空気を揺るがす轟音(ごうおん)が鳴り響いた。近くに住む49歳男性は「爆風で家が揺れました。(現場を見ると)黒こげになった手足のない遺体が見えました」と声を震わせた。付近の旅館で勤務中だった69歳女性は「震度3くらいの地震かと思いました」と爆発時の衝撃を振り返った。
爆発が起きたのは、公園敷地内にある展示施設「清明館」の北側にある駐輪場。近くのベンチが大破するほどの爆発だった。遺体の損傷は激しかったが、ズボンのポケットには栗原容疑者の運転免許証入りの財布があり、靴下には「命を絶って償います」などと書かれた名前入りの遺書が挟まれていた。
爆発に巻き込まれ、同市のパート従業員・田村光男さん(64)と住所不定・無職の平塚芳信さん(58)が大けが、同市の中学2年の男子生徒(14)が軽傷を負った。同署は栗原容疑者が自殺を図って何かを爆発させたとみて殺人未遂容疑で捜査している。
栗原容疑者は自らの全てを消し去って命を絶つ覚悟だったと見られる。公園で爆発が起こる10分ほど前に、北に200メートルほど離れた駐車場で車両火災が発生。燃えた3台の車のうち1台が栗原容疑者のものだった。さらに、公園から約8キロ南の同市針ケ谷町にある自宅も午前中に火事で全焼した。いずれも炎が隣の建物に及ぶほどの激しい燃え方をしていた。
知人によると、93年に妻と娘3人とともに転居。定年退官した後、ハイヤー運転手や警備員などの仕事に就いたが、耳が不自由だったため昨年11月に解雇され、以降は無職だったという。5年ほど前に別居のために妻が家を出てからは一人暮らし。車で外出することが多かったようだ。
公園では当時、「宇都宮城址まつり」が開かれ、和太鼓などが演奏されていた。また、車両火災があった駐車場は、江戸時代の日光社参を模した「社参行列」が通過するルートのすぐ近くだった。
◆自殺で他人が巻き込まれた主な事件や事故
▼2007年11月 東京都豊島区の商業施設で、女=当時(25)=が飛び降り自殺し、巻き添えになった通行人の男性が死亡
▼08年5月 仙台市で男=当時(23)=が自宅で硫化水素を発生させて自殺。屋外に流出したガスで男性が中毒症状に
▼11年7月 東京都葛飾区のJR総武線新小岩駅で、女性=当時(45)=が通過中の列車に飛び込み、ホームにいた人が巻き添えで負傷
▼15年6月 神奈川県を走行中の東海道新幹線の客室内で、男=当時(71)=が焼身自殺。乗客の女性が気道熱傷による窒息で死亡