2016.10.23 Sunday
読書の秋に読みたい10冊のアート関連書籍
すっかり秋めいてきましたね。あと数週間もすれなヒートテックの出番がやってきます。それにしても、秋は何を行うにも良い季節ですね。
美術館・博物館巡りにはまさに絶好の時季です。 さてさて、アートでも音楽でもはたまた映画でもその成り立ちや「裏話」的なことを知っているのと知らないのでは同じ鑑賞体験でも随分と差が生じるものです。 トークショーや講演会に多くの人が集まる理由もよくわかります。でも時間や場所の制約があり行きたくてもなかなか行けるものではありません。そうしたイベントに参加出来なくても我々には本があります。 アートと本の関係はその他のエンタメと比べても非常に親和性が高く、相性が良いものです。掲載された絵を見ながら活字を読み進める。そして時にはwebで大きな画像で確認してみるなどなど。 秋の一日まるまると時間を読書のために取ることが出来たらどんなに幸せなことでしょう。 そこで、今日は今年刊行されたアート関連書籍の中から自分がおすすめする10冊を紹介します。ジャンルはなるべく偏らないようにセレクトしました。簡潔にカタログのように列挙して参ります。面白そうな本必ず見つかるはずです。 【読書の秋に読みたい10冊のアート関連書籍】 『闇の美術史――カラヴァッジョの水脈 宮下規久朗 (著) 岩波書店 カラヴァジョ研究の第一人者であり、このブログでも度々紹介させていただいている宮下先生渾身の一冊です。西洋絵画のみならず、日本美術はたまた現代アートにおける闇と光をこの本で読み解いています。 この秋、一押しの一冊です! 『どうぶつのことば──根源的暴力をこえて 鴻池 朋子 (著) 羽鳥書店 東日本大震災以降作品のスタイルが大きく変わった鴻池さんによる一冊。「人間はものをつくる」という観点からから問い直し、アーティストとしての矛盾を再度模索していく過程が、専門家との対話や書下ろしを通し赤裸々に語られています。 鴻池さんの展覧会に行った人も行けなかった人も必読の骨太な一冊です! 『ゴヤ「戦争と平和」 大高 保二郎 (著) 新潮社(とんぼの本) 華やかな宮廷画家としてのイメージとともに、残酷な戦争画も多く残したスペインの画家ゴヤ。ゴヤの作品とともに彼が残した言葉を数多く紹介し「戦争と平和」について改めて考えさせられます。堅苦しい内容だけでなく随所に口当たりの良いコラムを挟みバランスよく仕上げています。 例の「巨人」の真贋問題についても触れられています! 『香薬師像の右手 失われたみほとけの行方 貴田 正子 (著) 講談社 旧国宝に指定され、白鳳の最高傑作と言われていた美仏、奈良・新薬師寺の香薬師立像。盗難に遭い現在は行方知らず。しかし元産経新聞社の記者で著者でもある貴田氏により「右手」が発見されたことはあまり知られていません。捜索の一部始終やその後の展開など読み応えたっぷりのドキュメンタリーです。 ゆるふわな仏像ブームとは正反対の本格的な仏像ファンのための一冊です! 『この絵、誰の絵? 100の名作で西洋・日本美術入門 佐藤晃子(著) 美術出版社 見開き左右に2作品それぞれ「この絵、誰の絵?」との質問が。次のページをめくるとそこには作家名や解説だけでなくほかのメジャーな作品も紹介されています。一問一答形式で読み解きながらアートの基本が身につく初心者向けの一冊。でもね、中にはかなりの難問もあり… 入試試験の世界史・日本史の文学史にもここから必ず何問か出るはずです! 『写真をアートにした男: 石原悦郎とツァイト・フォト・サロン 粟生田 弓 (著) 小学館 植田正治、荒木経惟、森山大道といった世界的な写真家が今あるのは、1978年に日本で最初に誕生した写真のコマーシャル・ギャラリーであるツァイト・フォトの創始者、石原悦郎の存在があってこそ。芸術的に認められなかった写真を今ある姿にするまでにどのような格闘があったのか。壮絶な戦いが描かれた読み応え満点です。 アートファン以外にも強くお勧めできる一冊です! 『ドイツ・ルネサンスの挑戦 デューラーとクラーナハ 田辺幹之助 (著, 監修), 新藤淳 (著), 岩谷秋美 (著) 東京美術 イタリア・ルネサンスに対抗した二人のドイツ人画家デューラーとクラーナハを紹介する日本で初めての一冊。そもそもドイツ・ルネサンスとは?から丁寧に解説されており、二人の作家だけでなく北方で活躍した日本人にはあまり馴染みのない画家も豊富な図版とともに紹介。 「クラーナハ展 500年後の誘惑」観に行く前に必読の一冊です! 『美術品でたどる マリー・アントワネットの生涯 中野京子(著) NHK出版 38歳という若さでこの世を去ることになったマリー・アントワネットの生涯をあの『怖い絵』の中野京子先生が分かり易く解説。中野節炸裂しつつ、愉快なコラムもこれまた楽しい。歴史にお詳しい中野先生ならではの視点も随所に垣間見られる良書。今回紹介する中で唯一の新書でもあります。 「マリー・アントワネット展」開催記念出版本です! 『最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常 二宮 敦人 (著) 新潮社 東京藝大に潜入しそこへ通う超個性的な学生たちを紹介した一冊。今回紹介した中で最も笑える一冊です。今の大学生って藝大だけでなく六大学であっても自分たちから見たら「異星人」ですが、その中でも際立ってカオスなのが藝大であることは間違いありません。実在の学生たち多数登場。リアルな藝大生の姿がここにあります。 美術関連書籍?としては異例の売れ行きなのも読めば納得です! 『最期の絵 絶筆をめぐる旅 窪島誠一郎 (著) 芸術新聞社 日本の近現代を代表する画家20人の「絶筆」からその作家を読み解いていくユニークな視点で書かれた一冊です。絶筆という表現からイメージするものとはそれぞれみな違うのが面白いところ。何も悲壮感漂うものばかりではありません。迫りくる死の気配を感じつつもあえて明るい作品を描いたような作家も。20のドラマが詰まっています。 カラー図版で紹介する「絶筆美術館」はいつの日か展覧会として観たいものです! いかがでしたでしょうか。まめに本屋さんに足を運んでいると毎週のように面白そうなアート関連本が出ていて嬉しくなってしまいます。 お金がなかった学生時代。本が買えずに我慢我慢の連続でしたが、大人になった今は好きなだけ買えちゃいます。傍らに常に本がないと落ち着かない性分なので、どこの部屋にも本が散乱しています。 本棚も全く機能していません。それでも本は毎週増えていきます。これが何よりもの喜びでもあります。展覧会同様に。 おすすめのアート関連書籍あったら是非教えてくださいませ! Twitterやってます。 Facebookもチェック! この記事のURL http://bluediary2.jugem.jp/?eid=4509 JUGEMテーマ:アート・デザイン |