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『恐怖の宇宙線』の放映日時とあらすじ
★ 昭和41(1966)年10月23日
こちらのサイトで本編(25分程度)をご覧になれます。
ある日のこと。
学校で子供たちが怪獣の絵を描いていた。
ユーモラスなカネゴンといった人気のあるものばかりだが、
女子生徒のチャコは、なぜか音楽家のベートーベンを描いた。
気の弱いムシバ少年は、白くて大きな目の怪獣を描くが、
あまりにも弱そうだったため、みんなにからかわれてしまう。
ムシバ少年はひとりで空き地の土管に怪獣の絵を描く。
すると、管理者の男性がやってきて怒られた。
そんななか。
科特隊のムラマツのもとに宇宙線研究所から電話があった。
どうも原因不明の変動が起こったらしいのだ。
同じ頃、ムシバ少年が描いた怪獣は土管を出て、
工業地域で居眠りをしていた。
いびきはすごいが、とくに悪いことをする様子はなかった。
ムシバ少年は自分の描いた絵が本物になったので、
学校でみんなに自慢した。
だが、科特隊は怪獣退治が任務である。
ムラマツらは出撃し、ガヴァドンと名づけられたかれと戦った。
しかし、尻尾にダメージは受けたものの、ただただ眠るばかりで、
アキコには「怠け者の怪獣」だと揶揄された。
ガヴァドンは一番星が光る時間になると、
再びもとの居場所の土管に戻った。
本部に戻った科特隊の面々のもとに、パリ本部からの通信が入る。
それはガヴァドンが「三次元化」した原因を特定する情報だった。
一躍人気者になったムシバ少年と仲間たちは、
ガヴァドンにもっと強くなってほしいと考え、
絵を書き換えてパワーアップさせるのだが-。
視聴率および出演者など
視聴率 : 37.4%
ハヤタ : 黒部進
ムラマツ : 小林昭二
アキコ : 桜井浩子
イデ : 二瓶正也
アラシ : 石井伊吉
ムシバ : 川田勝明
土管の持主 : 原保美
タカシ : 内野惣次郎
ゼロ戦 : 金子吉延
オバケ : 佐藤継知夫
サスケ : 橋本有史
チャコ : 岩井敏枝
ウルトラマン : 古谷敏
カヴァドン : 荒垣輝雄
ナレーション : 石坂浩二
制作順 : 14
監督 : 実相寺昭雄
特技監督 : 高野宏一
脚本 : 佐々木守
(敬称略)
妙香の感想
今回は怪獣が悪ではないという話です。
実際の敵はガヴァドンではなく、宇宙から降り注ぐ放射線ですからね。
太陽光線が融合すると、
二次元のものが三次元の物体に変動するという-」
アラシ「なに?絵に描いたものが現実に現れるというわけか」
アキコ「ええ。そう知らせて来てます」
ムラマツ「宇宙線に含まれた放射線と太陽光線が融合して・・・」
ハヤタ「キャップ。そういえばタカシくんたち変なこと言ってましたね。
あれはムシバの描いた絵だって」
(中略)
ムラマツ「そうか。タカシくんたちの描いた怪獣の絵が、
現実に三次元の生命を得たというわけなのか」
ハヤタ「うーむ。道理で太陽光線がなくなると同時に消えたわけだ」
アラシ「・・・ということは、明日も太陽が上がるとともに現れる」
子供たちの想像力は無敵ですから、
もっといろいろ発想をすれば、
強い怪獣を生み出すことは可能だったかも知れません。
でも、ムシバくんはヘタレでしたし、
ただ普通に絵を描いて楽しんでいただけだったので、
単なる騒動で一件落着しました。
ウルトラマン「泣くな。子供たち。毎年7月7日の七夕の夜、
きっとガヴァドンに会えるようにしよう。この星空の中-」
チャコ「ガヴァドンも星になったのかしら。お星様に」
ムシバ「七夕の夜、雨が降ったらどうなるんだよ?」
ガヴァドンを宇宙に連れて行ったのは正解ですね。
子供たちの気持ちを考えると、
あのまま原っぱの土管に住まわせてやりたいですが、
怪獣と人間の共存というのは、なかなか難しいと思います。
今回の話で斬新だと思ったのは、
半世紀も昔に「二次元」という題材を扱ったことですね。
いまでこそ「二次元」には市民権が与えられて、
ゲームやアニメのキャラが三次元化したらいいな・・・と思う人がいますが、
当時は子供でもない限り、そういう発想はなかったんですよ。
実相寺監督の目のつけどころはさすがです。
ちなみに、私が三次元化してほしいアニメキャラは、
やはり銀河英雄伝説の人たちですかね。
次回は『科特隊宇宙へ』です。
ウルトラシリーズとの出会い
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