中川が地元記念初V 熊本代替G3 【久留米】
熊本地震復興競輪G3開設66周年熊本記念「火の国杯争奪戦」in久留米は最終日の23日、最終12Rで決勝戦が行われ、中川誠一郎(37)=熊本・85期・S1=が、2009年11月の松阪以来、2度目の記念優勝を飾った。3番手キープの終3半から鮮やかな捲り追い込み。震災で熊本競輪場が使えず久留米での開催となったシリーズで、復興への願いを胸にゴールを駆け抜けた。2着は中川をマークした井上昌己。総売上額は約55億円(目標58億円)だった。
■ヒーロー
3番手をがっちりとキープした中川誠一郎が、終3半から強烈な捲り追い込みでVゴール。7度目の出場でつかんだ熊本G3初制覇は、地元開催の再開へ向けた“号砲”となったに違いない。「うれしかった。熊本競輪が復活するまで、負けないつもりで走った。昌己(井上)が脇本を止めてくれたところで90%、勝てたと思いました」
今年4月の大地震でホームバンクは使用不能に陥り、66周年大会は久留米競輪場で代替開催となった。地元で走れない悔しさや悲しさを心にしまい、「記念競輪をここで開催させていただいた」という喜びと感謝の気持ちを、最高の結果に変えてみせた。
5月のダービー(静岡)でG1初優勝し、8月には2度目の五輪出場(2012年ロンドン、16年リオ)も果たした。「今年は最高の年」というが、振り返るのはまだ早い。来月、地元地区のG1競輪祭(小倉)を走ると、年末には初舞台のグランプリ(立川)が待っている。1億円を懸けたマネーバトルに「今から楽しみですね」と自信たっぷり。誠一郎の進撃は、まだまだ止まらない。 (森川)
【決勝戦VTR】
早坂-永沢が前受け、中団に中川-井上-香川-桑原、後ろ攻めの脇本後位は林と神山が並走。赤板前に脇本が動くと、中川も上昇。内詰まりを警戒した早坂がこじ開けて打鐘前に先頭に立つと、そのまま先行。脇本がHSで巻き返しを図るも、井上のけん制に遭い後退。中川が3番手3半捲り追い込みで優勝ゴール。
■戦い終わって
井上昌(2着)抜けなかったが、地元の誠一郎(中川)が優勝して良かった。
早坂秀(3着)内に詰まりそうだったので、ワンチャンスを狙って踏んだ。
香川雄(4着)付いて行くのに精いっぱいで、最後は伸びなかった。
永沢剛(4着)早坂が先行してくれて、最終BSは番手でドキドキした。
脇本雄(9着)後ろが競りで、早坂さんが踏んできたのが見えなかった。
■鈴木頭脳プレー
9Rで行われた単発の災害復興支援レースは、鈴木庸之が制した。「横風が強くて内は重いと思った」と、鐘3角で外めからカマす会心の頭脳プレー。人気だった坂本亮馬の捲り追い込みを尻目に押し切り。レース後はしてやったりの笑顔で「これってダービーの(選考用)賞金にも加算されますよね」と確認するなど、終始ご機嫌だった。
■仲山30万円寄託
現役選手の仲山桂(熊本・66期)が23日、久留米競輪場でライブを行った=写真。自ら作詞作曲した「ファイトマネー」他2曲を熱唱。全国各地で復興支援チャリティーライブと募金活動、Tシャツ販売を行い、集まった30万円を「熊本競輪の復興に役立ててほしい」と、熊本市競輪事務所に寄託した。
=2016/10/24付 西日本スポーツ=