先日は、米国防長官がトルコ訪問の後、トルコ軍のモースル作戦参加について「原則として」両者の合意ができたと語ったとお伝えしましたが、どうもどこかで行き違いがあったのか、しばらくは合意は秘密にしておきたかった(特にイラク側か?)のに公表され、反対せざるを得なくなったのか、実情は闇の中ですが、両者は22日早速この問題について反対の見解を表明しました。
なおカーター国防長官はトルコのあと22日、予定されていなかったバグダッド訪問をしました。その目的はイバーディ首相から直接、モースル作戦の進捗状況について説明を受けることとされているが、もしかするとトルコ・イラク問題の仲介が主目的だったかもしれません。
なお、イバーディ首相は、トルコ非難の発言お中で、トルコからのミッションが訪問し、イラク側と協議をして、提案もしたが、全く不十分なものだったと述べた由なので、「矢張り原則的な合意」はあり、それを詰めようとしたが、結局両者の溝が深かったということなのかもしれません。
それにしても間に立った米国は大変ですね(写真のカーター長官の顔もやつれて見えます)。彼は同行の記者に対して、米国としてはシリアとイラクにおける対IS戦闘でのトルコの「良く検討された役割」を支持している、と語っているようです。

本件に関するal arabiya net の記事の要点次の通り
「米国が両国の合意を発表して24時間もたっていないのに、両者の対立の言葉は激しくなっている。
イバーディ首相は、合意の存在を否定し、トルコがモースル解放への支援を申し出てきたが、イラクの返事はno thank youだとして、この問題はイラク国民の問題で、必要があれば、イラクの方から援助を要請すると語った。
彼は更に、トルコはイラクが兵器供与を要請した時には無視しておきながら、現在ではイラク国土にその兵士を駐留させていると非難した。
これに対しトルコ首相は、イラクの発言は挑発的であると非難してトルコはその安全保障にかかわる問題には無関心ではいられず、イラクでのプレゼンスは維持すると強調した。
両者の発言は米国が仲介した「原則的な合意」を無にする可能性がある」
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2016/10/22/كارتر-يتحث-عن-اتفاق-وتصريحات-نارية-بين-أنقرة-وبغداد.html
両者の対立は振出しに戻った感があるところ、現地情勢では、トルコ軍の居る基地のあるba'ashiqaがISから攻撃を受けており、このままでいけば現地のトルコ軍が訓練しているペッシュメルガとともになし崩しに、戦闘に巻き込まれる危険性があるように思われる