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俳優の平幹二朗さん82歳 自宅で倒れる

平幹二朗さん=中村藍撮影

 端正な容姿と朗々としたセリフ術で、「王女メディア」「近松心中物語」など戦後日本演劇界の第一線で活躍し、海外でも高く評価された俳優の平幹二朗(ひら・みきじろう)さんが死去した。82歳。23日、自宅で倒れているのを家人が発見した。

 広島市出身。子供のころから歌舞伎などの舞台を見て育ち、高校時代は演劇部で活躍した。1953年に2度目の受験で俳優座養成所に合格。56年に俳優座座員となり、「貸間探し」で舞台デビューした。66年劇団四季の浅利慶太さん演出による「アンドロマック」に出演。2年後に俳優座を退団し、以降、浅利演出作品、蜷川幸雄演出作品などに次々と主演し、演劇界で確固たる地位を築いた。

 整った顔立ちにスラリとした長身。深みのある声、明瞭かつ重厚なセリフ術を武器に、空間を瞬く間に支配するダイナミックで緻密な演技は、他の追随をゆるさない存在感を放った。蜷川の海外初進出作品となった78年初演のギリシャ悲劇「王女メディア」では、異形の女形でメディアの怒りと悲しみを造形し、83年のアテネ公演では本場の観客らから絶賛を浴びた。太地喜和子と共演した「近松心中物語」(蜷川演出)の忠兵衛、「NINAGAWAマクベス」(同)のマクベス、「リア王」のタイトルロールなど代表作多数。

 また自ら「幹の会」を主宰し、これまでシェークスピア作品を12本上演。また2012年から「王女メディア」(高瀬久男演出)に挑み、16年には「一世一代、ふたたび」として半年にわたり全国各地で公演した。

 映像では、NHK大河ドラマ「樅ノ木は残った」「国盗り物語」での主演をはじめ、多くの映画、ドラマに出演。近年も山崎豊子原作の連続ドラマ「沈まぬ太陽」で重厚な演技を見せた。

 84年度芸術選奨文部大臣賞(「王女メディア」「タンゴ・冬の終わりに」)、98年紫綬褒章、05年旭日小綬章、14年毎日芸術賞(「唐版 滝の白糸」「鹿鳴館」)など受賞・章多数。

 70年に女優、佐久間良子さんと結婚し、男女の双子(長男は俳優の平岳大さん)をもうけたが84年に離婚した。今秋スタートしたフジテレビ系ドラマ「カインとアベル」に出演中だった。

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