米オバマ政権は人工知能(AI)の影響に関する広範な研究で、急速に進化を遂げつつあるこの技術を「大いに有望だが、強い警戒が必要」と結論づけた。
リポートでは「数年後、AIは引き続き経済成長に貢献しており、医療や運輸、環境、刑事裁判、エコノミックインクルージョン(全ての人に経済活動に参加する機会を提供)など様々な分野で世界をより良くする貴重な手段になる」と予測。「この技術の良い面を発展させ、そのリスクや課題を管理し、AIで改善される社会の構築を全ての人が支え、その恩恵を受けられるようにするには、産業界と市民社会、政府の連携がカギとなる」との考えを明らかにした。
■懸念も指摘
58ページからなるこのリポートは今年に入り作成を委託され、ピッツバーグで開催された「ホワイトハウスフロンティア会議」の前日に発表された。会議では、AIの影響について検証した。
リポートは「AIの未来に備える」と題し、AIに関する機会と懸念の双方について多くの点を浮き彫りにしている。内容は以下の通りだ。
●AIに対応した規制整備の必要性
●政府主導によるAI研究の連携強化や資金支援の拡充
●AIが雇用にもたらす経済的影響についてのさらなる研究やモニタリング
●AIでコントロールするモノが増えるのに伴い安全性やセキュリティーの懸念が生じるため、AI分野の人材を対象にした「倫理研修」の実施
●「自律型致死兵器システム(LAWS)」の開発と利用に関する米国の明確な政策の立案
さらに、悪い兆しもあるものの、リポートではAIについて全体的に楽観的な論調を維持している。
リポートは「産業界や市民社会、政府、国民がAIの可能性やリスク管理に十分注意し、発展を支えるために協力すれば、AIは経済成長や社会の進歩の主なけん引役になる可能性がある」と述べている。
By Chris O’Brien
(最新テクノロジーを扱う米国のオンラインメディア「ベンチャービート」から転載)