閉じる
閉じる
×
公式PVより引用したSwitchの外出用モード
Nintendo SwtchのPVを見た。とてもシンプルなハードで、任天堂が常にこだわってきたインターフェースの進化をやめたハードになっていた。デバイスとしての驚きがなく、株価も急落したときいている。いったい任天堂はどういう意図でこのハードを設計したのだろう?
Nintendo Swtchの特徴のないインターフェースは「サードパーティのゲームを移植しやすくするため」ではなく「任天堂のゲームをふつうのタブレット等で展開する」ためなんじゃないだろうか。その結果として、任天堂は家庭用ゲームプラットフォームビジネスから降りる。
・・・という一見よくわからない説を、GCもWiiもWiiUも発売日に買った任天堂好きの筆者が推察してみる。
ゲームプラットフォームビジネスでSwitchは最後発だ
そもそもプラットフォームビジネスとはなにか。
プラットフォームとは「商品をつくる人に課金手段と集客を提供する」ビジネスだ。
楽天モールなんて典型的なプラットフォームビジネスで、
各店舗は「楽天に出すと自分で零からお店を作るよりも課金が楽」と「楽天に出したほうが自分で集客するよりお客さんがくる」という理由で楽天に出店するわけだ。
ゲームも同様で「このハードに出したほうがゲームが売れるから」ゲームを出すわけだ。
任天堂、ソニー、XBoxは典型的なゲームプラットフォーマーとして成功してきた。
ところが2016年にその状況は一変し、今世界では「中規模プラットフォーマー」が死につつある。大規模プラットフォームの時代だ。
ECビジネスでは日本では「楽天」「Amazon」以外はどんどん苦しくなり、つぶれている。
デジタルコンテンツビジネスでは「Apple」「Google」「Steam」が最強だ。
プラットフォームビジネスが「集客」要素を含む以上、一度シェアが大きくなり顧客が居る状況がうまれると、そのお客に向けてコンテンツが集まるという好循環が生まれる。iPhoneはお客がいるから新しいゲームが開発され、Windows Phoneにはゲームは開発されない。だからWindows Phoneは売れようがない。さらに勝ち組になると、そのプラットフォームを前提としたエコシステムが作られ、絶望的な差が生まれる。「iPhoneは日本のスマホより可愛いカバーやケースが多いよねっ」なんてのがエコシステムによる差別化の例だ。
昔はゲームというのはハードを買わなくては家ではプレイできなかった。しかし2016年の現在では、世界中の人がスマホやPCを持っている。「Nintendo Switch」は、もはや最後発だ。まだ1台も販売されていないハードのためにゲームを作りたいメーカーは少ないだろう。この世界でどうやって新しい価値をユーザーに届ければいいのか?
差別化するには、コンテンツしかない
デジタルコンテンツのプラットフォームの差別化は、時間ともに消えていく。
「Hulu」と「Netflix」の差、
「PS4」と「XBox One」の差、
「iPhone」と「Android」の差、
どんどんと近づいていく。
そうすると、コンテンツを作る立場からしたら、両方に展開したほうが良くなる。
シンゴジラは有料コンテンツとしてHuluにもNetflixにも出すだろうし、EAのスポーツゲームはPS4とXboxOneで販売されるし、ガンホーはパズドラをiPhoneにもAndroidにも出すだろう。かたっぽだけに展開するなんて、損するだけだ。
そうするとユーザーはどっちを選んでもよくなる。こうなると差別化は価格くらいしかなくなって、「安いほうでいいや」となる。
プラットフォーム側は、これではこまる。果てしない値下げ合戦が起きるだけで、儲けがゼロになってしまう。これを防ぐために、プラットフォームは独占コンテンツの開発をすることになる。
というわけでNetflixは独占配信ドラマを作るし、PS4は大鷲のトリコを作るし、iPhoneはスーパーマリオランを独占配信するわけだ。
任天堂ハードが、任天堂ゲームの邪魔をする!?
任天堂はゲーム業界でもっとも開発力が高く、人を引きつけるIPを持つコンテンツデベロッパーだ。ポケモンGOなんて最高の例だ。世界中でムーブメントになった化け物ソフトだ。開発はNiantic, Incだが、Ingressをシンプルに削ぎおとした設計はポケモン社の影響が非常に強いとインタビューで語られている。こういうゲームを作れるのが任天堂(ポケモン社)の力だ。
だからNintendo Switchにもオリジナルゲームを展開して圧倒的差別化を!
……というのは、まあ、当然のはなしだ。それなのに上手くいかなかったのが問題なのだ。WiiやWii Uでは圧倒的なオリジナルコンテンツが生まれ、ある程度ゲームハードが売れたのに、サードパーティのコンテンツが売れなかった。強いコンテンツがある→客がくる→その客目当てに他のコンテンツが集まる、というプラットフォームの好循環がうまくおきなかった。
開発力が高い例としてポケモンGOを先ほどあげたわけだが、もし、ポケモンGOがスマホではなく「GPSつきのNew3DS(仮)」で販売したら、これほど成功しただろうか? あんなに世界中の人が熱狂しただろうか? ちょっと難しくないだろうか。
独占コンテンツでハードを売ったのにプラットフォームがついてこない。それどころかスマホで独自ゲームを出したほうがヒットになってしまう。ということはつまり、ハードウェアが、任天堂のコンテンツ開発力に天井を作ってしまっていないか。プラットフォームのはずの独占コンテンツ開発だったはずなのに、そのコンテンツを届けるのにもはや自社ハードでないほうが上手くいってしまうのだ。
と、ここまで考えるとNintendo Switchの「中華タブにコントローラーついたやつ」と揶揄されるような外見に、納得がいくようになる。そう、格安タブレットに任天堂ゲームを配信すればいいじゃん。
公式PVより引用したSwitchのスプラトゥーン
世界中がAndroidタブでスプラトゥーンを遊ぶ
筆者の予想は、「Nintendo Switchで出たソフトは、しばらくしたあとiPad/Androidでも販売され、Joy-Conや互換のコントローラーを使えば遊べるようになる」というものだ。
つまり普通のユーザーはSwitchを買わずとも、Joy-Conだけ買えば手持ちのタブで十分遊べるというわけだ。Joy-Conは独自性がきわめて薄いので、PS4のBluetoothコントローラーをタブにつなげても十分に遊べるだろう。ポケモンGOが世界に届いたように、スプラトゥーンを世界中の人がAndroidタブで遊んでる、なんてのがイメージできる。
もちろん、PVにあったような「本体1台で友達と2名プレイができる」とか「本体を複数持ちよれば対戦ができる」みたいなSwitchならではの体験もできるだろう。でも、それが任天堂の目指す「ゲーム人口の拡大」で「新しい体験」かといわれると、ちょっと疑問がつく。DSのお裾分けプレイや、スマホなら誰でも遊べるモンストの協力プレイと大きく体験が異なるのだろうか。その特徴だけで、ハードが売れるとは思えない。とすると、もはやSwitchはゲームプラットフォームではなく、任天堂ゲームを便利に遊ぶためだけの周辺機器ということになる。
いちはやく任天堂ゲームを遊びたいひとや、ゲーム大会に挑むようなひと、テレビに大きくだしたいひとはNintendo Switchを買う。そこまでしなくてもいいひとは、AndroidやiPadで遊ぶ。これってけっこう自然な形じゃないだろうか。
おわりに
「コンテンツで勝つために、任天堂が家庭用ゲームプラットフォームビジネスを辞める」という予想が、本稿の中心だ。
もちろん3DSの携帯用ゲームプラットフォームビジネスは続くだろうし、コントローラの革新による体験は携帯用が中心になるだろう。一方で家庭用はビジネスの形をかえていくというわけだ。
あくまで邪推なので、ツッコミどころも多いとおもう。なんにせよワクワクしながら3月の発売を待ちたい。ハイラルを思う存分駆け巡りたい!
公式サイトより
【新企画】2年以内に100人に1万円をあげます #俺の寄付
エンディングまで泣くんじゃない。おわりとはじまりの闘会議2016
キンプリは映画館をカラオケに変えるのか? アイドル映画は"一体感消費"と運用型コンテンツに向かう
-
次の記事これより新しい記事はありません。
-
前の記事2016-09-23 00:29:24何も考えずにチケットを2枚買う生活を半年続けてきました1コメ
広告