敗戦とともに同盟は解体となり、経済報道部門は時事通信社、一般報道部門は共同通信社、広告代理店業務は電通として再スタートを切りました。電通の大株主が時事通信と共同通信なのはそういった理由からです。
当初、国策通信社の設立に対して電通は激しく反発したといわれますが、結果的に電通は、日本中の広告を一手に引き受ける事実上の独占企業となりました。終戦直後からすでに独占企業なわけですから、電通の影響力が強いのは当たり前です。
「鬼十則」という名の社訓
ちなみに同社には鬼十則と呼ばれる社訓があり、モーレツ主義の象徴といわれています。これは戦後、同社の社長を長く務めた吉田秀雄氏が作ったものです。「広告屋」と呼ばれ、蔑まれていた広告業界の地位を向上させるにはどうすればよいかという思いから生まれたといわれています。コンプレックスをバネに努力するという気持ちはわからなくはありませんが、結果的にはモーレツ主義だけが残ってしまったようです。
(注)日本ではインターネット上の広告代理店のことをメディア・レップと称するケースがありますが、これは本来の意味(媒体の代理人)とは異なります。
(The Capital Tribune Japan)