10/22公開 映画『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』公式サイト
本日公開の映画『闇金ウシジマくんtheFial』を観てきたのでネタバレ感想と貧困ビジネスについて解説するよ!
なおPrat3の感想記事はこちらになります♪
映画『闇金ウシジマくんPart3』ネタバレ感想 情報商材詐欺考察 - ポジ熊の人生記
人物相関図
10/22公開 映画『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』公式サイト
人物の相関についてはこちらを参照してください。
今回はウシジマくん12年前の少年時代と現実世界の時間が交互に繰り広げられるプロットになっておりますので、時系列で混乱しやすいかもしれません。
ざっくりストーリー
ウシジマのところに12年前の同級生であるタケモトがお金を借りに来る。金に困窮した竹本は街中で貧困ビジネスに絡めとられ、そこでお金がない多くのすねに傷ある労働者たちの実態を知る。竹本は彼らを何とか救おうと、カウカウファイナンスと貧困ビジネスを牛耳る顎戸3兄弟との狭間で危険にさらされながらも奮闘し続ける。
美容の世界で多くのファンを持つ今井真理子も、カウカウファイナンスから借金をしている人物の一人であった。彼女は虚構の世界を煌びやかに映し出して信者の女性に借金をしてまで美容品を売りつける人物。彼女が主催するパーティに訪れた都陰弁護士と知り合い、身体の関係となる。
一方、貧困ビジネスの現場では顎戸3兄弟が竹本を利用してカウカウファイナンスから大勢の奴隷労働者に借金をさせ、都陰の事務所に依頼して借金を帳消しにする算段をとる。今井真理子もまた、都陰の事務所に自身の借金踏み倒しを依頼するのであった。この時点では都陰にカウカウファイナンスがやられっぱなしの構図となる。
~ここでいったん、12年前の描写を全て記します~
ウシジマが転校してくる
クラスで不良の柄崎に言い返したせいでクラスの大勢からリンチを受ける
ウシジマ、個別に復讐を果たす
柄崎を強烈に打ちのめす
柄崎が復讐するかと思いきや、顎戸に拉致られた仲間を救うべくウシジマに助力を乞う
ウシジマ、竹本に母の形見のウサギを預ける
柄崎とウシジマが顎戸のアジトに乗り込む
ウシジマ、三蔵の頭にバットを振り下ろす
ーー時間経過ーー
三蔵が屑原にキスを迫る
三蔵が屑原に上唇を噛みちぎられる
屑原がさらに三蔵を眠らせて下唇を切り取る
ーーウシジマが闇金を始める直前ーー
モンスター連合の総長と戦ったウシジマが総長を打ちのめす
それが遠因して総長は死ぬ
モンスター連合の総長を頼りにしていた屑原が復讐を誓う描写
~以上、少年期描写~
屑原は若虎会の理事長が深手を負った件で、ウシジマが絡んでいることに恨みを持っている描写がある。だが、少年期の描写で屑原が顎戸との決闘に向かう柄崎とウシジマに対して「おめーら、死ぬんじゃねーぞ!」と叫ぶシーンもあり、本当に恨んでいるのかは微妙なところです(笑)
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~ストーリー解説継続~
顎戸3兄弟はついにカウカウファイナンスを襲う計画を立て、実行に移す。襲撃で柄崎と高田は拉致される(モネはうまく逃げています 笑)。ウシジマに2億円を要求する脅迫電話をかける顎戸一。アジトに現れたウシジマから1億数千万円を奪い、顎戸兄弟は逃げおおせる(柄崎と高田は救出)。
逃走後にカウカウファイナンスから盗み出した闇金顧客リストを都陰に売る顎戸一。どうやら、顎戸と都陰は繋がっていたようだ。しかし、その書類の受け渡しの過程で正義感にあふれる新人弁護士見習いのあむと戌亥が接触し、顎戸兄弟の居場所を突き止める。
顎戸兄弟のアジトに乗り込んだウシジマは、事前に連絡していたモンスター連合の手引きを受けて顎戸兄弟を罠に嵌め、これにより顎戸3兄弟はモンスター連合に打ち負けて捕縛される(顎戸3兄弟で奮闘するシーンが印象的でした)。
貧困ビジネスチームの筆頭であった竹本はウシジマが隠していた5千万円を品川駅のロッカーに隠しており、すったもんだで最終的には貧困ビジネス労働者の甲本がロッカーから5千万円を得る→モンスター連合がそれを奪取するという流れになる。
ここにストーリーの要が詰め込まれており、竹本は最後まで甲本を信じた。甲本も電話のやり取りで竹本を救うために行動を起こした。これが借金まみれでクズといわれようとも、最後まで見捨てなかった竹本の賭けたものが映し出されている。
※なお、ほかの貧困ビジネス労働者は竹本の言うことを信用せずに全員脱兎のごとく逃げ出している。
都陰の事務所はこのままで済むはずがない。乗り込まれたウシジマに弁護士としてあるまじき会社の悪徳な運営を糾弾され、ついには失墜するのであった。(都陰弁護士事務所に客を装って弁護士の悪事を暴くために潜入したカウカウファイナンス関係者の描写もある)
ラストシーンと竹本の弱者救済について
竹本は結局、カウカウファイナンスが損をした5千万円の借金を返すために、ほとんどの人が1年で廃人になるという時給5万円の仕事をすることになった。少年期に心通じ合った竹本とウシジマの別れ。ウシジマは回想する。どんなにどうしようもない人へも、自分の身を顧みずに損得勘定抜きで助けようとした竹本の姿を。だが、ウシジマはそんな竹本に別れの言葉も告げず、車で走り去る。
~漫画ではウシジマが泣くような描写があるも、映画では最後にウシジマの真顔で暗転、映画が終わりとなる!~
解説
ウシジマは辛かったと思います。心通じ合った旧友を恐らく帰らぬであろう危険な労働現場に送らねばならない気持ちは、想像を絶するほどに苦しかったに違いありません。シリーズを通して、最も丑嶋馨が心痛めた場面ではないかと推察します。
竹本は甘ちゃんで、非現実的なことをいう頭のおかしい人間だと思われるかたも多いのではありませんか。ですが、「個人の」レベルでは究極の施しともいえる行為を、危険を顧みずに行っていたのが竹本だったのです。彼は決して馬鹿ではないと思う、少なくとも「誰にもやってのけなかった弱者救済を、実行した勇気ある人間である」と僕は表したい!
・・・ただ、どうしてもやり方に不器用さは滲み出ていますね。人を救うために自分が困窮していては、救えるものも救えません。まずは自分の地盤を固めてから私財を投じて貧困救済事業を行った方が結果的に多くの人を救えるのではないかと考えます。ですがこれはとても現実的な考え方で、脚色を交えて貧困者を究極にすくうのであればこれくらいの気構えが必要であるという創作にありがちな強烈なイメージだったのかなと。
救いはあるんです。竹本が救った甲本。彼は終盤で犯罪を犯して自死しようか逡巡する。しかし、竹本の他者を思いやる姿を思い出し、自分の行動を改めてまっとうに生きる決意を固めます。
竹本は、少なくとも1人の命を救った。
自分の命をなげうって、見知らずの貧困者を救ったのです。ここが、今作の最大の救いどころだったのではないでしょうか?
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貧困ビジネスについて
竹本が路頭に迷っている時に顎戸二郎が竹本に甘い言葉をかけるシーンがあります。
「敷金礼金なしで1日900円で住める場所を提供する、仕事も斡旋する」
これ、住居不定で途方に暮れている人にはとても甘美な誘いです。雨風を凌げる温かい場所を提供してくれる、しかも仕事がもらえる。このような誘いにはついつい乗ってしまうのではありませんか。
しかし、これは貧困ビジネスの甘い罠です。あっという間に山谷の飯場、いわゆるタコ部屋に連れていかれて過酷な労働を強いるのです。
こういうところに連れてこられる人は訳ありが多く、半ば強制的に労働させられたり、とんでもないピンハネをされても泣き寝入りせざるを得ない状況の人が多いそうですよ。貧困に関する書籍をいくつか読了して、貧困ビジネスについては多少の知識があるのでここに記載しています。
映画は脚色があって、釘バットを振り回す人がいたらさすがにもっと多くの人が脱走するのでしょうけど、危ない人たちがこのようなビジネスを取り仕切っている場合も多いらしく、あながちノンフィクションとも言い難い描写ではないでしょうか。
では、あなたが住所不定になって街でうずくまってしまった時にタコ部屋にいかなければいけないのか?というとそんなことはありません。
行政に然るべき手段で手続きを行えば、最低限生きていける給付を受けることができる。これはこの国の憲法が定める生存権を保障する福祉社会の基礎です。しかし、どうしてタコ部屋送りになったり途方に暮れる人が後を絶たないのかというと知識がないので申請できないのです。
役場の窓口に行っても、しぶる役人をしっかりと説得できないので、結局は「詰んだ」ような錯覚に陥ってしまう。しかし、本来であれば絶対に死ななければいけない人間など生まれないのです。ここは法治国家ですから。しかし行政の保護を受けるためには知識が必要、さらに申請主義といって給付を受けるにも申請をしなければその恩恵にあずかれないといういまいちなシステムになっているのですね。
なので、本当にどうしようもなく困っている人は、そのような人たちを救済するNPO団体などもありますから、まずはそこへ行って相談してみると良いです。電話できる人は電話でも良いでしょう。役場の窓口に同行して手続きの補助をしてくれる団体もあるそうです。
なんでもかんでも「自分が悪いんだから命を断とう」などとは考えないでください。あなたには生きる権利があるのです。ただ、この社会で生きていくためのシステムを知らないだけです。どうか、他者を頼って生き延びてください。
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おわりに
今作のウシジマくんはファイナルだけあって、かなり残酷な描写も目白押しでしたね。「おお、攻めたな(笑)」というシーンもいくつか。
ネタバレ映画評でしたが、つまびらかにシーンを解説していません。ここは是非とも映画館で、あなたの目で確認していただきたいなと存じます。
ウシジマくんは「恐いねー自分はこうならないようにしよう」という効能もあるのですが、社会の闇を映し出すことでこれも現実なのだろうという、貧困の壮絶な現場を世の中に広く知らしめるための「フィクションだけどノンフィクション」的な役割も大いに担っていると感じるのですよね。
僕は貧困系のノンフィクション書籍を多数読了しています。それは何故かというと自分のいる立場が当たり前のものではなくて、多数の方が貧困の現実に直面しているというこの国の実態を知ることで、貧困者に対する蔑視を排除し、「自分にできることは何かないだろうか?」という想いを心に刻むためなのです。
「闇金ウシジマくん」は漫画としての面白さというよりも、社会の裏側にある貧困や闇の現実を表現した作品であり、それを紹介することで世の中の貧困に対する認知度が向上し、一人でも多くの弱者が救われる世の中にならないだろうか。そんな一抹の願いを託してこの作品に親しんでいる次第であります。
以上、映画『闇金ウシジマくんtheFinal』ネタバレ感想でした。
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