研究費供給問題を解決しなければ、日本人のノーベル賞受賞は打ち止めになる

photo by Adam Baker via flickr (CC BY-SA 2.0)

 2016年のノーベル生理学医学賞は、東京工業大学の大隅良典栄誉教授に授与された。受賞理由は、オートファジーという細胞内自食作用の機構解明に大きな貢献をしたことである。これで科学分野における日本国籍保持者のノーベル賞受賞者は今回で3年連続となり、大隅氏で20人目となった。

 ノーベル物理学賞、化学賞、生理学医学賞の合計受賞者数を国別で見た場合、日本は第5位にランクインしている。アジアの中では、他国を大きく引き離してトップ。科学立国と名乗っても恥ずかしくない実績を、我が国は残している。

 だが、受賞対象となったこれらの研究成果は、おおむね20年以上前に発表されたもの。はたして、今後も日本からノーベル賞級の研究成果が出てくるだろうか。これは、大隅氏も指摘するように、かなり厳しい状況になりそうだ。昨今は大学運営費交付金が縮小傾向にあり、基礎研究に対する国の投資が鈍くなっているからである。

 数十年前は、ベーシックインカムのごとく、最低限の研究費が大学の研究者には行き届いていた。このベーシックインカムにより、実績のない研究者でも、新たな研究の芽を育てることが可能だった。最近ではベーシックインカムが縮小し、本来であればボーナス的な研究費だった競争的研究資金の科研費(科学研究費補助金)を獲得できなければ、研究活動を行うことが困難になってきている。

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