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第五話 宴会は唐突に②
皆様こんにちは、kaiです!
「ユウだ」
今回は、鬼の方々との出会いについて、ほんの少しだけ触れて行きたいと思います!…と行きたいのですが、文字数の関係上、次回とさせていただきたく思います…。
「またかお前。…というわけで、鬼とのエピソードはまた今度で。といっても、ほんとに触りだけだからな。ちゃんとしたのは外伝で書くので宜しく」
そういうことです。それでは、皆様ごゆっくりどうぞ!
あと、今回あの狂わせる妖精も出ますよー!←唐突
『イェーイ!!みんな、盛り上がってるー?』
「「「イヤッホオオオォォォ!!」」」
「狂気を感じるぞ、この宴会」
なんだかんだでその辺を飛んでた天狗とかたまたま近くまで来ていた妖精とかも参加して、宴会は現在混沌の様相を呈していた。なにこれこわい。
「…まあ、幻想郷の宴会っていうのは大体こんなもんよ。あんたもこれからは幻想郷に住むんでしょ?だったら、慣れておいた方が後々楽よ」
…え、マジか。紫が音頭取ってイェーイとか言ってる宴会が普通なのか。…そろそろあいつは幻想郷の管理者としての立場を考えて動くべきだと思う。歓迎会のセッティングだけならまだしも、自ら表舞台に出て、あまつさえ能力使って声を拡散させ、まるで外の世界のアイドルのような振る舞いである。
「そんな固いこと言わなくていいんじゃない?ま、あんたは紫を古くから知ってるみたいだし、心配になるのも分かるけど」
「…分かってはいる、けどな。トップが出しゃばる組織ってのは、そのトップが密かに殺されて瓦解するってのが往々にしてある。そんなもの、これまで万と見てきた。…だからこそ俺はあいつに出しゃばるな、程々にして生きろと教えてきたんだが」
「…あんた、まるで紫を育ててたみたいな言い方ね、それ」
「それで正解だよ、博麗」
…博麗が驚いたのが分かった。微かに目が大きくなった。まあ、確かに幻想郷の賢者を育てた奴に会ったら、幻想郷に住まうものとしては何か思うところでもあるのだろう。
「…素直に驚いたわ。まさか本当にあんたが紫の育ての親だなんて。…というか、それだったらあのバカげた性格ってあんたの育て方の所為じゃない!もうちょっと、まともに育てられなかったの、アレ?」
「…どこで間違えたんだろうなぁ…」
「…悪かったわ。あんたも苦労、してたのね」
「いや。こちらもうまく育てられなかった責任はある。一応親として、済まなかったよ」
「気にしないで。幻想郷の頂点級の奴らにもなってきたら、こんなの慣れっこだから。あいつを怖がってるのは、あくまでもその辺の野良の妖怪とか里の人間よ」
慣れっこって、紫、お前そこまではっちゃけてたのか……。……しかし、何だ、あの紫にきっと何度も振り回されてきたであろうというのに、それを『気にするな』の一言で済ませられるとは。博麗、いい奴だな。境遇が似ていることもあり、この短時間でかなり打ち解けられたように思う。
「それは私も思うわ。ほんと、『紫に振り回されている』かつ『私と波長が合う』なんて奴、今まで殆どいなかったからね。そういう意味では、あんたは良き理解者だわ」
「…そうだな。まあ、こうやって愚痴り会える仲間が出来たことは、中々悪くない。藍以来、2人目だ」
「あら?あんた、藍も知ってるの?…って、紫の育ての親なんだったら、当然よね。…あんたが紫育ててた期間は知らないけど、藍が紫の式神になったのが確か大体1000年前。幻想郷成立と殆ど同時期よね。…つまり、あんたが、紫が幻想郷へ移る直前まであいつを幻想郷の管理者として仕上げてたのなら、必然的に藍も育ててることになるわね。狙いはあのバカの補助ができて戦闘もできる超高性能式神の育成、かしら?」
…素晴らしい洞察力だ。寸分の狂い無く正解である。藍が紫の式神となったと聞き、実際に藍と話した時、あいつは紫を自分が死ぬまでそばで支えたいと言っていた。だから、俺はその心意気に応えようと思い、僅か17〜8年の付き合いだったが、修行も付けたし、作法も教えた。
「なるほどね。藍のあの礼儀正しさと強さはあんたの教育の賜物、か。それなら納得だわ。あんたからはとんでもない強者の気配を感じるもの。それこそ、これまでに会ったことがないくらいの。…まあ、それはもういいわ。とにかく、あんたも紫に振り回されてるのよね?それなら、同じあいつの被害者どうし、『紫にやり返す会』の一員として宜しくね」
「…『紫にやり返す会』?なんだ、それ」
「そのまんまよ。有事の時に紫に振り回された分だけ後で何かしらの形でやり返すのよ。罠とか実力行使とか。どう?中々良いと思わない?」
…なるほど。これから幻想郷に住む以上、何かしらの異変だの反乱だのが起こり、俺がそれに巻き込まれることもあるだろう。というより、多分強制的に巻き込まれるような気がする。そんな時、その巻き込んでくれた原因に拳骨の一つでも落としたくなるものだ。そう考えると、この会、中々俺が入るには適している。
「分かった。それならば、『紫にやり返す会』の一員として、これから宜しく頼む」
「こちらこそ。あ、ちなみに会員番号00006だからねー」
…こうして、俺は新たなるグループへの加入を果たし、その過程で中々巡り合うことの出来ない良き友を得たのだった。
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…と、そこで終われば良かったのだが。そこで終わらないのが我らが紫(褒めてはいない)。
『ユウーーっ!!ちょっとこっち来てーー!』
あの後博麗が件の魔法少女に呼ばれて行ったので、代わってやって来た幽香と共に飲んでいると、紫の俺を呼ぶ声。幽香に断って行ってみると、そこで告げられた驚きの一言とは。
『はーい、みなさん注目ー!飲んで楽しくしてるところ悪いけど、ちょっと聞いてちょうだーい!」
「ちょ、八雲!貴女ちょっと静かになさい!フランが起きたらどうするのよ?死ぬわよ、主に私が!」
『あら、失礼。そっちの音量下げとくわねー。…それで、話というのはねー!…この中には勿論ユウについて知ってる人もいるわけだけれど、また一方でユウについて知らない人もいるでしょ?例えば霊夢たちは知らないわけだし、人形遣いもそれに当てはまるわ。既にこの宴会に参加している人や妖怪たちの中には、ユウって何者?と思っている人たちがそれなりにいるのよ。だから、ね!
今から、ユウの実力を証明するため、誰かと勝負してもらいたいのですが、立候補者はいますかー!?』
…俺の意思、聞けよ。何故に無断で勝負始めるんだお前。第一、そんな誘いに乗るやついないだろ。みんな普通に酒飲みたいに決まってる。
「「「やりたいです!!」」」
うんごめん、めっちゃいたわ。場の8割は挙手してる。鬼どもに幽香、その辺の天狗。あれ、博麗?お前もなのか?こういう系はあまり好かないかなーと思ってたんだけど。…アリス、そんなにオロオロしなくてよろしい。隣で霧雨がニヤニヤしてるぞー。…何故あの子は俺に対してあそこまでビビってるんだろう。別段過去に何かしたとか、そういうことは無いはずなんだけれど。
『多いですねー!それでは、この中から抽選で2名様にユウとの勝負権をあげたいと思いまーす!それでは皆様、番号の書かれている紙をそちらに送りますので、ご自分の番号をご確認ください!………確認しましたか?それでは、当選番号の発表です!』
…あー、ダメだ。これは、もう断れない流れだ。…仕方ない、天災に遭ったと思って諦めよう。あいつ≒天災みたいなもんだしな。
『当選番号は!
3番、20番です!』
「「よっしゃあああぁぁぁ!!」」
「「「…くそー、仕方ないなぁ」」」
当選者、決定。ちなみに的中率は33分の2。おめでとうございます。…えーと、勇儀に妖精、か。………ん?あれ、なんかあの妖精見覚えあるぞ?紫の地に白い点々が大量に付いてるあのピエロ帽子とか。やたらアメリカン推してくるあの服とか。何かヘカーティアの奴が最近お供にしたとか言って可愛がってた(色々と)ような。
…あ、なんだっけ。……あー。あれだ。
「…グリーンピース」
「No,No!あたい、グリーンピースじゃないよ!」
「…あー、シェダーチーズ?」
「何で!?何でそこでシェダーチーズ!?」
「ヒダリテニタイマーツ?」
「真面目に答える気あります!?確かに持ってますよ!持ってますけれども!」
「…悪い悪い、冗談だよLOVE AND PEACE」
「違っがあああああぁぁぁう!!絶対覚えてるでしょ貴方!?ご主人様の、ヘカーティア様の部下のクラウンピースよ、ク、ラ、ウ、ン、ピ、ー、ス!2度と間違えないためにリピートアフターミープリーズ!はい、クラウンピース!」
「くらぴー」
「シバき倒しますよ!?」
…やはりこいつ、面白すぎる。こう、何というか、何を言っても全力でツッコんでくれるやつって凄い珍しいと思う。こいつはその希少な例。
「…くっ!やはりというか、変わっていませんね!悪い意味で!寧ろ小憎らしさが増してますよ!…というわけで、ムカつくので、勝負権も得たことですし、今から貴方をぼっこぼこのぼっこぼこにしてあげます!…覚悟していて下さいね?」
…おや、どうやらくらぴーはお怒りのようだ。妖気が溢れ出してきた。…流石は妖精の限界を超えた地獄の妖精。力量では下手な鬼には引けを取らないだけのことはある。それに加え、妖精の特徴たる『無限再生』もあるんだから、実はこのくらぴー、かなり強キャラである。知ってる人は意外と少ないが。
「…おっと、待ったそこの妖精。悪いが、1番目は私にやらせてくれないかい?もう、闘気が抑えきれなくてね。そろそろ爆発しちまいそうなんだよ…っ!」
ここで勇儀乱入。どうやらもう我慢できないから自分が先にやるとのこと。…マジか。くらぴーでアップしときたかったのに。こいつと肉弾戦は、結構接戦になるので怖かったりするのだ。単純な力だけなら向こうの方が上だしな。
「…仕方ありませんね。いいですよ、あたいは2番目で」
そして下がってしまう、ある意味空気の読めない妖精くらぴー。…諦めんなよ。どうして諦めるんだそこで。もう少し頑張ってみろよー。
「…欠片ほども熱意が見当たらないのはどうかと思いますよあたい」
気にするな。…さて、と。
「最初はお前か。…やりあうのも千年ぶり、か?」
「そうだね。私も幻想郷できてすぐにそっちへ行ったからね。あんたと戦うのは、本当に久し振りだ。…無駄話してたら紫がちょっかい出してくるし、そろそろ始めようか」
そう言って、杯を置いた星熊。…最初から本気、というわけか。…これは、中々骨が折れるなぁ…。
「出し惜しみはしないよ、ユウ!そっちも全力で来なよ!」
「仕方あるまい。…やってやるよ」
…そして、俺の幻想郷での始めての戦闘が幕を開けた。
…願わくば、周囲の被害が少なくて済みますように。一応ここ、宴会してるけど神社なんで。
くらぴーの一人称『あたい』へと変更しました。
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