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第二話 黒歴史リヴァイバー①
どーも!kaiです!
「…藍、別に気にすることもないだろう。幼少期の失敗など、誰にもあることだ。それに、俺はあの時を振り返るの、結構楽しみだぞ?ユウだ」
「…ユウ様が望むのなら、私に否応のあるはずもございません……っ!」
…何ですかその身を切るような葛藤は。
「い い か ら は じ め ろ!!捻るぞ!」
何を!?
「首じゃないか?それか腸」
冷静に捻るもの談義するのやめてもらえます?怖いので。
「はいはい。…それでは皆様、楽しんで行ってくれ」
「(藍、後できつねうどん奢るから泣き止みなさい)」
「(グスッ…はい)」
「す、済まない。と、とんだ勘違いを…」
…全く。まさか俺を捕まえて紫の元夫とは。確かに、俺が藍との関係を一時的な育ての親とか言ったのが悪かったのだろうけど。…それにしても、だ。
「…こいつの夫は、流石に御免被る」
「ちょっと!?どういう意味よ!」
「字面通りだよ。お前の夫なんぞなった日には、俺は胃に穴が空いて死んでしまうな」
「何よそれ!まるで私が歩く問題製造機みたいな言い方じゃないの!」
「まさしくそうじゃないか。これ以上無いってくらいピッタリ合ってるぞ、その二つ名。オメデトウ、今日からお前は幻想郷の賢者兼歩く問題製造機だ」
「ムキーー!!もう許さないんだから!必殺、後ろからスキマ経由パンチ!」
「…(パシッ)」
「あ」
「…(ミシミシミシッ!)」
「痛だだだだだだだだ!?ちょ、待って潰れるだだだだ!?あ、痛い、ア、ア、アアアアァァァ!!ギブギブギブギブストップお願いしまーす!!」
「…ハァ…とにかくだ、上白沢。別に俺はこいつの夫でもないし、藍の親でもない。ちょっと昔に2人とは知り合ったんだよ。…全く、藍ならともかく、こいつが妻、ねぇ…」
「…な、何よ」
「想像できん」
「…ううっ…」
あ、倒れた。どうやらメンタルダメージが限界に達したようだ。ほっとけば回復してくるゾンビクラスの再生力があるので、放置でOK。…それで、藍。何故にお前は顔どころか首まで真っ赤にして縮こまっている?耳ガン立ちだわ尻尾ブンブンだわ、完っ全に興奮状態じゃん。九本の尻尾がとんでもない勢いで振られているのは、割と圧巻の光景である。大丈夫かな、尻尾千切れ飛ばないか不安になってきたけど。
「誰のせいですか、誰の!」
「…俺?」
「そうですよ!誰がつ、つつつつ、妻、ですか!わ、私は紫様の従者であって、誰か亭主を持つ身ではありません!」
「似合いそうだけどなぁ。白無垢とか」
「〜〜〜!!…も、もう知りません!ユウ様なんて、紫様に襲われて[自主規制入りまーす]しまえばいいんですーっ!」
鳥肌立つわ。…そんなホラー映画も裸足で逃げ出すような空恐ろしいセリフを残し、紫の首根っこを掴んで飛んで逃げた藍。やめてあげなさい、死んでしまう。…幼少期のあいつを知る身としては、どうしてこんな面白い子に育ったのかと、紫の教育方針に疑問を感じざるを得ないが。
いや、幼少期のあいつも面白かったけど、今は面白いのベクトルが違う。昔は天真爛漫系ドジっ狐、今はクール系隠れ照れ屋。ほんと、良いキャラに育ったな、藍。そして、ナイスだよ紫。
「…今のはユウが悪いだろう。それにしても、藍殿があんなに打ち解けているとは、本当にユウは藍殿の育ての親なのか…」
「そうだぞ?まあ、人間がそんなことしてる理由が分からんと言うのも頷けるがな。普通は尻尾巻いて逃げ出すか討伐に乗り出すしな。ま、そこは俺が正確には人間じゃないってことで説明つくとも言えるが。
一回あいつの『本領』みたら分かる。ーー あれは、笑いの神様が憑依してるんじゃないかというレベルだぞ。俺もあいつを一人前にするのには苦労したよ。なんたって実力はあるがドジだったからなぁ…」
「……藍殿の子供の頃とは、そんなに面白かったのか?」
「1日一回は絶対軽くでも笑ってたかな。お望みなら、何個かその時の話でもしようか?幸運にも、酒ならまだあるぞ」
「…いや、遠慮しておこう。人里での仕事もいつ来るか分からない。酒を飲むのはまだ早いだろう。
…だが、話は聞いてみたい、な」
「おう、いいぞ。…立ち話もなんだ、椅子でも座るか?」
「あるなら好意に甘えたいところではあるが…椅子などないぞ?」
「あー、ちょっと待ってな。作るから」
「…いや、作るってお前、何時間かかることやら。完成する頃には夜も明けかけているんじゃないか?…だから、別に立った状態で構わんよ」
「…あ、そうか。そういえば俺の『力』について説明してなかったな。詳しくはまた今度にでも聴きたいなら話すが、とにかく俺の力なら、3秒で椅子くらい作れるから、ご安心を。…というわけで、ほいっ、と」
取り敢えず椅子を二つ作る。俺の力は材質変化も可能であるので腰掛ける部分は最高に柔らかくしておく。しかも、ただ柔らかいだけではない。フワフワするようにもしておく。こうすることで、例え3日座っていても疲れ一つ感じないという完璧すぎる椅子が出来上がるのだ。ちなみに、柔らかさとフワフワさの黄金比率は企業秘密。
「…物質生成系の能力、か?それにしても生成スピードといい、精度といい、相当なものだなコレは。流石長年使ってきただけはある、というところか?」
「…んー、そういうわけでは無いんだけどね。コレは能力の超基本的なものって感じかな。本来の使い方とは随分違うけどね。あ、ちなみに周囲の安全については気にするな。さっき紫がここに出てきたおかげでこのあたりの妖怪は怖気ついてみんな逃げちまったからな」
「そんなことまで分かるのか。…うわ、凄いなこの椅子。座ってる感じがまるでしないぞ。宙に浮いているかのようだ」
「お気に召してくれたのなら良かったよ。…さて、そんじゃ何を話すかな……」
正直、あいつの過去話なんて、選びきれないほどの傑作に溢れているので何を話そうか迷う。…一応上白沢とは初対面だし、あんまり派手なのは控えとくかな。藍のお茶目な幼少時代の一部が分かって貰えればいいわけだし。となると、ちょうど良いのは……あ、あれだな。
「…そうだな。それじゃあ、あいつが紫とじゃれあってたとある一日のことでも話そうか」
「あの藍殿と賢者殿がじゃれあってるという時点で既に信じられないんだが」
「見方を変えれば万物はあらゆる側面を持つ。人も妖も同じことさ。これを機にもっとあいつらについても知ってみるといい。きっと面白いだろう。…んじゃ、話すぞ。あれは、幻想郷の土台が大体できてきた時くらいのことだったな…」
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「ダメです!私がユウ様と一緒に入るんです!」
「何を言っているの?ここはユウの古くからの親友たる私が適任でしょう?」
「あらあら、何を言っているのかしら。ペタン狐と年齢詐称代表は仲良く部屋の隅で丸まってればいいのよ。…と、というわけでここここはわ私がててて適任よ、ね?」
「「純情かっ!あざといぞこの花妖怪詐欺!」」
「…分かったわ。喧嘩売ってるのね?よし、いいわよ買ってあげる。さあ、表に出なさい!」
「上等です!ここで勝ってお風呂同伴と添い寝の権利を得るのです!あと私はペタン狐ではなく将来性抜群と言って欲しいです!」
「何余計な付加価値付けてんのよ!?…いや、逆に考えよう。これで勝てば、もはや勝ち組確定…っ!……ふふふ、早くしましょう?」
「…成る程。添い寝、ねぇ。………添い寝ええぇぇっ!?そそ、そんにゃ、ふしだらな…っ!で、でもそれもいいかも」
「「だから純情なのかかざみん!」」
「かざみん!?…コホン。さ、さあとにかく始めましょうか?…かかってきなさいな。ボコボコにしてあげるわ」
「「上等だーーー!」」
「…コレが妖怪の本家本元たる日本で頂上に位置する2人と将来的にその領域に届くであろう狐の会話か…。ほんと、藍に悪影響出たらどうしてくれる」
「あっ!いいところに来たわねユウ!ちょっと審判やってくれない?」
「一応聞こう。何のだ?」
「お風呂と添い寝争奪戦のよ!」
「…左様で。…取り敢えずお前ら全員ちょっとこっち来い」
「あら、何かしら?ま、まさか私を……!?」
「発想の飛躍にもほどがあるでしょう。それに、選ぶなら尻尾というもふもふなおまけ付きの私でしょうに」
「ふふーん。甘いわよ2人とも!既にユウの右隣は頂いたわ!これで晴れて私達は契りを結ぶことになるのよ!残念だったわね2人とも」
「…言いたいことは山のようにあるが、取り敢えず、だ。
正座だ、お前ら。…ああ、藍はいい。まだ幼いお前だ。賢いと言っても、善悪の分からないところもあるだろうしな。後で教えてやるから、ちょっと待ってなさい」
「?取り敢えず分かりました」
「ちょっと!それ卑怯じゃないの!?」
「そうよ、なんで私達だけ正座説教されなきゃいけないのよ!不公平だわ!」
「…なんなら藍も説教しようか?その分に比例してお前らは首吊りしながらの説教になるけど」
「「すいませんでした」」
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〜〜説教の内容〜〜
『だからお前達は藍に悪影響出るから変なことは言うなとあれ程…』
『えー、たまにはいいじゃないのー、一緒にお風呂入るくらいは!』
『…あのな、お前ら。そーいうのは、付き合ってる男女がすることであってな』
『じゃあ問題無いじゃない』
『判決、拳骨』
『むぎっ!?』
『…さて、次は幽香か。…まあお前に関しても、紫に乗せられただけだろうしさして言うつもりはないが』
『な、何でわかったの?』
『お前は昔から喧嘩腰で騙しに来るやつに弱いからなぁ…。特に、紫だけど。それに、長い付き合いだしな。もう、かれこれ1500年にはなるか?…流石にそれだけお前の『師匠』やってたら、弟子の癖の一つや二つ、分かるってものだろう』
『…もうそんなになるかしら。…懐かしいわね、あの時貴方に惨敗した日も、貴方に弟子入りした日も、一緒に大妖怪と呼ばれたことを喜んだ日も。…ふふふ、あの時貴方が来てくれなかったら、今の私はないわね。…感謝してるわよ、お師匠様?』
『…どういたしまして。…まあとにかく、あんまりあの子の側で変なことはしてくれるなよ?あの子とお前と鬼子母神、あとは文に美鈴くらいなんだよ、まともと呼べる妖怪は』
『…分かったわよ(…ユウも苦労してるのね)』
『…ん、終わり。さて、それじゃあ晩ご飯にしますかね。久し振りに幽香も来たんだ。ちょっと豪勢にしてみようかな。…藍ー。ちょっと買い出しの手伝い頼めるか?』
『はーい!了解です!』
『ちょっと!?幽香だけなんか軽くない?私は拳骨で幽香は一言って、100歩譲って藍がいいとしても、こいつはダメでしょ!普通に勝負に参加してたじゃない!しかもなんか最後いい話で終わってるし!』
『どうせお前が乗せたんだろ…。人の純情弄んだお前が悪い。まあ乗った幽香も幽香だが、今回はそこは不問とする。特別に料理の手伝いで許してやろう』
『えーずーるーいー!幽香にも拳骨してよー!ずーーるーーいーー!!ずーーるーーいーー!!ずーーるーーいーー!!』
『晩ご飯抜きな』
『申し訳ございませんでした』
ありがとうございました!
「続くのか?これ」
はい。1話では収まらないことが途中で判明致しまして…。
「…そうか。しかしまあ、懐かしい話が出てきたものだ。この時の藍といったら、今でも覚えているよ」
どんだけツボに入ったんですかあなたは。…それでは。
「次回をお楽しみに」
*幽香との出会いについて、僅かながら触れておきます!よって、少し加筆修正が入りました!8月25日1.13
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