定時退社を導入するとどうなるか。私の勤めている会社は1年前から導入したので、どうなるかを書いてみようと思う。(サービス残業・休日出勤・持ち帰り残業も厳禁。定時になると文字通り締め出される。)
別に残業できなくなったからといって増員配置される訳ではないので、仕事の量は変わらないし、締め切りも変わらない。だから、皆「余計な仕事」を減らすようになる。
例として、例えば企画を立てるにあたってA案、B案、C案と作っても採用されるのはひとつだけだから、はじめから2つに減らす、あるいは決め打ちでひとつの案しか作らないようになる。
これは上司も同じで、複数案作成することを命令すれば、当然作業時間が2・3倍増えるため、おいそれとそういった命令はできなくなる。
だが、果たしてそれが「余計な仕事」なのか?しかし、制度は待ってくれない。余計な時間の仕事は全て悪なのだから、時間のかからないように仕事をしなければいけないし、そのように命令しなければいけない。
部下の方から採用されるか分からんのに「こうした企画はどうですか?」という作業は全て無駄になるかもしれないし、そうなると「余計な仕事」になるから、部下から企画を提案することはなくなる。
上司から命令される仕事だけで手いっぱいである。だから、必然的に仕事はボトムアップからトップダウンとなる。このように文化を変えないと多分どこの会社も失敗する。
上司から部下に指示する時も当然漠然とした指示ではだめで、具体的に指示する必要がある。
会議は一番時間の無駄なので、削減される。このためますます合意形成という形ではなく、上意下達方式になる。
まとめると、①会社の意思決定を完全にトップダウンにしないといけない、②部下は命令されたこと以外はやらないものと心得なければいけない、③その仕事がはたして定時に終わるか考えながら上司は命令しなければいけない、④会議・ミーティングは時間の無駄だから減らさなければいけない。ができないと定時退社制度は失敗して、ただのサービス残業強要になってしまうだろう。
定時退社制度は会社の文化をかえるということだ。本当に変える意識の会社がどれだけあるだろうか。
追記1 個人的には電話が一番の無駄だと思う。さすがにまだ廃止されていないが。
追記2 この1年を通じて勤労意欲は激減した。他人の仕事を進んで手伝う事もしなくなったし、突発的な仕事や他人から頼まれる仕事を憎むようになった。新しい仕事の企画も考えるだけ無駄なので考えなくなった。(もちろん正式な仕事として割り振られれば別だが。)しかし、ある意味会社は誠実に社員を部品や機械として扱うようになったのだともいえる。
ブラック企業は、実際には社員を部品や機械にしか思ってないくせに、まるで経営陣であるかのように働かせようとする。こうした企業に比べると、わが社は極めて誠実と言える。