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第零話 プロローグ的な何か
どうも!この度新たに『幻想郷をふらふらと』はじめました!kaiです!
「…何をしているんだ、作者。今年受験のくせして余裕だな?ユウだ」
余裕?そんなものあるわけないでしょ!ただ何と無く思いついたから書く!ただそれだけなのです!
「大丈夫かねぇ…。…それはそうと、この話はどんな感じで進めるんだ?」
簡単に言うと、シリアス展開はほぼありません!基本的にほのぼーの万歳精神で突き進んで行きます!読んでて楽しい!そんな感じになればなーと!
「そーですか。それじゃ、皆様今後とも宜しくな」
宜しくお願いします!
闇の濃い、夜だった。
雲一つない天上で煌々と輝くのは、満月。
遥か下界では、逢魔が時を既に過ぎ、人ならざるモノが哀れな獲物を探して跋扈する。もし下へ降りていれば、彷徨い歩く異形の者共は嬉々として一斉に『彼』に飛びかかってくるだろう。
しかし、現実にはそのようなことは起こらない。理由は簡単である。この少年は今、山の頂を遥か下に臨む程に高い所で一人月見酒と洒落込んでいるのだ。
普通の人間なら、いや、例え度胸のあるものだとしても、これほどまでに高い所で月を見ながら風流な気分で酒など飲めまい。なら、何故この少年はこんな酔狂な所で一人酒を飲んでいるのか。いや、そもそも何故こんな所まで少年は辿り着けたのか。何故少年は空に『浮いて』いるのか。
答えはこれまた簡単である。少年は自身の中に存在する『チカラ』によって空を飛び、地上より遥か高きところに座って酒を飲む為の土台を作った。ただ、それだけのこと。
「………」
少年は、ただ泰然と佇むだけ。時折、思い出したかのように杯に注いだ酒を飲み、また月を眺める。少年の表情には硬さは無い。ただ純粋に一人での酒盛りを楽しんでいるようにも見える。
ふと、少年の漆黒の瞳が月から外れる。次に捉えたものは、地上にて活動する人外の異形 ーー 妖怪。人を喰らい、脅かし、その畏れを糧とする人の大敵。
その妖怪は、何かを追っていた。決して早くはない、だが逃げるものとの距離は少しずつ縮まっていく。この分では、逃げるものが追いつかれるのも時間の問題だろう。
少年は続いて逃げるものに視点を向ける。…どうやら、人間の子供らしい。逃げる途中で何度も転んだのか、遠目からでも分かるほどに汚れている。それに、もう体力も持つまい。こんな年端もいかない子供が妖怪から逃げ切ることができる道理はない。
故に、その子供は10年にも満たぬ短い生涯をこの暗い森の中で、妖怪の餌となることで終える ーー 筈だった。
妖怪の魔の手は少女に迫る。何処と無く木に似たその妖怪は少女より気持ち早い程度の速度で、ゆっくりと、しかし確実に少女を追い詰める。
…やがて、一方の命を賭けた鬼ごっこも、終焉を迎える。
「…キャッ!」
足元の木の根に気がつけなかった少女は、足を取られて転んでしまう。痛みと疲れ、そして恐怖で震える足を無理やりにでも奮い立たせ、立ち上がった少女が最初に見たものは。
ーー 妖怪が少女を捕らえんとして伸ばした、木の枝にも似た、だが普通のそれよりも圧倒的に太い腕。
その腕が、突如現れた少年によって掴まれているというものだった。
「…え?」
少女の口から漏れたものに含まれていたのは、単純に驚きとは呼べないものだった。思わず死を覚悟した次の瞬間、自分を食べようとした妖怪を平然と止めた一人の少年。まだ幼き少女に、今の状況を把握することは出来なかった。
「…ギイイィィィ!」
一方、いきなり現れた邪魔者に対し、その妖怪は掴まれている腕以外の、5本の腕を叩きつける。少女はその光景をただ見ていることしかできない。逃げて、そのたった3文字さえ言うことは出来なかった。
大の大人が武器を振り下ろすよりも遥かに強い威力を伴うそれにより、少年は頭を潰され、少女より少しだけ早く妖怪の餌となる ーー ことはなかった。
少年は、自らに迫る5本の腕を眺め ーー 。
まともに防御を取ることもなく、それら全てを『受け止めた』。まるで岩が高いところから落ちたような、そんな凄まじい音が周囲に響き渡る。しかし、少年はそこから微動だにしない。あれだけの衝撃を受けてなお、少年は変わらずそこに立っていた。
「ギッ!?」
妖怪が驚くのも無理は無い。人がまともに食らって生きていられる筈もない攻撃を、腕五本で繰り出したのだ。それが、目の前の少年にかすり傷一つすら負わせられないのだから。
「…帰れ」
不意に少年が言葉を発する。たった一言、しかしその一言に込められた『重み』は並のものでは無かった。それは強烈な効力を持つ言霊となり、妖怪を撃ち抜く。最早妖怪に是非のあるはずも無かった。
「ギ、ギギギッ…!」
妖怪は森へと逃げ帰る。圧倒的な力の差を見せつけた絶対強者から離れるために。少年はそれを追うことはない。ゆっくりと振り返り、驚きのあまり腰を抜かしていた少女に声を掛ける。
「…大丈夫かい?見たところ大きな怪我はしてないようだけど。…とりあえず、お家まで連れてってあげるよ」
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「…成る程。その花をお母さんに見せたかった、と」
右手に赤い綺麗な花を持つ少女を背負いつつそう問う少年に、少女は遠慮がちに頷く。どうやら、怒られるのだと思っているらしい。少年は一つ嘆息し、
「…良い心がけだよ。だけどね、一人で出歩くには、特に夜は危ないんだ。今回みたいなことになりかねないからね。次からは、ちゃんと大人と一緒に、安全な時間に出るんだよ」
怒られると思っていただけに驚いている少女へ、少年はもう一つ声を掛ける。
「別に怒りやしないさ。夜は危ないとちゃんと言い聞かせていなかった大人にも罪はある。それに、子供は色々経験して大きくなるものさ。ま、今回はちょっと怖い目になっちゃったけどね」
あくまでも泰然とした態度で少女を背負い続ける少年は、そう言って少女に微笑みかける。緊張もある程度取れたのか、少女もはにかみつつ頷く。
「…お兄さん、お名前は?」
ふと気になり、少女は問う。それに対し、少年は答える。
「そういえば、名乗ってなかったね。
ーー 俺の名前は、ユウ。宜しくね、お嬢ちゃん」
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「…お?なんか門番みたいな人が立ってるけど。…あれが人里、とやらの入り口かい?」
「え?なんでそんなこと聞くの?」
「…ああ、実はね、俺はつい先日ここに来たばかりなんだ。だから、人里というものがどんなものか分からなくてね」
「…へぇ。じゃあ、お兄さんは外来人さんなの?」
「…外から来た、という意味ならその通り。俺は外来人さんだな」
…と、そんな他愛の無い話をしている内に、門の前へ到着。ここが人里の入り口らしい。門の前に立っていた壮健な男性がこちらに気がつき、背負っている少女を見て、警戒を強める。
「…何者だ?何故、人里の子を背負っている?」
「妖怪に襲われていたから助けた。それでこの子の家まで送り届けるところだ」
「…本当か?」
「本当だよ!このお兄さんが助けてくれたの!」
「そういうわけだ。…別に、俺を中に入れろとは言わないが、この子を家まで連れてってやってくれないか?この子の話では、家を出てからおおよそ2時間は経っているようだしな。親御さんがさぞかし心配していることだろう」
…どうやら、一応信用出来なくは無い位の人物と見える。少女に目立った怪我も無い。もし2人の話が本当なら、この少年は少女を妖怪の魔の手から単独で守ってくれた人物。その実力は間違いなく自分を遥かに上回る。ならば、ここは敵対の意思を見せるべきではあるまい。
「…そうだな。すぐに親を連れてこよう。…里の者の保護、感謝する」
「どういたしまして。…それで、だ」
俄かに雰囲気の変わった少年に、男性は警戒の色を強める。 ーー やはり、只者ではない!まさか、妖怪か?話を聞きつけた仲間が数名こちらへ向かってきているが、もしこの少年が暴れれば、果たしてそれだけのもので抑えられるのか?最悪、仲間がこちらに着く前に暴れ始めたのなら、自分一人で抑えなければならない。ーー 果たして、そんなことができるのか?
目つきを鋭くし、緊張と共に密かに武器を構えた男を、少年は見ていない。少年が見つめるのは、後ろの虚空。別段、何か浮いていたりするわけでもない。怪しい感じもしない。
…と、徐に少年は踵を返し、歩いて行く。そして、数歩歩き、立ち止まる。何をしているのかと訝しむ男を尻目に、少年は何もない虚空へと手を伸ばし ーー 。
「いつまで後ろ付ける気だお前は」
「あうっ!?ちょ、何するのよ!」
…突如現れた謎の裂け目を割り開き、中にいた女性の額に綺麗な型で手刀を食らわせた。
ありがとうございました!
「…さて、いよいよ始まるワケだが」
「〜♪」
「これは何だ」
見たらわかるでしょ。最後に出てきた、あの方ですよ。
「違う、そうじゃない。…なんでこいつは俺の背中に全体重をかけてグダってるのか聞いているんだよ」
「あら、別にいいじゃない。むしろこんな美人さんにしなだれ掛かられて嬉しいでしょう?」
「重い」
「ふぐうっ!?」
…あ、撃沈した。ユウさん、中々酷いですね…。
「気にするな。それではみなさん、次回もよろしくな」
こっちの更新も可能な限り頑張ります!
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