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【歴史戦】
「虐殺」写真に裏付けなし 同士討ちの可能性は触れず 日テレ系番組「南京事件」検証
一方で、番組は12月17日の揚子江岸での様子について、65連隊第2中隊伍長が後日描いたスケッチを紹介し、ナレーターに「河原に集められた捕虜を、日本兵の機関銃が半円形に囲んでいます」とスケッチの構図を語らせた。ところが、スケッチを描いた伍長自身は「捕虜を舟で揚子江対岸に渡す」と認識し、機関銃の射撃は「戦闘として行った」と別の機会で証言している。このことを番組は伝えなかった。
立命館大名誉教授の北村稔は日中歴史共同研究(平成18~21年)で中国側がまとめた論文と番組の類似性を指摘した。
「中国側は、30万人の市民殺害を主張するのはもはや無理なので、捕虜の殺害に焦点を絞る、という戦術に共同研究を通じて転換した。番組の全体の構造は、あのときの中国側の論文通りだとの印象を受けた」
番組は「…といわれています」「これが南京で撮られたものならば…」といったナレーションを多用。断定は避けながらも、“捕虜銃殺”を強く印象付けた。
北村は客観的根拠は明示せずに「ほのめかし」を駆使していることについて「中国の謀略宣伝のやり方と酷似している」と批判する。 (敬称略)
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日本テレビ広報部「番組で紹介した資料の詳細についてはお答えしておりません」
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【用語解説】南京事件
昭和12(1937)年12月13日、当時の中華民国の首都・南京陥落後、旧日本軍の占領下で起きたとされる事件。犠牲者数について中国側は「30万人」と主張する。日本では近年の研究で誇大との見方が定着しているほか、「事件」というほどの出来事はなかったとの意見もある。日本政府は「非戦闘員の殺害や略奪行為などがあったことは否定できない」との見解を示している。2015年10月には、中国の申請で「南京大虐殺文書」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶(記憶遺産)」に登録された。
●=木へんに堂の土が田
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