<まとめ>
・ネットで時折見かけるバリキャリと見えるお方々、話が全く合わなそうだ
・高いところから大局的にものを見るキャリア組と前線で細部を見ていく現場組、価値観も話す話題も噛み合わない
・かつては同じ環境で過ごし価値観を共有していたとしても、今後開きゆくキャリアの中で交友関係を維持していけるだろうか
バリキャリと呼ばれる人がいる。知り合いにはいないがネットで時折見かけるその方々、各人とも個性的ではあるが、共通して感じるものがある。たぶん僕とは話が噛み合うものが何一つないだろう、ということだ。住んでいる世界、見えているもの、それら全てを支える価値観がカスる気すらしない。
何年か前に地元中学校の同窓会に出た。僕の出た中学はなかなかの田舎であり、大学まで行ったのは僕を入れても片手で足りるほどだった。同窓会で十数年ぶりに会うみんな、積もる話はあったはずだが話が弾むことは無かった。周りのみんなは高校を出て就職をしたり結婚をしたり、そして何よりずっと地元に定着していた。彼らの根幹から地元は切り離せない、大切な1ピースなのだ。対して僕は高校を出ると地元を離れて大学に行き関東で就職した。元々が転勤族で地元暮らしが短いのもあって、僕の価値観の中に地元というものは無い。その点で周りとは話が噛み合わず、終始テンポがおかしいまま同窓会は終わった。以後、僕は中学時代の人と交流は途絶えている。大学入学して間もなくはそんなことは無かったのだが、違う文化で長く過ごすことで分かれていった価値観は僕達を遠ざけてしまった。
価値観に良いも悪いも、上も下もない。会うか合わないか、ただそれだけだ。それでいい。冒頭のバリキャリ系の方々とも交わらなければいいだけだ。しかし昔からの友人(高校以降)を対象とするとどうだろう。大学くらいまでは同じような価値観の元で過ごしてきた僕らは、社会に出てそれぞれの道を歩き出した。僕みたいに会社の3Dプリンタで遊んでいるような人もいれば、冒頭のバリキャリの方よろしくキャリアアップを進めている人もいるし、ベンチャー行ったりフリーで働いてたり、千差万別だ。働き出してそれなりに年月がたった今、各々が所属する価値観も分かれ、離れてきているはずだ。今はまだ僕と交流がある彼らだが、これから5年…10年…さらにキャリアの差がついていった時に交流が保てるだろうか。同じレベルの話ができるだろうか。僕はちょいと、自信が無い。
そんな折、LINEの通知が来た。高校友人グループからで発信者は激務高給に自信ニキ、投稿されたのは動画だ。内容は、家で赤ちゃんの横で寝転び、ビールを哺乳瓶で飲むという30過ぎたオッサンのドメスティック赤ちゃんプレイ……キツさしかない。かつての彼はそんな人間ではなかったはずだが、業界の価値観に汚されたのか。アッパークラスの価値観は僕では計り知れない。人を変えてしまう社会という魔物に恐怖を覚えながら、僕は一言「キツイ」とコメントした。