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監督機関を設立、人権侵害に罰則…衆院委可決

 衆院法務委員会は21日、発展途上国の労働者が日本で技術を学ぶ「外国人技能実習制度」の適正化法案を与野党の賛成多数で可決した。日本で介護福祉士の国家資格を取得した外国人が継続的に働けるよう、在留資格に「介護」を設けることを柱とした入管法改正案も可決した。両法案は衆院本会議を経て参議院に送付され、今臨時国会で成立する見通しだ。【鈴木一生】

    「介護」も在留資格に

     適正化法案が成立すると、政府は施行と同時に技能実習の職種に「介護」を追加する方針を決めている。実習生と国家資格取得者の違いはあるが、介護の現場で外国人が活躍する流れが加速する可能性がある。

     適正化法案は、途上国の経済発展を担う「人づくり」に貢献するという制度の趣旨を徹底させるのが目的だ。実習生に対する人権侵害行為に対して罰則を規定するほか、新たな監督機関「外国人技能実習機構」(認可法人)を設立して実習先(受け入れ企業など)・監理団体(事業協同組合、商工会など)への指導を強める。実習生の技能評価試験の合格率が高いなど優良な実習先・監理団体は、受け入れ期間を現行の3年から最長5年に延長できるようにする。

     入管法改正案は、外国人が就労できる在留資格に「介護」を加えるのが主な内容。高齢化が進む中、介護の担い手を確保する狙いがある。留学生の資格で入国した外国人が、国指定の養成施設で2年以上学び、介護福祉士の資格を得た場合が対象となる。

     外国人の介護福祉士については、これまでは経済連携協定(EPA)に基づき、インドネシア、フィリピン、ベトナムからの志望者を受け入れていた。EPA以外のルートでは、国家資格を取得しても日本での就労は認められなかった。

     技能実習制度は実態として低賃金労働者の確保策になっているとの批判がある。そのため、衆院法務委で自民、公明、民進が共同提案した「実習先などが作成する実習計画に、労働時間や休日などの待遇内容を明記する」などの修正項目が加わった。


    外国人技能実習制度

     外国人が実習生として最長3年間働きながら技術を習得する制度。発展途上国への技術移転を目的に1993年に創設された。農漁業や建設関連などが対象で全国で21万893人(6月末現在)が従事している。中国、ベトナム、フィリピン、インドネシアからの受け入れが多い。劣悪な労働条件や賃金不払いが問題化するケースがあり、技能実習に名を借りた安価な労働力確保策との批判もある。

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