ISは「残忍な敵」イラク・モスル奪還支援の米軍トップ
- 2016年10月21日
イラク北部の主要都市モスルを過激派組織のいわゆる「イスラム国」(IS)から奪還しようとする軍事作戦で、米軍の支援部隊を指揮するスティーブン・タウンゼンド中将は20日、ISが「人間の盾」を使っていると指摘し、残忍な敵を倒さなくてはならないと語った。
同行取材したBBCに対しタウンゼンド中将は、ISが「適応力が高く、巧妙で、狡猾だ」と述べた。
イラク政府軍は20日、モスルから15キロも離れていない町バルテラを奪還したと述べた。キリスト教徒が多数を占めるこの町では、ISによる激しい抵抗があった。特殊部隊が進むなかで、自動車を使った自爆攻撃が数回あったという。
イラクの対テロ対策を率いるタレブ・シェガティ・アル・ケナニ氏は、バルテラはモスル奪還に向けた作戦で重要な場所だと語った。
モスル南部では、ISの戦闘員らが撤退時に化学工場に火を放ったという。消火が成功したかは、現時点で明らかになっていない。2003年に同じ工場で起きた火災は何週間も続き、二酸化硫黄が大気中に放出され続けた。
米国は20日、米軍兵士1人がイラク北部で道路脇に仕掛けられた爆弾によって死亡したと明らかにした。2014年にイラクとシリアで対IS作戦が始まって以来、戦闘で死亡した米兵士の数はこれで4人になった。
イラク軍を援護する砲撃位置でBBCの独占インタビューに応じたタウンゼンド中将は、「(ISは)人間の盾を使っている」とし、「打ち負かさなくてはならない残忍な敵だ」と語った。
予定よりも早く
モスルは2014年以来、ISの支配下にあり、イラク国内における同勢力の主要な拠点となっている。
モスル市内には依然として150万人の住民が留まっている可能性があり、生活物資が底をつきつつあるとの情報もある。
ロイター通信によると、国際移住機関(IOM)は、モスル周辺での戦闘で5640人が避難を余儀なくされたとしている。
一方、イラクのハイダル・アバディ首相は20日、パリで開かれた国際会議で4日目に入った攻撃が「予定よりも速く前進している」と述べた。
アバディ首相はイラク軍とクルド人自治政府の治安部隊との協力を称賛し、両者が、イラク領土をISから解放するため「一致協力して戦っている」と語った。
イラク軍がモスル南部から進軍している一方、クルド人部隊は東と北から大規模な軍事作戦を行っている。
クルド人部隊はモスルの北東約25キロの地点にある町バシカで、新しく前線を開いた。
空爆と迫撃砲による攻撃を受けたバシカから、濃い煙が立ち上るのが目撃されている。
当局者らは、ISが一部地域で激しく抵抗していることから、モスル奪還には数カ月かかる可能性もあると警告している。
ISの指導者らがモスルから逃げ出しているという未確認の情報があるものの、最大5000人の戦闘員が依然として市内にいるとみられている。
ISのアブ・バクル・アル・バグダディ指導者の居場所は分かっていない。
(英語記事 Mosul: Islamic State is 'a brutal opponent', says US general)