採決にらみ与野党対立続く TPP参考人質疑

採決にらみ与野党対立続く TPP参考人質疑
TPP協定の国会承認を求める議案などを審議している衆議院の特別委員会は、午前9時すぎから参考人質疑を行いました。しかし、民進党と共産党は、「与党と一部の党だけで強行に行うべきではない」と抗議して、欠席するなど、衆議院での採決をにらんだ与野党の対立が続いています。
TPP=環太平洋パートナーシップ協定の国会承認を求める議案と関連法案を審議している衆議院の特別委員会は、午前9時前に理事会を開き、21日に予定されていた参考人質疑の取り扱いをめぐって協議しました。

この中で、与党側は、参考人質疑を行うよう求めたのに対し、民進党などは「山本農林水産大臣の強行採決に関する発言が問題になっているほか、月内の採決を前提にした日程で認められない」と主張しましたが予定どおり行うことになりました。

このあと民進党と共産党は委員会室で、「与党と一部の党だけで強行に行うべきではない」などと塩谷委員長に抗議しましたが、受け入れられなかったため両党は委員会室から引き上げました。

そして、午前9時すぎ、民進党と共産党が欠席するなかで、塩谷委員長が開会を宣言し、自民・公明両党と日本維新の会が推薦した2人の参考人による意見陳述と質疑が行われるなど、衆議院での採決をにらんだ与野党の対立が続いています。

一方、佐藤衆議院議院運営委員長は、TPP協定を審議する特別委員会の与野党の筆頭理事を呼び、「議長・副議長とも相談したが、来週24日の地方公聴会は取り下げたうえで、26日に開催するようにしてほしい。円満に委員会運営が行われるよう協議してもらいたい」と要請しました。

自民 小此木氏「野党出席に努力」

自民党の小此木国会対策委員長代理は、記者会見で、「理事会の決定について、与野党の間で認識の差があるのが現実だが、手続きに瑕疵(かし)はない。そうした中で、民進党などに委員会に出席していただき、協議の道が開かれるよう、さらに努力をすることが、与党の責任だ」と述べました。一方で、小此木氏は、「今月28日に採決ありきだということは一切発信していないが、政府・与党からすれば、今の国会の会期中に成立させたいという思いがあり、参議院の日程も頭に入れて、話を進めていかなければならない」と述べました。

公明 山口代表「与野党で舞台整える責任を」

公明党の山口代表は、党の参議院議員総会で、「山本大臣の発言をめぐって、特別委員会が停滞しているのは誠に遺憾だ。政権の緩みや、多数のおごりというイメージに結びつかないよう、気を引き締めて立て直していかなければならない。議論を深めようということでは一致しているわけで、与野党で、そのための舞台を整える責任を果たしてもらいたい」と述べました。

民進 今井氏「強引で言語道断」

野党側の理事を務める民進党の今井前幹事長代理は、委員室から出たあと、記者団に対し、「賛成派の参考人だけ呼んで偏った質疑するのは絶対認められない。問題を起こしているのは政府・与党で、彼らは解決する責任がある。何も解決策見いださず、強引に進めるのは言語道断だ」と述べました。
また、共産党の畠山和也衆議院議員は、「問題の発端は、山本農林水産大臣の『強行採決発言』であり、行政が立法府に介入しかねない重大な発言だ。28日に採決するかのような、さまざまな発言が出ていて、この参考人質疑や地方公聴会もセレモニーにされかねない。強行採決はあってはならない」と述べました。

官房長官「一日も早い成立を」

菅官房長官は閣議のあとの記者会見で、「TPP協定はわが国の成長戦略に極めて重要であり、その効果を速やかに発現していくために、TPP協定の国会承認を求める議案と関連法案の一日も早い成立が必要で、速やかに審議を進めてもらえるよう与党と調整したうえで、国会のことは国会で決めてもらうことになる」と述べました。