(cache) 卵とサルモネラについて | 食中毒 | お役立ち情報 | 株式会社 東邦微生物病研究所

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卵とサルモネラについて

 

食品衛生検査部

MP900448624  

卵には生命の元となる全ての栄養素が含まれていることから、完全な栄養食品として広く一般的に知られていると同時に、サルモネラの代表的な食中毒原因食品の一つとしても有名です。

 

ここでは、卵とその衛生についてご紹介したいと思います。

 

卵の成分とサルモネラ食中毒

まず卵の成分についてですが、全卵中タンパク質が12.3%、脂質が10.3%、水分が76.1%となっており、その他にカルシウム、鉄分、ビタミン、コレステロール等もあり、また、風邪に効くとされている殺菌酵素リゾチームも多く含まれています。

 

一方、サルモネラは食中毒を引き起こす菌の一つで、発育温度は10℃以上、特に20℃以上になるとよく増殖し、発育至適温度は37℃位とされています。

しかし、熱抵抗性が弱く十分な加熱で死滅します。汚染される主な食品として卵(加工品含む)、食肉製品、乳製品などがあり、事件数が多い原因食品は、洋菓子、オムレツ、自家製マヨネーズ、卵納豆、だし巻き卵、卵入りどんぶり、とろろ、卵焼きなどで、卵とサルモネラの関係が多く見られます。

その食中毒症状としては4~48時間後に発症する事例が多く、主な症状は悪心、嘔吐、腹痛、下痢、発熱等。39℃以上の発熱が特徴で脱水症状を示す場合もあり、小児、老人の場合は重症で稀に死に至ることもあります。

卵の殺菌処理

さて卵の衛生についてですが、店頭に並ぶ卵は消毒・殺菌されており、その過程はというと、養鶏場で生産された鶏卵は、GPセンター(鶏卵格付包装施設)にて傷卵・血卵などを除き、食品衛生法に基づいて卵殻表面に付着した汚れを次亜塩素酸ナトリウム150ppm溶液などで消毒・洗卵します。

しかし、放し飼いや自然卵と称する養鶏場の宅配などの生産卵については、この工程の有無は、生産者と消費者との相互信頼に基づくことになります。

賞味期限

次に賞味期限ですが、生卵においては万が一卵内にサルモネラ菌が存在した場合、食中毒対策上から食用とすることが可能な期間を設定しており、サルモネラがほとんど増殖することはない冷蔵保存下で夏期なら7~10日、春秋期で2週間程度となっています。

サルモネラの増殖には鉄分が不可欠であり、これは卵黄中にのみ存在し、卵白中には存在しません。そのため、賞味期限の計算は菌の増加が起こるまでの日数と保存温度との対数式によって計算されますが、卵黄膜が鮮度の低下により破れて、鉄分を有する卵黄成分が卵白内に移行する目安の期間を表しています。

また、加熱処理の場合は動物性タンパク質の食べ物であるため、牛肉・豚肉などを加熱調理した場合の日持ちと同程度と考えるべきで、最大でも2~3日程度と考える事が望ましいでしょう。

 

食中毒対策

賞味期限を守り、生食するならなるべく新鮮なうちに食べること。卵内には先に述べた殺菌酵素リゾチームが含まれ、サルモネラ菌は10℃以下ではほとんど増殖しませんが、時間が経つにつれ卵の鮮度が下がれば殺菌力も低下してしまうので、必ず新鮮なものを食べましょう。

 

加熱処理の場合は食品の中心温度を管理する事が重要で、75℃で1分間以上、または65℃で5分間以上加熱する事が目安です。

 

割卵、混合後はその日のうちに消費すること。もし卵白中にのみサルモネラが存在していた場合でも、混合する事によって鉄分を得る事ができるので、当日中に消費しましょう。冷蔵保存していても100%防げるわけではありません。

 

2次汚染対策として、十分な手洗いと調理の際に使用した器具・食器類は十分に洗浄・消毒すること。

 

などが挙げられます。

 

なお賞味期限は生食できる期限として設定されているので、期限後の卵は加熱調理することにより食べることができますが、食の安全・安心と食中毒対策を考慮してなるべく期限内に消費するようにしましょう。