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ブラック企業を逃げ出す方法 これなら今すぐ辞められる

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私は、最終的に、ブラック企業から逃げ出した。
何度も退職を申し出て、合意の上で辞めようとしたが無理だったのだ。

逃げ出すような無責任なことはしたくないと考えていたが、友人に「人間として扱われてないのだから、人間としての責任を果たす必要はないよ」と言われて、諦めがついた。
そして、家族、友人、病院の先生、厚生労働省の相談コーナーの方と、相談した全員に「もう、その会社には行かずに逃げた方がいいよ」と言われて、決意した。

事前の準備

社長が怒鳴りつけているときに「お前はクビだ!」と失言したら、カバン一つ持って逃げ出そうと考えていたので、その瞬間が来たときための事前の準備はしていた。
準備というのはこの2つだ。
・引継ぎ資料を作っておく
・文房具類は失ってもいいもののみ持ち込む

引継ぎ資料を作っておく

私の場合、同じ仕事をしている人が他にいなかったので、自分がやっている全作業の手順をある程度エクセルにまとめていた。
社長が日報やマニュアルや規則集といった資料を社員に作らせるのが好きだったので、辞めるとなったら「マニュアルが完成するまで辞めるな」と言われるのが目に見えていたからだ。

私は用意したが、引継ぎ資料がなくても逃げ出すことはできる。
これを作成するために逃げ出すのが遅れるくらいなら、一刻でも早く逃げ出したほうがいい。

文房具類は失ってもいいもののみ持ち込む

社長が「クビ!」や「顔も見たくない」などの発言をしたら、「分かりました!」とその場で会社を去ろうと考えていた。
そのときに私物をあれこれ仕舞って時間をとると、その間に何を言われるか分からないので、カバンだけ掴んでそのまま逃げ出せるように、会社に持ち込むペンや筆入れ等は手放しても惜しくないものにしていた。

逃げ出す前の最後に出社した日、いつも通り、業務に使う自分の私物はほとんど置いて帰ったので、怪しまれずに済んだと思う。

専門家に相談する

逃げ出すことを決意したが、法律的に問題がないか心配だったので、厚生労働省の総合労働相談コーナーに電話で確認した。
すると、相談コーナーの方にも逃げ出すことを勧められた。

会社は辞めたいときに辞められる

厚生労働省の総合労働相談コーナーに下記のことを教えてもらった。

民法第627条1項に以下のように定められている。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。
この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。

これに対して、使用者(会社側)には労働者の退職を拒否する権利はない。
法律上は、労働者が辞めたいと申し出さえすれば、その2週間後には自動的に退職となるのだ。
会社の就業規則に「30日前に申し出ること」といった文言があっても、それは会社からのお願いであって、法律上はお願いは聞かなくても構わないのだそうだ。

もし退職の意志を伝えているのに、会社側が拒否して無理矢理出社させるとなると、それは労働基準法第5条の強制労働の禁止に違反することとなる。

使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

民法の条文にあった「解約の申入れの日」とは、退職の意志を表明した日である。
そしてこれは、口頭でもメールでも有効なので、退職届を提出したが破られてしまったという場合でも意志の表明になる。
ただ口頭だと言った言わないの争いになるので、メールか内容証明で退職届を送ることが望ましい。

退職しても損害賠償金等を払う必要はない

労働基準法第16条には下記のように定められている。

使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

つまり、「退職するなら、◯◯円払え!」というのは無効なのである。

実際にかかった損害額は請求していいと定められてはいるが、その場合は裁判で、退職と損害の因果関係を会社側が証明しなくてはいけず、この証明は非常に難しいものらしい。

要するに、退職にあたりお金を払うことを要求されても、その要求は無視して構わないのだ。

逃げ出すために作成する書類

総合労働相談コーナーの方に、下記の2つの書類を作成するようにと言われた。
・退職届
・有給休暇申請書

退職届

総合労働相談コーナーの方に、この通りに書いてください、と言われた文言をここに書き写す。
退職の理由(一身上の都合でOK)、退職日、退職届の提出日は重要なので、書き漏らさないようにと念を押された。

退職日は、退職の意志を表明する日の翌日の2週間後に設定すること。
例えば、10月11日(火)に退職を表明した場合、退職日は翌日12日(水)の2週間後の10月26日(水)となる。

退職届

平成◯◯年◯月◯日
株式会社◯◯
代表取締役社長 ◯◯ ◯◯様

本日、メールにて連絡差し上げましたとおり、一身上の都合により平成◯◯年△月△日をもって、退職いたします。

自著+押印(シャチハタ可)

 

有給休暇申請書

退職の意志を表明してから辞めるまでに2週間あるが、会社に行かなくていいと言ってもらえた。
「そのような会社なら有給休暇を使ったことはないでしょうから、このタイミングで使いましょう」と、有給休暇取得の申請書の書き方も教えてもらった。

有給休暇取得申請書

平成◯◯年◯月◯日
株式会社◯◯
代表取締役社長 ◯◯ ◯◯様

平成◯◯年◯月◯日より平成◯◯年△月△日まで労働基準法第39条に基づいて有給休暇を取得いたします。

自著+押印(シャチハタ可)

 

いざ、逃げ出す

退職届と有給休暇取得申請書が完成し、ついに行動に移るときがきた。

退職の意志を表明する

その会社では、チャットツールを使って連絡を取り合うルールになっていたので、この時も社長宛にチャットを送った。
下記の文言と、退職届と有給休暇取得申請書を撮影したデータ(我が家にはスキャナがない)も送信した。

ここ数週間体調を崩しており、回復の見込みがないため、誠に勝手ながら平成◯◯年△月△日付で退職いたします。
退職届等の原本は郵送でお送りいたします。
今までありがとうございました。

読み返すと、本当に「誠に勝手ながら」という感じだが、そのときはなりふりかまっている余裕はなかった。

退職届等を郵送する

そして郵便局に行き、受取の記録が分かるように書留で送った。

その後、もう一度、社長宛にチャットを送った。

本日、社長宛に書留にて以下のものを送付しました。
問い合わせ番号は◯◯◯◯です。
ご査収お願い致します。

・退職届
・有給休暇取得申請書
・オフィスの鍵

 

返信が来る

書留送付のチャットを送った後、社長から返信が届いた。

郵便物が届きましたら、内容を拝見します。

この一文の後、いかに私に責任感がなく最悪な人間であるかが書き連ねてあったが、内容はどうであれ、返信が来たということは私が表明した退職の意志を目にしたということだ。
チャットの文章が削除される前に、スクリーンショットで画面をキャプチャし保存した。

退職の意志を表明するという目的は果たしたので、もうこちらから返信する必要はないだろう。
あとは2週間が経過するのを待つだけだった。

 

退職日を静かに待つ

退職の意志を表明した翌日

書留を送った翌日、郵送した書類が社長のもとに届いた日に、社長から、他の社員も見えるチャット上で「引き継ぎの書類はどこにあるか教えて頂いていいですか?」と普段とは全く違う嫌味かと思うほどの丁寧な口調で連絡が来た。
間髪をいれず、作っていた引継ぎ資料を送った。

推測だが、私が引継ぎ資料を送れなかったら、責任感がないと皆の前で罵倒するつもりだったのだと思う。
結構ボリュームがある資料を送ったせいで拍子抜けしたのか、それ以上何も言ってこなかった。

そしてこれが、社長との、最後の直接的なやり取りとなった。

 

二週間後、そして最後の給料日

この会社の同僚から「前に社長が辞めようとした社員の家に行って、大声を出して暴れたことがあるから、家にいないほうがいいよ」と忠告をもらったので、家族とともに数日間の旅に出た。
家にいると、社長が家に来たらどうしようと怯えたり、これからのことを考えて不安になったりしただろうから、遠い街に行くことはいい気分転換になった。

 

そして何ごともないまま、私が設定した退職日が来た。

更にその数日後、給料日が来た。
有給休暇分も含めて、全額振込みがされていた。

 

今まで辞めた社員は皆、最後の給料はもらえなかったと聞いていたので驚いた。
有給休暇取得申請書に、労働基準法うんぬんと書いたので、私が誰か法律に詳しい人に頼っていると気づいたのだろう。
余計な波風は立てずに、去るものは追わずでいこうと思ったのだろうか。

 

最後に

こうして私は、無事にブラック企業を辞めることができた。
それまでの、見えない檻に閉じ込められた一年半が嘘のように、あっけない最後だった。

逃げ出して、しばらく時が経ってから、ようやく自分が洗脳されていて、正気じゃなかったことに気がついた。
当時は「まだ大丈夫」と思い続けていたが、全然大丈夫な状態ではなかった。

もし、今、自分がブラック企業にいるのではないかと悩んでいる人がいたら、すぐに周囲の人に相談してみて欲しい。
自分が思っているよりも、自分はダメージを受けていると認識をしたほうがいい。
「まだ大丈夫」「もう少し頑張れる」
そういう思いがあるうちに行動に移しておかないと、「もう無理だ」となったときは逃げ出す気力すら残っていないのだから。

私が相談した、総合労働相談コーナー
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