「謎はすべて解けた」
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これまでの経緯を順に並べよう。
(1) 疑惑の発覚
将棋連盟が三浦九段の処分を発表した。不正を疑われたが、その不正を認定した根拠は公表されなかった。あくまで疑惑の段階であるにすぎなかった。
ただし、将棋連盟からの 聴取時に、「不正を疑われるなら休場する」と三浦九段はいったん述べたそうだ。まったくのしろということではないらしい。
(2) 関係者の証言
関係者の証言が判明した。
「対局中にしばしば離席する。それも、自分の手番で」
これはまことに奇妙だ。本人が弁解するように、取りれや休憩のために離席するのであれば、相手の手番中に離席するのが当然だからだ。
( ※ 相手の手番中ならば、自分のタイムに参入されない。ノータイムで休むことができる。自分の手番中に離席すると、タイムが加算されて、すごく不利だ。)
このことから、「状況証拠は真っ黒」というありさまだった。
(3) 対局内容
いくつかの対局内容が「ソフトの手だ」と推定された。特に神がかり的な妙手を連発した三浦・渡辺戦では、そのことが強く疑われた。将棋連盟はこの点を明らかにしなかったので、本サイトがこの点を詳しく分析した。
→ 三浦九段の不正疑惑(将棋)
→ 続・三浦九段の不正疑惑(将棋)
(4) 三浦九段の声明
あらゆる状況から「真っ黒だ」と思えたところで、三浦九段が声明を出した。内容は「潔白だ」と訴えて、「ソフトの手と自分の手を比較してほしい」と訴えた。
(5) 三浦・渡辺戦の分析
三浦九段の声明を受けて、三浦・渡辺戦について、本サイトが詳細に分析した。すると、いくつかの点ではソフトとの一致が見出されたが、最も重要な点で不一致が見出された。「ここが不一致ならば他の一致はすべて無意味になる」というような重大な不一致である。
このことと、人物のプロファイリングから、「三浦九段はシロである」と本サイトは結論した。これまでの「クロ」という推定から、一挙に状況は「シロ」へと転じた。手については、「一生に一度の名手」のようなことがあったのだ、と推定された。
(6) 三浦・丸山戦
さらに、三浦・丸山戦(竜王戦・挑戦者決定三番勝負)について、詳細に分析した人もいる。こちらについては、
「凡手が多くあり、ひどい悪手もあった。ゆえに、ソフトを借りたということはありえない」
と判定された。(ソフトの手と一致した場合もあるが、それは特に不自然ではなかった。)
→ 【検証スレ】 三浦九段、10分以上消費時の技巧判定
※ この情報は、本サイトでは初出である。
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ここまでの話をまとめると、こうなる。
「状況証拠を見る限りはクロを疑わせるが、実際の対局とソフトのデータを見ると、ソフトに教わったということはありえない。非常に不自然ではあるが、結果を見る限りはシロと判定するしかない」
どうも、すっきりしないのだが、現実の結果を見る限りは、シロと判定しかないのだ。
( ※ 「技巧」とは別のソフトを使って、遠隔操作したか、スマホで教わったかでは? ……という疑いもある。だが、最強のソフトである「技巧」以外のソフトを使う理由がないので、あまり有力ではない。また、のちに述べるように、ソフトは「技巧」と認定していい理由が出た。)
以上の状況のあとで、週刊文春の情報が出た。次の通り。
(a)7人のクロ認定
トッププロ7人がさまざまな状況からして「クロだ」と認定した。7人とは、下記のことだ。
渡辺・羽生・谷川・佐藤天彦・佐藤康光・島・千田五段
ここで、「 99.9% 間違いないですね」という声も出たということだ。(文春報道)
そうだとすると、やはり「棋譜分析」をしての結果だろう。(私見)
(b)渡辺竜王の棋譜分析
7人の会合を招集したのは渡辺竜王の提起だったという。三浦・渡辺戦について疑問に思っていたところ、「ソフトとの手との一致率が高い」という話を聞いて、自分で調べたところ、一致率の高さを認定した。また、三浦九段の過去の全力を調べて、一致率の高さを認定したそうだ。(文春報道)
ただし、他の人の分析によれば、三浦九段はもともと他の人よりもソフトの手との一致率が高い。また、その差はほんのわずかであり、統計的に有意なほどの差ではない。また、渡辺竜王が今回独自に調査した分は、渡辺竜王の先入観・偏見によって、認定が偏っていた可能性がある。渡辺竜王一人の認定では、何とも言えないはずだ。この件は無視していいだろう。(私見)
(c) 直接の疑惑
週刊文春では、もっと直接的な疑惑が示されていた。
・ 聴取後、スマホの提出を養成されたが、拒否した。
・ 妻が「技巧」をダウンロードした、と述べた。
・ パソコンをスマホで遠隔操作する方法を教わろうとした。
この三点は、決定的に大きい。特に、「スマホの提出を拒否した」ということが大きい。それでいて、声明では「スマホを使っていないことを示す画像を提出した」などと言っている。ここでは、明白に嘘をついている(ゴマ化している)ことになる。少なくとも、嘘つき認定はしていいだろう。
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文春の話を評価しよう。
(a)の点は、問題ない。「スマホの手を見ていない」ということがすでに判明している。(前項・前々項など)
(b)の点は、無視できる。渡辺竜王の個人的な感触だから、客観的なデータではない。
(c)の点は、重大だ。仮に「シロ」だとすれば、(c)の三点は完全に矛盾する。また、ひるがえって先の (2) 「離席の多さ」も、「シロ」であることに矛盾する。
こうして、ここまでのデーを見る限り、完全に矛盾に陥った。「シロだ」と見ても矛盾。「クロだ」と見ても矛盾。どっちにしても矛盾が起こる。こうして大混乱に陥った。
これが現状である。
人々は迷った。そのとき、人々の間で声が生まれた。
「 困ったときの Openブログ。そういうふうに文句を唱えれば、たちまち問題は解決する」
そこで、人々は唱えた。「困ったときの Openブログ、困ったときの Openブログ」と。
するとたちまち、名探偵が登場した。
名探偵は告げた。
「謎はすべて解けた」
人々は尋ねた。
「こんなに矛盾だらけで、大混乱に陥っているのに、どうして謎が解けたと言えるんです?」
名探偵は答えた。
「矛盾だらけだからこそ、謎は解けたのだ。仮に、矛盾がなかったなら、謎は解けなかっただろう。しかし文春のおかげで、大きな矛盾が発生した。大きな矛盾が発生したゆえに、謎は解けたのだ」
人々は疑問にとらわれた。
「どういうことです」
「論理的に考えればすぐにわかる。シロならば矛盾。クロならば矛盾。だとしたら、残るものはただ一つ。『シロでもクロでもない』というのが、正解だ」
「ふざけないでください。『シロでもクロでもない』なんて、あるわけないでしょう?」
「ところが、あるんだな」
「それは何です? 灰色ですか?」
「それは面白い冗談だね。しかし今は、冗談を言っていときじゃじゃない」
「では、真相は何です?」
名探偵は、ふパイプをくゆらせながら、こう答えた。
「せっかちだね。答えを言う前に、論理的に考えよう。
まず、彼はソフトの手を見ていない。これは、データから明らかだ。だから、このことは、事実だと認定していい。つまり、彼は疑いに対して、潔白だ」
「じゃ、シロでしょう?」
「ところが、そうじゃないんだな。シロだと言い切るには、離席が不自然すぎる。また、技巧をダウンロードしていて、そのことを隠蔽工作した、という事実もある。つまり、ソフトを使ったという点では、彼は明らかにクロである」
「何言っているんです! シロであって、かつ、クロであるなんて、ただの矛盾なじゃないですか!」
人々はいきり立った。しかし名探偵は平然としていた。
「ところが、違うんだな。ちゃんと主語を見るといい」
「主語?」
「主題と言ってもいいがね。いいかい。彼がシロであるのとクロであるとは、主語(主題)が違うんだ。こうだ。
・ ソフトの手を真似た …… シロである
・ ソフトを使った …… クロである
つまり、シロであるのとクロであるのとは、主語(主題)が違うんだ」
「いったい何が言いたいんです?」
「以上のことから真相はわかる。それは、こうだ。
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「三浦九段は、技巧というソフトを、継ぎ盤(のかわり)として使っていた」
Amazon:携帯用ポケット将棋盤
このような携帯用ポケット将棋盤は、昔からある。しかし、サイズがデカすぎて、携帯用には不便だ。
一方、スマホのソフトならば、小さな画面で、駒を操作できるので、継ぎ盤(携帯用ポケット将棋盤のかわり)として使える。
三浦九段は、将棋ソフトを、継ぎ盤としてのみ使ったのだ。
こう理解することで、謎はすべて解ける。
「なぜ離席が多いか?」
→ ソフトを使うためではなく、継ぎ盤を使うためである。自分の手番に限って離席するのも、そのためだ。
「なぜ潔白だという声明を出したか?」
→ 実際にソフトの手を使っていないからだ。手のすべては自分で考え出したものである。だからこそ、凡手や悪手が多くて、たまには大悪手を指す。
「なぜスマホの提出を拒否したか?」
→ スマホには技巧がインストールされていたからだ。それが見つかったら、「技巧の手を真似して、不正を行っていた」と認定される。やってもいない犯罪をやっていたと認定される。それは困る。
「なぜそんな不正をしたか?」
→ 継ぎ盤を使うぐらい、別に悪いことだとは思わなかった。ま、ちょっとは悪いかもしれないが、特別に悪いことだとは思わなかった。ソフトの手を真似するのは、明らかに悪だし、そんなことはA級棋士のプライドから、やれるわけがない。バレたときのリスクも大きすぎる。しかし、継ぎ盤を使うぐらい、別にどうってことはないだろう、というわけ。(バレたって大問題にはならない。)
「なぜ正直に言わなかったのか?」
→ 今さら口に出せなかった。カッコ悪いし。そのことは隠したまま、「ソフトの不正利用はない」という一点のみで突破しようとした。だって、これは嘘じゃないんだから。
「出場辞退を口に出したのは?」
→ 後ろめたい気持ちがあったから。カンニングという不正はしなかったが、ソフトを継ぎ盤として使うということには後ろめたさがあった。
「パソコンをスマホで遠隔操作したのか?」
→ そんな難しいこと、パソコン音痴の棋士に、できるわけがないでしょう。一日中将棋のことばかり考えている棋士は、パソコン知識なんて、ほぼゼロ同然だ。教わろうとしたけど、あっけなく挫折。
「なぜ何日間も沈黙を守っていたのか?」
→ (推定心理) はい。そのことは、俺も迷ったんですよね。正直に「継ぎ盤を使っていた」と告白しようか、どうか、と。……さんざん迷って、決めかねていました。「正直に語る」と決めたのならば、何日間もかかったりはしなかったでしょう。しかし、「嘘をつく・真実を隠す」と決めるには、何日間もかかりました。俺にだって良心があるんでね。まあ、済みません。だけど、名探偵にバレるとは、思ってもいなかったな。
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最後に名探偵はこう告げた。
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