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【神奈川】

命つないだ氷川丸を絵本に かまくら春秋社出版「子どもたちに船に興味を」

氷川丸を題材にした絵本を持つ田村さん=中区で

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 1930(昭和5)年に建造され、戦時中は海軍の病院船、戦後は引き揚げ船や貨客船として60年まで運航され、現在は山下公園(横浜市中区)に係留されている氷川丸を題材にした絵本「こうちゃんの氷川丸」(AB判32ページ)を、かまくら春秋社(鎌倉市)が出版した。子どもたちに海や船に興味を持ってほしいと製作した。県内の書店で販売している。 (志村彰太)

 同社は昨年春、氷川丸の波乱に満ちた歴史をまとめた書籍「氷川丸ものがたり」を出版。昨年夏には書籍を基にしたアニメーション映画を虫プロダクションと共同で制作した。氷川丸は今年八月、国重要文化財に指定されている。

 こうした一連の経緯の中で、かまくら春秋社は「海運関係者とのつながりができ、子どもたちが船に関心を抱くようにならないかと相談を受けた」(担当者)という。そこで、同社元社員で「氷川丸ものがたり」の編集者だった田村朗さん(61)=横浜市戸塚区=に絵本のシナリオ製作を依頼。イラストは、同社と付き合いのある画家吉野晃希男(あきお)さんが手掛けることになった。

 田村さんは「氷川丸ものがたり編集時に調べたことをベースにストーリーを考えた」と話す。主人公のこうちゃんが、祖父と曽祖父が氷川丸を背景に写っている写真を見て興味を抱き、氷川丸を見学に訪れる内容。

 こうちゃんは母から「ぜんぶで三万人の兵隊さんをむかえにいった」などといった、病院船や引き揚げ船時代の歴史を学んでいく。

 「同時代に日本郵船が建造した船の中で、戦争で沈められなかったのは氷川丸だけ。幸運な船、命をつないだ船でもある」と田村さんは魅力を語った。

 かまくら春秋社などは絵本のほかにも、「横浜、海そして氷川丸」をテーマにした小中学生対象の作文コンクール(十一月二十日締め切り)や、映画の上映会を開いて氷川丸をPRしている。問い合わせは、同社=電0467(25)2864=へ。

 

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