経営理念とは、企業の活動方針を決定するための基本を示す考え方です。経営理念ひとつで、社員の成長が左右されると言っても過言ではないでしょう。社員のやる気を十分に引き出す経営理念の作り方を解説します。
「超実践的」経営理念の作り方はこれ!
経営理念は、会社が目指す最終目的地を定めるものです。それは会社の全体的なビジョンを決めるための第一歩であり、全社員にとって実現すべきと思えるような具体性や力強さを持っていなければなりません。次の5つのステップで、実践的に経営理念を作り上げましょう。
手順1 他社の経営理念を数多く見る
まずは経営理念についてのイメージを固めることから始めましょう。世の中にはどのような経営理念があるのか、自分のイメージに合うものを選んで集めます。このとき、最低限、次の3点は押さえるようにしてください。
・自分が好きな社長、会社のもの
・同業種で業績が良い会社のもの
・中小企業で、尊敬する先輩経営者のもの
自分自身の言葉にこだわりすぎると、かえって伝わりにくくなってしまい、思いが十分に表現できない可能性があります。分かりやすく伝わりやすいものにするためにも、実際に成功している企業のものを参考にしましょう。
今では、ホームページなどで多くの会社が自社の経営理念を掲げています。気になる会社の経営理念を調べてヒントにしてみましょう。ここでは、よく経営理念のお手本として挙げられることの多い3社の経営理念を紹介します。
事例1.株式会社サイバーエージェント
21世紀を代表する会社を創る
非常にシンプルで力強い経営理念(ビジョン)です。しかし、これだけでは抽象度が高すぎて理解・共感が難しいと思われます。
それを補うためか、「Mission Statement」として詳細を補足しています。
事例2.キリン株式会社
「飲みもの」を進化させることで、
「みんなの日常」をあたらしくしていく。出典:キリン株式会社
事業の核となるものが「身近な飲料」であることを明言しており、具体的で理解しやすい経営理念です。
「ブランドの約束」という表現がされているとおり、従業員だけでなく、顧客である消費者に対する約束でもあると考えられるでしょう。
事例3.オリエンタルランド
自由でみずみずしい発想を原動力に
すばらしい夢と感動
ひととしての喜び
そしてやすらぎを提供します。出典:オリエンタルランド
東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドの経営理念です。
「夢と感動」「喜び」「安らぎ」の提供こそがコアバリューなのだという想いが伝わってきます。
手順2 社長の考えを書き出す
イメージが固まったら、社長自身の考えを企業理念に盛り込むためのアウトプットを実践しましょう。次の5つの質問に自問自答し、できるだけたくさんの考えを書き出してください。
「自社は何のために存在するのか?」
「自社はどうやって社会に貢献していくのか?」
「世の中に何を広めたいのか?」
「10年後はどうなっていたいのか?」
「誰からどんな支持を得たいか?」
具体的な考えを数多く書き出すことで、オリジナルの経営理念に近づいていきます。
手順3 アウトプットした言葉をもとに3つの案を作成する
手順1で選んだ他社の経営理念を参考に、手順2で書き出した言葉を使って経営理念を作ってみます。まずは細かいところにこだわらず、表現を変えたりしながら3つの案を作成しましょう。
手順4 時間をおいて熟成・昇華させる
3つの案を1枚の紙に書き出し、1週間以上持ち歩きましょう。会議後や打ち合わせ後、お客様からのクレーム対応後など、ことあるごとに経営理念を読み返すようにしてください。
また、経営者仲間に意見をもらうのもいいでしょう。できるだけ客観的な視点を盛り込むことを意識してください。こうしてよりよい表現や追加したいキーワードが思い浮かんだら、その都度書き加え、昇華させていくのです。
手順5 10年後も使えるかどうかを検証する
最後に、手順4で集めた意見やアドバイスを参考に、3つの理念を1つにまとめましょう。まとめたら、「果たしてこれは10年後も使えるものなのか?」と自問してみます。10年後も、その経営理念を全社員が目指し続けている姿が頭の中に思い描けるでしょうか。
もしも描けない場合は、もう一度手順1や2に戻ってやり直しましょう。10年後を思い描いたときの違和感がなくなるまで練り直します。なかなか決まらなくても焦らないでください。ずっとかわいがりながら、いとおしく思える経営理念を作りましょう。
まとめ
経営理念とは、会社の活動を通じて何を実現するのか、どこへ行きつくのかを明確に示すものですから、会社のビジョンを実現させるため、最優先で決定しなければなりません。企業理念が決まることで基本方針が決まり、行動理念が決まり、人材育成方針が決まってゆくのです。
会社のビジョンを明確化することは、全社員に目的意識を共有させ、活き活きと働く人材を育成することにつながります。社員に理解してもらえるようなビジョンを示すためには、理念や方針をはじめ、経営計画や人材育成計画を落とし込んだものをシート化するのが一番です。A4一枚の「ビジョン実現シート」を作成し、会社の全体像を全社員に浸透させましょう。
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