作家・冲方丁が1年前の逮捕・勾留を振り返る「警察が圧倒的に有利な司法ゲーム。耐えて打ち勝つしかない」

 罪を犯せばもちろんだが、人は無実であっても逮捕されることがある。それはサラリーマンであろうと有名作家であろうとだ。

「逮捕されて知ったのは、これは警察が圧倒的に有利な司法ゲームだということです」

 そう語るのは作家の冲方丁氏だ。2015年8月に「別居中の妻への傷害容疑で逮捕」のニュースが飛び交い、世間を騒然とさせたことは記憶に新しい。それからちょうど一年後の2016年8月に、留置されたときの体験をまとめた手記、『冲方丁のこち留 こちら渋谷警察署留置場』(集英社インターナショナル)を上梓。逮捕、そして勾留生活を経験した冲方氏に「人は逮捕されるとどうなるのか?」を聞いてみた。

冲方丁氏「最初の取り調べは9時間。時計もなく、日の光も入らない空間なので、自分が何時間そこにいるのかわからなくなって、思考が削り取られていくんです」

 冲方氏は取り調べを通して、警察には自分たちが作ったストーリーがあることを感じたという。

「途中から、警察には持っていきたい方向性があって、なんとしても特定のNGワードを言わせたいんだなと気づきました。そのワードの1つめは『私がやりました』。その次が『やったかもしれません』のような『やりました』の変形です。僕が妻の顔を殴ったとされることについて否定し続けていると、『振り返った時に偶然、手やモノが当たったんじゃないの?』 なんて聞いてくるんです。逆に言えば強引な論理展開をしなければならないくらいきっちり脚本ができているということです」

 警察だけでなく検察に対しても同様の印象を持ったという。

「検事が放った『逮捕しちゃったから、逮捕状が出たという記録が残っちゃうんだよ』という言葉は忘れられないですね。こちらからすれば、だからなんなんだよって。結局、彼らが出した書類(ストーリー)の後始末をどうしようかっていう話ですよね」

 逮捕された冲方氏は、最終的に不起訴にこそなったものの、9日間に渡って勾留された。

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冲方丁のこち留 こちら渋谷警察署留置場

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