発火問題により生産・販売が打ち切られた韓国・サムスン電子の新型スマートフォン(スマホ)「ギャラクシーノート7」の交換・払い戻しが、予想に反してなかなか進んでいない。同社とSKテレコム、KT、LGユープラスの通信3社が13日から他機種との交換や払い戻しを実施しているが、17日までに5万台程度しか完了していないようだ。
サムスン電子によると、交換・払い戻し対象は約50万台だが、通信3社の販売代理店が休みだった16日を除く4日間に交換(払い戻しを含む)されたのは10%未満だという。発火事故を受けて9月に実施した最初の回収・交換では4日間で10万台余りが交換されたのに比べると、半分以下のスピードだ。ユーザーがノート7を手放さない理由は何だろうか。
■iPhone 7の発売を待つユーザー多数
業界によると、これまでに交換を終えたノート7のユーザーの70%は、今年発売されたサムスン電子の「ギャラクシーS7」または「S7エッジ」に変えた。残りの30%は同社の「ギャラクシーノート5」や米アップルの「iPhone(アイフォーン) 6s」、LG電子の「V20」などに交換し、ノート7との差額の払い戻しを受けたという。
残るノート7ユーザーの多くは、21日のiPhone 7と7プラスの発売を待っている。会社員の男性(48)は「今売られているスマホはノート7に比べると旧型。アップルの新製品の発売を待って交換するつもり」と話した。
業界は、ノート7を購入した50万人余りの大半は最新スマホに敏感なアーリーアダプター(新技術に関心が高く、新製品をいち早く経験しようとする消費者)だとみている。こうした消費者は、サムスン電子とアップルの製品をどちらも使用した経験があるため、iPhoneに交換しても特に不便を感じないようだ。
また、サムスン電子がギャラクシーS7、S7エッジのブルーコーラルモデルを近く発売し、一部機能をアップグレードできるという話も飛び交っており、ユーザーの間では「早く変えてしまえば損になる」という認識が広がっている。