韓国国外の脱北民団体、北朝鮮住民向けに新聞発行へ

 英国ロンドンに本部を置く海外脱北民の連合団体「国際脱北民連帯」が、北朝鮮住民を対象とする月刊の新聞を発行し、今年12月から風船を使って北朝鮮に散布する。韓国国外の脱北民団体が北朝鮮住民を対象に情報やニュースを提供するのは、今回が初めて。2013年に設立された国際脱北民連帯には、米国・英国・日本・ドイツなど世界11カ国、16の脱北民団体が加入している。

 国際脱北民連帯のキム・ジュイル事務総長は17日(現地時間)、「現在ロンドンで発行している国際脱北民連帯の機関紙『FreeNK(自由北朝鮮)』の北朝鮮版を作り、今年の年末から毎月北朝鮮に散布する。全4面の新聞を計1万部刷る予定」「北朝鮮版『FreeNK』はロンドンで制作・編集し、韓国国内で印刷した後、軍事境界線付近から風船に積んで北朝鮮へ飛ばす。風船が割れる時間を調節すれば、咸鏡道・平安道まで飛ばすこともできる」と語った。新聞には、金正恩政権の実相や北朝鮮の核・ミサイル実験に対する国際社会の制裁、定着した脱北民の生活などに関する内容が盛り込まれる。

 北朝鮮民主化や人権改善を目標として13年に創刊された『FreeNK』は、現在隔週で発行されている。全32面で、ハングルと英語の記事が半分ずつ載っており、主な国際機関やNGO、各国の韓国人社会などに配布されている。キム事務総長は創刊時から発行人を務めてきた。

 また国際脱北民連帯側は、北朝鮮住民へ新聞を確実に届けられるよう、人的ネットワークを通した直接配布やドローンなどを利用した配布も検討しているという。

 国際脱北民連帯が情報提供手段として新聞を選んだ理由は、北朝鮮の一般住民に最も効率よく外部のニュースを伝えられるのが新聞だからだ。USB・DVDなどは、コンピューターなど電子機器を持たない一般住民にとってはあまり意味がないという。キム事務総長は「USBなどは、北朝鮮内部の中産層以上に限って影響を与えることができる。北朝鮮の体制から最もひどく弾圧されている一般住民にとっては、紙の新聞が最も効果的な情報伝達手段」「決定的瞬間に北朝鮮の政権を覆す主体になるのは、中産層よりは一般住民だろう。一般住民を覚醒させることが、北朝鮮社会の変化をもたらす近道」と語った。また新聞には、韓国国内の脱北民団体が主に使用しているビラに比べ、多くの内容を盛り込めるという利点もある。

 国際脱北民連帯は、新聞制作・配布のため最近韓国国内にオフィスを設立し、新聞発行のための事業者登録も終えた。

ロンドン=張一鉉(チャン・イルヒョン)特派員
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